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Digital Transformation あたらしい変革のチカラ

お客様のかゆいところに手が届く顧客対応 そのカギは「人工知能」と「学習機能」

茨城県を地盤とする常陽銀行は、ダイレクトバンキングセンターを2014年7月に設置。その目的は、非対面チャネルでの顧客対応の向上だ。同センターの施策の一つが、顧客が必要とする情報を記載したWebのアンサーページに顧客を的確に導くこと。人工知能+学習機能の活用によりアンサーページの参照回数は倍増した。クラウドの活用により、顧客にとっての利便性は高まっている。

ダイレクトバンキングセンターに非対面チャネル対応の業務を集約

 常陽銀行(本店:水戸市)は、茨城県を地盤とする店舗数179の地方銀行である。銀行としての体力を示す預金残高は7兆7836億円(2015年9月30日現在)と、単独行としては地方銀行で5位。予定されている足利銀行との経営統合後は、全国で3位の地銀グループになる見込みだ。

 かつては法人向け融資をビジネスの核に据えていた銀行業でも、ビジネス変革は急ピッチで進行している。その一つとして各行が取り組みを強化しているのが、個人顧客への“寄り添い”だ。常陽銀行も、ダイレクトバンキングセンターを2014年7月に設置。それまでは商品別・サービス別に行われていたWebなどの非対面チャネルによる顧客対応を1本化し、コンタクトセンターと連携させるかたちで統合的な運用をスタートさせた。

 「ダイレクトバンキングセンターを立ち上げた時から、お客様のかゆいところに手が届くサービスを提供したいと考えていました」。ダイレクトバンキングセンター 企画グループで主任調査役を務める丸岡政貴氏は、こう振り返る。

 特に目指したのは、「時間的制約・物理的制約・心理的障壁」の三つを解消して、多くの顧客に共通する不満を解消すること。具体的には、「コンタクトセンターが閉まる20時以降でも」「わざわざ店舗に足を運ばなくても」「窓口で長時間待たされたりせずに」問い合わせや手続きをセルフサービス方式でできるようにすることが狙いだ。

茨城県を地盤とする常陽銀行

人工知能+学習機能+クラウドで顧客を的確なアンサーページへ導く

 そこでダイレクトバンキングセンターが目指したのが、必要としている情報を記載したWebページ(アンサーページ)に顧客を導くための仕組みを、Webチャネルに組み込むことだった。

 常陽銀行では、ほとんどのWebページに「検索ボックス」と「よくあるご質問へのリンクのリスト」を設けている。この検索ボックスでキーワード/自然文検索したときのヒット率を高めたり、そのときの状況にマッチしたリンクリストを自動表示したりすれば、顧客は目的のアンサーページに素早く到達できるはず、と考えたのである。

常陽銀行のWebページにある検索ボックスと「よくあるご質問」
キーワード/自然文検索に人工知能を活用、学習機能で「よくあるご質問」へのリンクを最適化した

 そのためのITソリューションとして同行が選んだのが、人工知能(AI)と学習機能を装備し、SaaS型のクラウドとして提供されている、オラクルのカスタマーサービス向けクラウド「Oracle Service Cloud」だった。事前調査によって、「キーワード検索方式のものに比べて、人工知能を利用するオラクルのOracle Service Cloudのヒット率は高い」(丸岡氏)ことが確認できたからだ。

 また、従量制課金方式なのでコストを最適化でき、システム改編時も身動きを取りやすい、というクラウドならではのメリットも採用理由の一つ。外部にデータを保管することについても、対象が「元々、一般向けに公開するデータ」(丸岡氏)であることから、同行のコンプライアンス規定に抵触することはなかった。

 導入が決まったのは、2015年3月末のこと。まずは行内業務マニュアルを基にアンサーページを約600ページ用意し、2015年6月に本稼働を開始した。その後も、「コンタクトセンターから得た問い合わせ例」や「アンサーページに導けなかった検索キーワード」などに基づいてアンサーページを毎週追加。アンサーページの記載内容を分かりやすいものに改めていく作業も随時行われている。