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これは意外! オムライスで大成功の村おこし

特産のトマトを使い、活気づく高知県日高村

「村の駅ひだか」で売られているトマトの加工品。こうした6次加工品の販売拡大もプロジェクトの目的の一つだ(写真:佐藤久)

イタリアンプロジェクトの概要について教えてください。

戸梶 このプロジェクトは某テレビ局が放映している「小さな村の物語」イタリアという番組を見て着想したものです。その中では村の人たちがそれぞれの仕事に誇りを持って、村やコミュニティーを大切に心豊かに暮らしている姿が放映されていました。日高村も小さくても輝く心豊かに暮らせる村になりたいと思っています。そのようなことから、トマトつながりでのイタリアとの交流、つまり食や文化の交流を図っていきたい。イタリア大使が高知に来られた際に、来年には日高村のトマトを届けるという約束を交わしています。オムライスも届けたいですね。実は、シュガートマトのパッケージは、イタリアの国旗の色になっています。将来的には、村全体をイタリア風にして、イタリアの村と交流ができればいいなと考えています。

シュガートマトをさらに売り出すために、トマトレストラン構想があるそうですね。地域の連携強化も不可欠と思いますが、これらについて教えてください。

戸梶 村の特産であるシュガートマトを核にした連携においては、当然トマト尽くしの店舗があるのが理想です。日高村のトマトに特化して、全メニューにトマトを使ったトマトレストランがオープンできればいいですね。仁淀川沿いに設置を計画している集落活動センターや都会の方を受け入れる交流拠点施設で提供できればと考えています。地域の連携強化については、年に1回程度、農家や農協、村内の企業・商店の方々に集まっていただき、それぞれの取り組みを発表したり、講演を企画したりして交流を図っています。こうした連携を図ることと、村内で経済がさらに回っていくようなシステムの構築も必要だと考えています。

オムライス街道の核となっている拠点「村の駅ひだか」。国道33号線沿い、岡花駅近くにある。ここには直売所のほか、オムライスを食べられる店が二軒(「ムラカフェひだか」と「とまとすたんど」)入っている(写真:佐藤久)

オムライス街道は、基本的に役場と村民の“手作り”のスタイルが功を奏しているように見えます。外部の力の導入についてはいかがですか?

戸梶 オムライス街道、農業クラスター、イタリアンプロジェクトといくつかの関連はありますが、それぞれ特色を持った取り組みが進んでいます。これらを体系的にまとめる必要が出てきました。ここから先は村単独の力では限界がありますので、広告代理店など外部の力、専門家の意見を取り入れることとしました。

村おこし・地域おこしを成功させる秘訣のようなものは何でしょう?

戸梶 他の自治体の強みをマネしても成功はしないと思います。自分の自治体の強みをとことん考えて、発見して、そこから何ができるかを考える。そしてできることから実行していく、そういったことに尽きるのではないでしょうか。

生産量がじわり拡大する、プロジェクトの核「シュガートマト」

 「オムライス街道プロジェクト」の核となっているのが、日高村特産のシュガートマトという高糖度トマトだ。プロジェクトで提供されるオムライスには、必ず何らかの形で使われている。そして、生産されたシュガートマトを受け入れて糖度によって選別して出荷するのが、コスモス農業協同組合(JAコスモス)の選果場だ。ここでは日高村だけでなくJAコスモス管内の3カ町村で生産されたトマトを受け入れている。

 選果場を切り盛りするJAコスモス 日高支所 営農経済課 森下誠仁さんによれば、シュガートマトの作付面積と出荷量はここ最近じわじわと増えつつあるという。「昨年の出荷量が360トン。今年は作付けの面積が増えて計画では400トンを超えそうです」と森下さんは予想する。

 過去300トンくらいで推移してきが、ここ何年かで栽培ハウス内の環境を制御する技術を導入したことによって単位面積当たりの生産量が上がってきたことや、今年に関しては作付けの面積が増えたことなどで出荷量が増える見込みだ。

 森下さんも、はっきりとした効果測定は難しいがと前置きしながらも「お客様の注文や問い合わせから、オムライス街道プロジェクトによる効果は確かにあると感じています」と語る。

 日高村で進める産地拡大の施策とも相まって、シュガートマトの作付面積と出荷量は今後じわじわと拡大していきそうだ。「来年には作付けが30アールほど増える予定ですし、今後増えていくと思います。新規就農者も一昨年、昨年、今年と一人ずつ毎年確実に増えています」と森下さん。特産であるトマトの知名度が上がれば、新規就農者にとっては就農を決断する際の大きな決め手になる。日高村では、既存の生産者も栽培ハウスの棟数や作付けを増やすところもあるという。担い手の「平均年齢も50代」(森下さん)と、比較的若いことも強みだろう。

 今後、村のプロジェクトがさらに大きなうねりとなれば、日高村のシュガートマトの生産は今後も確実に伸びていくことになりそうだ。

JAコスモス 日高支所にある選果場と営農経済課の森下誠仁さん。この選果場では1日3トンから4トンのトマトを選果できる。森下さんは、「オムライス街道のような取り組みは産地形成する上で後押しになっています。産地としてはいいものを作っていくことが大事」と気を引き締める(写真:佐藤久)