「経済センサス‐活動調査」は日本の経済力を知るための調査です。

2012年2月に日本で初めて「経済センサス‐活動調査」が実施される。経済の国勢調査と呼ばれるこの調査は、日本全国すべての企業・事業所が対象となる。「経済センサス」とはどのような調査で、何のために行われるのか。そしてどのような効果があるのか。専門家に話を聞いた。

——いよいよ、「経済センサス‐活動調査」が初めて実施されますが、この調査は、いつから検討されてきたものなのでしょうか。

福井局長:「経済センサス」の整備については、平成15年に策定された「統計行政の新たな展開方向」で初めて提言されました。その後、政府内で検討を進め、「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2005」(骨太2005)において、経済活動を同一時点で網羅的に把握する「経済センサス」を創設することとされました。さらに、平成21年3月に閣議決定された「公的統計の整備に関する基本的な計画」において、産業関連統計の体系的整備の根幹を成す最も基本的な統計とされたところです。

喜多見審議官:「経済センサス」が創設された背景は、我が国の産業統計に大きな課題があったことでした。つまり、各府省が実施する統計調査の年次や周期が異なっていて包括的な産業統計を得ることができないこと、第3次産業分野の統計が不十分で国内総生産(GDP)を推計するための全産業をカバーする統計がなかったことなどでした。

——検討の結果、具体的にはどんな調査になったのでしょうか。

福井局長:「経済センサス」は、「経済センサス-基礎調査」と「経済センサス−活動調査」の二つの基幹統計調査で構成されていますが、平成21年に統計局が実施した「経済センサス−基礎調査」で把握した事業所の事業内容などに応じて、「経済センサス-活動調査」の産業別調査票で事業所の経済活動を把握することにしており、両調査の連動が重要です。

喜多見審議官:売上高は、事業所・企業が営む事業を産業大分類別で把握するほか、主な事業の売上高は基本的に産業細分類別に詳しく把握することにしており、企業単位では費用総額のほか、給与総額、減価償却費、外注費など付加価値を算出するのに必要な事項を把握することとしています。また、全産業分野の多様な経済活動の実態を的確に把握するため、産業別に産業特性に応じた調査事項を設定して調査することにしていますが、その際、「経済センサス−基礎調査」において把握した事業所の事業内容、産業分類の格付情報を利用しています。

——ポスターなどには「経済の国勢調査」というフレーズを使っておられます。

福井局長:国勢調査は、我が国に常住するすべての人を対象に人口・世帯の実態を明らかにする調査ですが、この調査は、我が国にあるすべての事業所・企業の経済活動の実態を明らかにする調査ですので、まさに「経済の国勢調査」と呼ぶにふさわしいと思います。

——「経済センサス」という新しい調査が創設されて、これまでの調査は、どうなったのでしょうか。

福井局長:「経済センサス」の創設に伴い、既存統計調査を統廃合して効率化を図りました。具体的には、統計局が実施していた事業所・企業統計調査とサービス業基本調査、経済産業省が実施していた本邦鉱業のすう勢調査の3調査を廃止し、また、平成21年商業統計調査、平成23年工業統計調査、平成23年特定サービス産業実態調査の3調査、いずれも経済産業省の調査ですが、これらを中止しました。

喜多見審議官:ただし、既存の統計調査の継続性にも留意しながら、必要な事項を「平成24年経済センサス-活動調査」の中で把握することにしました。これによって、調査の効率化と記入負担の軽減を図りながら、「経済センサス-活動調査」に統廃合した既存の統計調査の結果も集計でき、これらの結果についても引き続き利用できるようにしています。

福井局長:このように、省の枠を越えて2省が共同で実施計画を策定できたことは、とても画期的だったと思います。

——大変大規模な調査のようですが、具体的にはどのように調査するのでしょうか。

福井局長:調査の方法ですが、これには「調査員による調査」と「国・都道府県・市による調査」の二つの方法があり、「調査員による調査」は、支社・支店等のない単独の事業所と、新設の事業所を対象に、統計局が中心となって行います。都道府県知事が任命した調査員が平成24年1月末までに調査の対象となる事業所を訪問して調査票を配布し、調査期日である2月1日以降に調査票を取集します。

——事業所を1軒1軒まわるのは大変ですね。その調査員の方は、全国でどのくらいの人数になるのでしょうか。

福井局長:おおよそ7万人の方を予定しています。今回の調査は2月の積雪期に行うため、積雪などで調査員が調査票を取集することができない一部の地域では、調査員が調査票を配布し、市町村が郵送で回収する方法で行います。

