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Digital Transformation あたらしい変革のチカラ

 ビジネスリーダーたちとPaaS(*1)などクラウド技術の話をすると、期待した成果が上がらないためか彼らの表情が曇ることがある。しかしPaaSを適切に使用すれば、モバイルアプリの迅速な開発、IoTの活用、クラウドアプリケーションのカスタマイズなど、ビジネスの喫緊の課題を解決することが可能だ。

 PaaSは、SaaS(*2)やIaaS(*3)とは毛色の違うクラウドサービスである。アプリケーション・ソフトウェアをインターネット経由のサブスクリプション・サービスとして提供するSaaSはビジネス価値がわかりやすい。IaaSはストレージやコンピュータの処理能力など、ハードウェアリソースをインターネット経由で提供するシンプルなサービスだ。しかしPaaSはもっと抽象的で、テクニカルな印象がある。

 このため、PaaSの真の価値を説明する場合は、ビジネス上のメリットから入るとわかりやすい。たとえばPaaSを導入した企業は、新しいソフトウェア機能を素早く追加して新しい顧客サービスを短期間で開始できる。一般に、PaaSは技術的なニーズに素早く対応できるのが特長だ。

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 「昨今は企業側も対応にとまどう先進的な技術が唐突に生まれる時代です」と、調査会社コンステレーション・リサーチのアナリスト、オルガー・ミューラー氏は話す。クラウド出現以前の、技術が制約要因だった頃とは隔世の感がある。「五年か十年前なら百人の開発者を投入し、大量の資金をかけて実施していたプロジェクトでも、今なら数人のスタッフとクレジットカード一枚で手軽に実現できます」(ミューラー氏)。

 PaaS環境では強力なアプリケーション開発ツールを利用できるほか、アプリケーションの拡張性と信頼性を担保するインフラストラクチャにいつでも簡単にアクセスできるため、企業も積極的に新技術を導入して競合他社との差別化を図りやすい。ミューラー氏は、企業が従来のビジネスモデルを捨てて新しいモデルに移行すれば、今後十年で過去二十年より多くのソフトウェアを開発できるとみている。

 では、以下の事例からPaaSの導入効果を考えてみたい。

1.モバイル化を迅速に進める。

 ほとんどの企業はモバイル・コンピューティングの可能性をいまだ生かし切れていない。優秀な企業は、効果的なアプリを提供して顧客のロイヤルティや社員の生産性向上に役立てている。

 「クラウドバックエンド、とりわけPaaSはモバイル・コンピューティングとの相性がよい」と、調査会社IDCのソフトウェア開発リサーチ担当プログラム・ディレクター、アル・ヒルワ氏は語る。「モバイルとクラウドが同時に普及したのは偶然ではありません。モバイルアプリにはバックエンドが不可欠であり、モバイル開発者は抽象度の高いPaaSを高く評価しています」。

 ヒルワ氏は、「携帯端末はファイアウォールの外側にある」と指摘。そのため、自社のデータセンターがある場合でも、少なくとも一部の処理についてはクラウドで処理したほうが合理的と考えられる。

 PaaSは、プロセスの多くのパートを自動化してモバイルアプリの開発スピードを高める。たとえば、オラクルのクラウド型モバイル開発基盤(*4)は既製のAPIを提示し、もっとも適切と考えられるデータ接続を提案する。

 優れたPaaSは、モバイルアプリの作成、配布プロセスを大幅に簡素化するツールも備えている。仮にプログラマーやデザイナーによる手直しが必要なレベルでも、プロトタイプを簡単に作成できると考えれば、企業としてはそれで十分といえるだろう。

  • *1 Platform as a Service:ソフトウェアを開発・実行するプラットフォームがネットワークサービスとして提供される形態
  • *2 Software as a Service:アプリケーション(ソフトウェア)の機能を、ネットワーク経由で活用できるようにしたサービス
  • *3 Infrastructure as a Service:インターネットを利用した、情報システムの利用形態の1つ。IaaSでは、コンピュータ・システムを構築・稼動に必要なハードウェアやネットワークなどのインフラを、インターネット経由のサービスとして提供する
  • *4  Oracle Mobile Cloud Service:企業アプリケーションのスピーディなモバイル対応をサポートするクラウドサービス