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目指すは「農業のMBA」。日本農業経営大学校の挑戦

日本農業経営大学校 堀口健治 校長

「農業のMBA(経営大学校)」を掲げ、多数の法人や団体によるバックアップを受け設立された日本農業経営大学校が、この3月に3期生となる卒業生を送り出す。同校の堀口健治校長は「農業を志す若者を将来の農業経営者として育てるべく、実学を教える」と語る。同校の狙いを聞いた。

堀口 健治(ほりぐち・けんじ)氏
日本農業経営大学校 校長
1942年生まれ。1965年早稲田大学第一政治経済学部政治学科卒業。1968年東京大学大学院農学系研究科博士課程中退。鹿児島大学、東京農業大学勤務を経て、1991年早稲田大学政治経済学部教授。同学部学部長、同大学常任理事、副総長を歴任し、2015年3月に日本農業経営大学校校長理事に就任。2002年から2004年まで日本農業経済学会会長。

日本農業経営大学校は、「農業のMBA(経営大学院)」がコンセプトだそうですね。

堀口 日本農業経営大学校は、農業の経営を志す人に実学を教える、MBAに相当する位置づけの学校として、2013年4月に立ち上がりました。このような位置づけの農業関係の学校は、日本では初めて、そして世界的にもそう多くは無い存在です。

 少数精鋭、全人格的な農業経営者教育を在学2年の間に提供しようということで、定員は1学年20人と設定しています。また入学試験のときに全員、卒業後は就農することを約束してもらいます。農業に対して思いがある人を選抜して教育するためです。

 学生のバックグラウンドは様々で、2016年度における在校生について言えば、平均年齢は25~26歳。農業や一般企業を含めた社会人経験のある人が7割程度で、残りの3割は高校や大学を卒業後すぐに入学しています。実家が農業を営んでいるという学生は7割弱いますが、それ以外の3割強の学生は実家が農家かどうかは関係なく、農業を学びたくて入学しています。

在学期間の2年間は、全寮制だとか。

講義中の堀口校長(写真:日本農業経営大学校)

堀口 はい。農業を志す学生同士、近い場所で生活を送ってもらい、農業に関する議論や夢を語り合うことを促して、農業に対する思いを強固なものにしてもらおうというのが狙いです。また、欧州では農業のリーダー層の教育機関は座学と先進経営体での実習をあわせたサンドイッチスタイルを採用しています。当校もそれだと考えてもらえればと思います。

 学生は、寮のある川崎から校舎のある品川まで通ってきます。実は当校は文部科学省の認可を受けた学校ではないので、卒業時に学位が授与されるわけでもありません。ただ、当校は特に学校法人かどうかという点にはこだわらず、優秀な卒業生を輩出し、卒業生の活躍を通して社会的な認知を得ていこうという考え方で教育を進めています。当校の運営主体は、農業経営者の育成を目的に設立されたアグリフューチャージャパンという一般社団法人で、200以上の法人や団体などが会員となり支援しています。

農業、経営、地域社会が分かるリーダーを育てる

教育内容のポイントは。

堀口 今の日本の農業に求められている、経営や社会の視点を盛り込んだカリキュラムを整えました。農業生産など農業分野の科目はもちろん、経営戦略やマーケティング、会計・マネジメント、事業創造、集落営農や農村社会、地域行政との連携、経営者の哲学、リーダーシップなども教えています。

(写真:日本農業経営大学校)

 農業の経営は、地域社会といかに調和できるかがポイントになります。例えば、水田には当然、水が必要ですが、地域によっては水資源が限られているために輪番という制度を敷き、自分の水田に水を引くのに順番を待つ必要があります。要するに、自分の農地の生産規模を拡大するにしても、その地域における関係性を考えなければいけない。

 農業の経営者は、地域社会のあり方を特に考慮し、地域の人々と協力できることが重要になります。ここには倫理観、使命感、リーダーシップが求められます。

 また事業を存続・発展させるという観点から、これからの農業経営者に求められる考え方や知識をしっかり教えるようにしています。特に大事になってくるのは、買い手が求めている農産物をいかに供給できるかというマーケットインで見る視点です。

 加えて農業法人などで組織を大きくするのであれば、一般企業と同じように、経営戦略の立案、事業の創造、社員の労務管理や人材育成も考える必要が出てきます。