喜多見審議官:「国・都道府県・市による調査」は、支社・支店等を有する企業、一定規模以上の製造業の事業所、純粋持株会社を対象に、経済産業省が中心となって行います。具体的には、経済産業省が契約した民間事業者を通じて、来年1月末までに調査票を郵送し、2月1日以降に郵送又はインターネットで回答していだだく方法で行います。調査票は、企業全体の状況を記入していただく企業調査票と、各支社・支店等の状況を記入していただく事業所調査票の2種類ありますが、企業の本社に、各支社・支店等の調査票を含めて一括して送付させていただき、本社でそれぞれの調査票を記入・提出していただく方法で行います。

——最近は、企業の合併や分社化などが多いようなので、調査票を郵送するにしても最新の情報でないと混乱しそうですね。

喜多見審議官:その点は非常に重要でして、この調査は企業や支社・支店等の最新の情報に基づいて実施する必要がありますので、調査票の配布に先立ち、平成23年6月から本社に「事業所等確認票」を順次送付させていただき、企業の合併等の状況や支社・支店等の新設・廃止等の状況や事業内容、希望する調査票の提出方法などを事前に確認させていただいたところです。

——調査の結果は、どのように利用されるのでしょうか。

福井局長:調査の結果は、産業横断的な事項の速報集計結果を平成25年1月ころに、産業別事項を含むすべての事項の確報集計結果を平成25年夏ころから順次公表する予定です。この調査によって、我が国の産業構造が同一時点で、また、都道府県別、市町村別の地域別にも初めて明らかになります。このため、調査結果は、国における様々な政策利用だけでなく、都道府県、市町村における様々な地域行政のための資料として利活用されることになります。

喜多見審議官:この調査は全数調査ですので、個別業界の市場規模なども調査結果から明らかになりますから、経営上の参考資料として事業者の皆様に活用していただけたり、商店街や中心市街地の活性化、中小企業の振興施策や企業誘致などにも利用していただけると期待しています。また、経済指標として最も注目される日本のGDPは、様々な産業分野について基礎的な統計を組み合わせて推計することにより作成されていますが、この調査の実施により全産業について統一的にデータが得られるので、GDP統計の精度が向上するだろうと期待しています。

福井局長:また、この調査によって、各種標本調査のための母集団情報が整備されるため、事業所・企業を調査対象とする各種統計調査をより効率的、正確に実施できることになります。

——今年の大震災の影響はどうなのでしょうか。

福井局長:今回の東日本大震災によって、東北地方の太平洋岸部を中心に多くの事業所・企業が甚大な被害を受けました。また、東日本大震災により建物や設備などが直接被災した事業所・企業だけでなく、原材料、部品、電力、ガソリンなどの不足や、予約・注文のキャンセル等に伴う需要の減少など、間接的な影響を受けた事業所・企業が全国の広範囲に及びました。

喜多見審議官:当省の生産動態調査では、被災地を除外せずに調査を行うとともに、鉱工業生産指数では、被災地域と被災地域以外の指数値を作成公表しています。また、被災した地域の経済規模を明らかにするために、工業統計調査、商業統計調査の結果から、製造品出荷額や卸売・小売販売額の規模などを分析してホームページに掲載しました。

福井局長:統計局においても国勢調査や「経済センサス−基礎調査」の結果から、被災地の人口や事業所数などをマップに加工したりしてホームページに掲載しました。

喜多見審議官:今回の「経済センサス−活動調査」は大震災が発生した平成23年1年間の経済活動を把握しますので、平成21年に実施した「経済センサス−基礎調査」を始め震災前に実施された既存の統計調査結果と比較することにより、産業別や地域別に東日本大震災の影響を分析することが可能となりますし、今後、我が国の経済活動の復興状況を確認していくための貴重なデータを提供するものになります。

福井局長:原発の事故で立入りができない警戒区域と計画的避難区域については調査の対象地域から除外しますが、津波等で甚大な被害を受け、調査員を配置して調査することができない一部の地域では、被災した事業所・企業の皆様に十分配慮しながら、統計局からの往復郵送調査で調査を行うこととしています。

——最後に、お二人から、調査にかける意気込みをお願いします。

喜多見審議官:総務省と力を合わせ、わが国の経済実態についての正確で信頼性の高い統計とすべく取り組みます。この調査は我が国初めて行うものですので、様々な形での広報活動をさらに強化していきます。企業や事業所の皆さまには、もれなく調査にご協力いただくようお願いしたいと思います。

福井局長:ここにたどり着くまでにいろいろなことがありましたが、両省の連携をより一層強くして、この画期的な調査の成功に向けまい進していきたいと思います。皆様のご理解をお願いいたします。

清水雅彦氏のインタビューを読む「分散型の産業統計から包括的な産業統計へ」

TOPへ戻る