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Digital Transformation あたらしい変革のチカラ

モビリティとエネルギーの融合サービス

 瀬戸内カレンの仕組みは、次の通りだ。

 13台の電動二輪車には、いくつかのセンサーと、ソフトバンクのLTE網につながる車載機を搭載。これにより、位置情報などを5秒ごとに送信し、その情報をもとに、動きを可視化することができる。

 電動二輪車の運転状況は、中央管制センターで監視。仮に、急発進や急ブレーキ、コースアウトなどといった運転状況がわかると、運転が適正に行われていないことを自動で検知し、利用者に連絡するといったことが可能だ。

 さらに、豊島と高松港を結ぶフェリーの出発時間が近づいていることを、利用者の位置情報をもとに事前に知らせたり、観光客の走行ルートのデータを蓄積することで、観光サービスに生かしたりといったといったことも想定している。将来的には、蓄積したデータをもとに、機械学習を用いて、観光客からの質問に適切な回答をするといったことも考えている。

 電動二輪車の充電インフラには、ソフトバンクが開発した充電・認証システム「ユビ電」を活用。独自の個体認識技術を採用していることから、充電用のプラグを挿すだけで、電動二輪車の個体識別番号を読み取って利用者を認証し特定する。クラウドと連携することで、誰が、いつ、どこで、どれだけ充電したかを把握することができるという。

 現在、充電が可能なのは豊島家浦港だけだが、今後は島内に充電場所を設置し、利用者が島内で自由に使える環境を提供する。「ユビ電」は使う電気の種類を選ぶことも可能だ。グリーン電力証書(※)を活用することで、香川県の太陽光発電による自然再生エネルギーで充電をまかなう事を可能にしている。

※グリーン電力証書とは、再生可能エネルギーによって発電された電力の環境付加価値を、取引可能な証書(=証券化)にしたもの。

 「島という区切られた環境のなかで、エネルギーを作り、それを利用するという完結型の仕組みを作ることができる。モビリティとエネルギーを組み合わせた新たな提案になる」(ソフトバンク IT統括 ITサービス本部 CPS事業推進室・山口典男室長)

 全周20kmという豊島の大きさは、電動二輪車が一度の充電で走行可能な距離を想定すると、最適な規模だという。これも豊島で事業を行う理由のひとつとなっている。

わずか3日間でIoTサービス基盤を構築

 瀬戸内カレンのIoTサービス提供基盤には、オラクルのクラウドサービスである「Oracle Cloud Platform」を採用している。

 具体的には、「Oracle Internet of Things Cloud Service」のほか、「Oracle Database Cloud Service」、「Oracle Java Cloud Service」の各製品群を活用する。これにより、電動二輪車とリアルタイムに連携して、車両情報や位置情報などを収集し、分析する。

 日本オラクル クラウド・テクノロジー事業統括の本多充執行役員は、「Oracle Internet of Things Cloud Serviceが提供する包括的な機能を活用することで、短期間にサービス基盤を構築できるのが特徴。今回の瀬戸内カレンでは、わずか3日間でサービス基盤を構築できた。これには社内でも驚きの声があった」と語る。

 「Oracle Internet of Things Cloud Service」は、コネクテッド・デバイスからのデータを受信し、分析、連携するためのエンタープライズIoTプラットフォームであり、あらゆるデバイスとセキュアな接続および管理ができる。

 これによって、瀬戸内カレンでは位置情報をもとにした利用者へのリアルタイムなサービス提案や、利用域外への走行に対する警告など、パーソナルモビリティの利便性向上と監視サービス環境を容易かつ柔軟に実現することが可能となった。今後はさらなるサービスの拡張や、データ収集領域の拡大、分析内容の高度化などにあわせて、サービス向上につなげていくことになる。

成功モデルを日本、そして世界へ展開

 瀬戸内カレンの取り組みは、実証実験ではなく「事業」として運営している点が特徴だ。そのため、時限的な制約もなく、地元からの要望がある限り、継続的にサービスを提供していくことになる。

 だが、レンタルする電動二輪車の数が13台と限定していることもあり、大きなビジネスに発展するとは考えていない。既存のレンタサイクルやレンタカー事業、バスなどと共存するとともに、個人が自分で移動するためのパーソナルモビリティとして、既存事業を補完するサービスと位置づけている。

 「まずは、この仕組みが事業として成り立つことを証明するのが大切。それができれば、パッケージサービスとして、大気汚染や環境問題を抱える国内外の都市などを対象に、移動体通信網とつながるパーソナルモビリティ交通インフラとして展開することができる」(ソフトバンクの山口室長)と見込む。

 新興国では、環境汚染などの問題もあり、世界遺産などの一部観光エリアでは、電気自動車以外の進入を制限するといった動きもある。そうした地域に対しても、提案できるソリューションになるというわけだ。

 「『豊島のような仕組みを導入したい』という声がでるようになれば、この事業は成功したといえる」(ソフトバンクの山口室長)

 ソフトバンクでは、この取り組みを第1弾として、日本全国、あるいは世界各国へと展開していくことを次の目標に設定している。

 瀬戸内カレンは、パーソナルモビリティビジネスの創出に向けた試金石であるとともに、観光サービスの充実や環境問題への対応、そして世界展開を視野に入れた取り組みとなっている。

【関連情報】
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