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海外の協同組合。組合員たちの働き方にヒントあり

フランス、英国、イタリアの協同組合事情

ヨーロッパでは、古くから協同組合組織が発達していた。農業分野でも、各国で生産者や加工業者の組合が事業を行う。協同組合という組織形態によって、組合員のサポートや独自の商品開発など、一般の企業とは異なる視点での事業を展開している。フランス、英国、そしてイタリアの協同組合を紹介する。

 農林中金総合研究所・調査第一部副部長の内田多喜生氏によれば、フランスの農協は、生産する品目や作物種別に細かく分かれているという。例えばワイン農協や畜肉農協といった具合だ。それが現在では、小さな農協が合併を繰り返し、巨大化している。「品目別の農協が合併するケースや、他の品目の農協との合併、あるいは加工を行う企業を傘下に収めるケースなど、様々な形態で巨大化を図っています」。

 今回、事例として紹介するテレナ農協は、畜肉農協を核として、酪農農協や園芸農協に企業の加工部門を加えた巨大農協の1つ。農産物の集荷販売に加え、資材供給や製粉、屠畜、精肉とハム・ソーセージといった加工食品生産、乳製品加工、ワイン生産など川上から川下まで手広く事業化。フランスでも有名な食品ブランドを多く持つ。日本で買える商品もある。

テレナ農協の本店(写真:農林中金総合研究所)

 テレナ農協は約2万2000人の農業従事者で構成される。2014年の売上高は単体で14億ユーロ(約1610億円)、グループ全体では50億ユーロ(約5750億円)。職員数は約1万3000人。全体の可耕地面積は、日本の西日本全体に匹敵する200万haある。

 「セレナ農協は畜肉農協が中心となって巨大化しましたが、畜肉や乳製品だけでなく穀物、有機農業、ガーデニング、環境緑化など非常に幅広く経営しています。農地設計などの農業生産支援のほか、再生可能エネルギー支援なども行っています」と、手広く事業を行っているのが特徴だ。フランス国内には、このような巨大農協がほかにもある。

 テレナ農協単体の売上構成をみると、畜産物29.9%、野菜・果実27.4%、家畜飼料15.6%だ。発足当初は、畜肉農協と穀物農協の連携による家畜飼料供給でのメリットなどがあったが、いまや合併を繰り返し一大コングロマリットの様相を呈する。

テレナ農協では、スマホを使って様々な農業支援サービスを提供している(写真:農林中金総合研究所)

 農業支援についても巨大化によるスケールメリットが生きる。その1つがエアバスのグループ会社が運営する、衛星からの観測データ活用「ファームスター」サービスだ。「衛星の分析画像を元に、地域ごとに農地の窒素量や作物の倒伏可能性などの情報を得て、資材投与や農作業などの意思判断に生かしています」と内田副部長。

 さらにテレナ農協では、6人のシステムエンジニアを使って意思決定支援ツールを独自に開発する。「農家の情報を吸い上げ、また外部から得られる様々なデータを駆使して、農家に植え付け時期や、刈り取りのタイミングを知らせるサービスを行っています」。巨大化することで、数多くのブランドを有するとともに流通を整備。さらにビッグデータを活用した生産支援まで、きめ細かく展開する。