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Digital Transformation あたらしい変革のチカラ

インバウンドも国内顧客も獲得! あの「紫色のビル」の有名店は19万点もの商品をいかに売りさばくのか

顧客第一の経営姿勢で国内とインバウンドの双方の顧客に対応

 この多慶屋の最大の強みとなっているのが、約19万アイテムに及ぶ商品を取り扱う卓越したマーチャンダイジング力である。

 「せんべい1枚から美術品まで、お客様のニーズに応える店づくりを進めてきました」と多慶屋の代表取締役社長の竹谷宗二氏は語る。食品から酒、日用雑貨、薬、化粧品、文房具、衣料・服飾品、ブランド品、時計、宝飾品、家電、家具、仏壇にいたるまで、多岐にわたる商品を取りそろえている。

 加えて注力しているのが、顧客の利便性の向上だ。自前の物流子会社(ケイ・トランスポート)を設立し、近隣地域(東京23区全域、都下、神奈川、千葉、埼玉の一部)を対象に品物の配送、設置、処分品の引取りを行っているのもその一例である。

 この顧客第一の考え方はインバウンド対応でも一貫しており、例えば増大する中国人客に向けて、2008年に銀聯カードの取り扱いを開始したのに続き、2015年12月には中国のアリババグループが提供する決済サービス「アリペイ」を日本国内で先陣を切って導入。さらに、免税の取り扱いにも迅速に対応できる仕組みを整えるなど、買い物のしやすさを追求してきた。

 「多慶屋に行けば、どんな商品でも、どこよりも安く、便利に買えるという評判がクチコミで広がり、おかげさまで国内のお客様にも海外からのお客様にも、多くのご来店をいただいています」と竹谷氏は語る。

国内顧客とインバウンド顧客の両方へ「顧客第一主義」を貫く(写真提供:多慶屋)

「情報活用」と「カテゴリー制」の融合戦略を支える詳細な管理会計

 もっとも、そんな多慶屋のビジネスもすべてが順風満帆というわけではない。ある意味では先に述べた豊富な品ぞろえの宿命でもあるのだが、「近年では、ある商品はコンビニと、別の商品は百貨店や専門店と競合するというように、商品ごとに競合相手が異なっています」と竹谷氏は語る。そこで多慶屋が注力しているのが、「情報活用」と「カテゴリー制」という二つの戦略である。

 情報活用は、1980年代からのPOS(販売時点情報管理)の導入、1990年代からのBI(ビジネスインテリジェンス)活用を継承するもので、勘だけに頼らないデータに裏付けられた分析力をさらに強化していく。

 一方のカテゴリー制は、従来は店舗(建物)単位で行われていた販売活動・管理を、2007年に商品カテゴリー単位のチームに再編したもの。接客はもちろん販売戦略や売場のレイアウト、商品の選定から在庫・売り上げ・利益管理まで、各チームが顧客と同じ目線に立って一貫して責任を持つことで、より良い店舗づくりに当たる。

多慶屋では九つのビルにまたがる約19万点の商品をカテゴリー別に管理する

 そして、この二つの戦略を融合的に推進していく基盤として2015年に導入したのが、オラクルの予算管理クラウド(Oracle Planning and Budgeting Cloud Service)である。

 「10店舗の48フロアに分かれている売り場、さらに都内有名会場を使用した「家具インテリアプレミアム催事」などの販売チャネルも包括し、多次元の自由な切り口で予実管理や損益分析などを行える管理会計の仕組みを求めていました。これまでは初期投資や運用コストの重さから導入を見送ってきたのですが、クラウドサービスであれば負担は格段に軽く、導入によって得られる合理化によってコストも十分にペイできると判断し、導入に踏み切りました」と竹谷氏は語る。

 実際、予算管理クラウドの導入効果は非常に大きい。営業企画部の部長を務める伊藤欣司氏は、「以前では無理だった詳細な商品分類での経費の按分が可能となり、分類ごとの営業利益の分析も画期的なスピード感で行えるようになりました」と語る。

 さらに、属人化のリスクも回避された。営業企画部の課長を務める志賀隆広氏は次のように話す。「これまで一人の経理担当者に頼っていたExcelによるデータ集計から脱却し、按分ルールなどを明確にすることで、データがどのように処理されているのか透明化することが出来ました」。

 こうした中から得られる様々な“気づき”を基に、竹谷氏は今後に向けた意気込みを示す。「日本国内とインバウンドの双方のお客様のニーズにお応えできる品ぞろえや店舗づくりを強化していきます。また、これまで手薄だったECサイトの充実も図り、多慶屋独自のオムニチャネルにもチャレンジしていきたいと考えています」。

 予算管理クラウドという新たな武器を手にしたことで、多慶屋には変化する時代に対応していくための次なる“打ち手”が見えてきたようだ。

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