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Digital Transformation あたらしい変革のチカラ

利益に貢献しないERPをいつまで使い続けるのか? グローバルなビジネス展開と利益に貢献するERPとは

ERPを導入している企業は多い。しかしほとんどの企業が「ERPは金食い虫で投資対効果に見合わない」と感じているのではないだろうか?本来、企業の収益を向上し競争力の源泉となるのは「差別化領域」であり、ここにはアイデアを迅速に具現化する独自システムの開発が要となる。逆にERPはそれをバックエンドから支える基盤でありコストダウンを目指すための「標準化・省力化領域」だ。しかしそこに差別化を入れようとすることからカスタマイズやアドオン開発にコストや時間がかかっているのではないだろうか?企業利益を生み出すERPのあるべき姿を考えてみたい。

グローバル競争に向けて本当に注力すべきは何か

 いまIoT(モノのインターネット)が、製造業を中心とした企業のグローバル競争に新たなルールを生み出そうとしている。ドイツが国家を挙げて推進している「インダストリー 4.0」、米国企業が先導する「インダストリアル・インターネット」などは、そうしたなかで注目を集める代表的な動きだ。

 バリューチェーン全体の状況をリアルタイムに把握し、迅速な意思決定を行い、経営資源を最適にコントロールすることで、新たな価値創造を目指す。センサーデータやビッグデータを活用したデジタルによる“見える化”と“つながり”を、経営基盤にしっかり実現していることが、グローバル競争を戦ううえでの前提条件となりつつある。

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企業に必要なシステム領域とその関係

 このような新たなステージに突入したグローバル競争において、今後も日本企業が存在感を発揮し、勝ち残っていくために求められるのは、どんなことだろうか。それは製品開発や生産・販売活動、物流のさらなるスピードアップ、新たなサービスやビジネスの創出・展開といった価値創造にほかならない。競争力の源泉となるサービスの“独自”開発・展開を行うためにも今後のITに対する投資は、「差別化システム」に可能な限り集中していきたいというのが企業の本音だろう。

ERPグローバル展開の落とし穴

 当然、競争力の源泉となる「差別化システム」だけで円滑な企業活動を実現できるわけではない。受発注や会計などバックオフィスを担う基幹業務システムの下支えがあってこそ、はじめて「差別化システム」は効力を発揮することができる。

 ところが現実には、その肝心かなめの基幹業務システムがネックとなって足を引っ張るケースが少なくない。折角の「差別化システム」をグローバルに展開しようにも、それぞれの国や地域でバラバラの基幹システムが導入され、まったく違った業務プロセスで運用されていることもある。在庫管理や原価管理の考え方も一貫していない、製品コードや顧客コードさえも統一されていないといった状況では、せっかくの「差別化システム」も展開のしようがない。

 さすがにこの弊害には多くの企業が気づき始めている。しかし問題はそのアプローチ方法だ。日本の本社で独自要件に基づきバリバリにアドオン開発してしまったERPをベースに構築した基幹業務システム(企業独自というガラパゴス化)を“会社の標準モデル”としてグローバル展開しようとして挫折するのである。また国産ERPを使っているケースもある。日本では使い勝手が良いが、それぞれの国の通貨や法制度・商習慣にあわせたカスタマイズが必要で、大抵はそのままの形でグローバルに展開することができない(日本仕様というガラパゴス化)。近年では、拠点単位で導入された部分最適の業務アプリケーションを無理矢理つなぎ合わせてグローバルな業務をカバーしようとするケースも見られる。

 こうした基幹システムのロールアウト・プロジェクトを、北米からヨーロッパ、中国、インドへといった具合に次々に実施しようとしているのである。すべてが完了するのは、いったい何年先になるのだろうか――。膨大なコストと時間を費やすばかりで、思い描いたような業務統合は一向に進まない。最悪なのは、競争力の源泉となる「差別化システム」の開発、展開にまったく手が回らなくなってしまうことだ。いや、どちらかというと基幹システムの展開をあきらめてしまうほうが多いだろう。

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