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「ねえねえ、ここに書いてあるのが、ゲームの目的?」と言って、妹の優奈が画面の中で点滅しているボタンを指さした。

《地球に優しく明るい未来を築く》

「そうだよ。毎回1つのテーマが出されて、そいつをクリアするためには何が必要かっていうクイズが出されるんだ」と翔太が答えると、優奈は目を輝かせて言った。「だったら、『環境にいいことは何か』みたいなクイズが出るんだ。ねえ、早くそのボタンを押してよ」。

最近、小学校でも地球環境の問題について授業で取り上げることが増えてきた。だから、優奈はまだ小学5年生だけど、環境問題にはとても興味を持っていた。翔太が勉強部屋の電気をつけたままリビングでテレビを見ていたりしたら、いちいち文句を言いに来るし、プラスチックのゴミを"燃やせるゴミ"の袋に捨てようものなら、目を吊り上げて怒った。

確かに《地球に優しく明るい未来を築く》ためには、エコな生活は大切だ。でも、これは「総合商社がどんな仕事をしているのか」を学ぶサイトなのだから、優奈がいつも翔太に口やましく言っているような、「きちんと分ければゴミも資源」みたいな話とはわけが違うはずだ。

「ねえ、早くボタンを押してよ。きっと、お兄ちゃんみたいな資源のムダ使いをさせない方法は何かって、聞かれるよ」と優奈はからかうような口調で言った。翔太は優奈の無邪気さに苦笑いしながらボタンを押すと、画面に質問が現れた。

《限りある資源を大切に生かすためには、何が必要?》

「ほらね」と目を輝かせた優奈は、「答えはきっと『ゴミの分別をきちんとして、貴重な資源をリサイクルする』だよ」と言って、勝ち誇ったような笑みを浮かべた。優奈をみつめて言い返す翔太。「そんなはずないよ。これは『総合商社』と呼ばれる三井物産の仕事が、世界の人々の暮らしにどんな役に立っているかを学ぶサイトなんだ。優奈が普段からやっている"リサイクル"が答えだなんて、そんな単純なことがあるはずが……」。

その時、「いいえ、妹さんの答えはほとんど正解ですよ」という声が聞こえた。翔太と優奈が画面をのぞき込むと、額に「R」の文字を付けた"リサイクルのブッサンジン"の姿があった。「ただ、正確には『総合リサイクル』というのですが」。

「総合商社だけに、リサイクルも"総合"か……」とわかったような、わからないような翔太。優奈は不服そうに「リサイクルと『総合リサイクル』は、どう違うの?」と尋ねた。リサイクルのブッサンジンは「よくぞ聞いてくれました!」と言うと、うれしそうに説明を始めた。

「私たち総合商社が取り組んでいるリサイクルには、2つの特徴があります。1つは、総合商社のグローバルな人材や拠点を活用して、地球規模で資源のリサイクルに取り組んでいること。もう1つは、総合商社の総合力を駆使して、これまでリサイクルできていなかった分野で、新たなリサイクル・システムの構築に挑戦していることです」

翔太も優奈もぽかんとした顔で黙っていると、リサイクルのブッサンジンは小さなセキ払いをしてから「では、具体的に説明しましょう。まずはこれをみてください」と言って、1つのグラフを画面に映し出した。

リサイクルのブッサンジンは言った。「人間が地下に眠る資源を掘り起こして地上に運び、建物や自動車、家電製品などに利用するということは、地下の資源が形を変えて地上に蓄積していることになります。地下の資源はどんどん減っていくけれど、その分、地上の資源はどんどん増えているわけです」。

「ほんとだ! そう考えると、地下か地上かの差はあるけれど、地球の資源の全体量は変わらないまま……」と話している途中の翔太の口を優奈が手でふさいで尋ねた。「なんとなくわかるけど、建物や自動車になっちゃったんだから、もう『資源』として使えないんじゃないの?」。翔太も渋々、口をふさがれたままうなずいた。

「いえいえ。では、このデータを見てもらいましょう」と言って、リサイクルのブッサンジンは新たなグラフを映し出した。

「あれ? 日本って資源のほとんどない国だったよね。鉄もほとんど採れないって聞いたことあるのに、なんで『鉄鋼』の備蓄量が、どんどん伸びているの?」と驚く翔太。それに対し、リサイクルのブッサンジンが答えた。「確かに、日本では鉄鉱石がほとんど採れません。この『鉄鋼備蓄量』は、取り壊した建物や廃棄された自動車などからリサイクルした鉄、いわゆる"鉄スクラップ"等、日本国内で使用され、現在何らかの形で国内に残っている鉄の総量です。さきほどのグラフの『地上資源』のように、どんどん増えているでしょう? その結果……」と言って次のグラフを映し出した。

「あれ? 学校で『日本は資源輸入大国』って習ったのに、1992年から鉄屑は輸入より輸出の方が多くなっているよ!」と翔太。優奈も不思議そうに「しかも、輸入はほとんどなくなって、輸出はものすごい勢いで伸びている……これだと日本は鉄の『輸出大国』ってことになっちゃうよね」と首をかしげた。「つまり、これがさっきブッサンジンの言っていた総合商社の『グローバル力を生かした地球規模での資源のリサイクル』に関係しているわけだね」という翔太の言葉に続けて、優奈が尋ねた。「じゃあ、『総合リサイクル』のもう1つの特徴の、『新しいリサイクル・システムの構築』って、何をリサイクルしようとしているの?」。

リサイクルのブッサンジンは答える代わりに、「お二人は、『都市鉱山』っていう言葉を聞いたことありますか?」と質問した。翔太はしばらく考えたあと、あきらめて妹を見た。優奈は「聞いたことあるけど、ちゃんとした意味は知らない……」とつぶやいた。「ええ、お前、聞いたことあるの?」と驚く翔太。

リサイクルのブッサンジンは優しい笑みを浮かべて「では、百聞は一見にしかずと言いますから、実際、私たち総合商社がどんな『総合リサイクル』に取り組んでいるのか、見てもらいましょう」と言うと、いつものレポート記事を画面に映し出した。


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