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アプリで農作業をカンタン管理!

スマホとパソコンが作る新しい農業の“かたち”

農業分野に進出するITベンチャーの中で、農業関係者から注目を集めているのが新潟市に本拠地を置くウォーターセルだ。同社は、Googleマップなどのネット地図データを利用した「アグリノート」というアプリを開発、確実に利用者を増やしている。アグリノートは、スマートフォンやパソコンを使って、農地を管理し、農作業を記録する。入力が簡単で、付けた作業記録もデータとして自動的にたまっていくため、従来の手作業やパソコンでの管理に比べてぐっと手間が減る。農業版のISOと言われるGAP(ギャップ)※認証の取得に威力を発揮するツールとしても期待されている。

※GAP:Good Agricultural Practiceの略で、日本語では「適正農業規範」や「農業生産工程管理 」などと訳される。「農産物(食品)の安全を確保し、よりよい農業生産を実現する取り組み」のことを指し、一定の基準を満たした農家や団体に対して認証する「GLOBAL G.A.P.」、「JGAP」などの認証制度がある

アグリノートの登録画面(写真:高山和良)

 アグリノートを一言で表現すると、スマートフォンでもパソコンでも利用できる“デジタル版カンタン農業日誌”だ。

ウォーターセル スマート農業 推進部の吉崎恵太氏(写真:高山和良)

 Googleマップや航空写真など、ネット上の地図データを利用するWebベースのアプリで、実際の農地に対して、いつ、どんな農作業をしたのかという情報を紐づけて記録できる。実際の日誌を付けるよりもはるかに楽に作業記録が付けられる。記録したデータは後で詳細に振り返ることができ、生育や収穫量の管理、収支の分析などにも力を発揮する。

 こうしたメリットが評判を呼び全国的に利用者が増えている。アグリノートを開発し、サービスを展開しているITベンチャーのウォーターセルで、営業を担当する吉崎恵太氏は「全国から引き合いをいただいていて、10万を超える圃場で使われています」と語る。圃場(ほじょう)というのは、農作物を栽培する一区画ごとの田畑のことだ。

デジタル版のカンタン農業日誌、アグリノート。左はパソコン、右はスマホの画面。いつ、どの圃場で何の農作業をしたのかがひと目で分かる(提供:ウォーターセル)

簡単に入力でき、自動で記録がたまる

 ユーザーはウォーターセルのホームページから登録すれば、アグリノートを利用できるようになる。使い方はいたってシンプルだ。水田や畑などの圃場ごとに、日々、どんな作業をしたのかを記録していくだけでよい。記録できる項目は農作業の情報だけではなく、必要に応じて、投入した肥料や薬剤とその量、生育状況や収穫量、地代など多岐にわたる。

 アグリノートの特長について、吉崎氏は「簡単に使いこなせるところ」と語る。実際に作業記録を付けるときは、リスト表示される候補の中から選ぶだけ。後は、どのくらいの時間を費やしたかを記録すればよい。入力できる農作業の種類は、種まき、苗の植え付け、施肥といったごく基本的なものから、受粉や整枝、追肥といった専門的なものに至るまで、営農に必要な項目はほぼ網羅されている。

 田畑にスマホを持ち歩いて作業の都度入力することもできるし、家や事務所に帰ってからパソコンでまとめて記録することもできる。複数の圃場を移動しながら農作業する場合などは、アグリノートの入ったスマホを持ち歩けば、スマホのGPS機能を使ってどの圃場で何時間作業をしていたかを地図上に表示してくれる。過去の作業履歴があれば、圃場ごとに何の作業をしていたかをアプリが類推してリスト表示する。

 こうして入力した情報は、ウォーターセルのサーバー・コンピューターに自動的にデータベースとして蓄積される。

複数の圃場を動きながら作業する場合も、スマホを持ち歩いていれば移動経路が自動的に記録される。家や事務所に帰ってパソコンで見ればどの圃場でどれだけ作業したかがひと目で分かる(提供:ウォーターセル)

 サーバー・コンピューターに記録された情報は、後でいろいろな角度から振り返ることができる。例えば、農作業については、圃場ごとに、いつ種を蒔き、何の苗を植え付けたのか、何の肥料や薬剤をどのくらい入れたのか、といった作業履歴を時系列で見られる。また、連作状況や、生育、収穫量なども過去に遡れる。毎年、どのタイミングで何の作業をするかを抜け漏れなく行うためのアラームツールとしても使えるし、従業員やアルバイトに指示を出すツールとしても活用できる。さらに、資材や販売の単価を入れれば、圃場ごとの収支もはじき出せるため、単なる農業日誌の枠をはるかに超えた農業経営観点の分析ツールといえる。