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Digital Transformation あたらしい変革のチカラ

ニュージーランド環境保全省が選択した クラウドで、データの公開(共有)を「安全」かつ「容易」にする方法

PHOTO:MARK TANTRUM/GETTY IMAGES

豊かな自然を有するニュージーランド。国土全体の30%あまりを管理下に置くニュージーランド環境保全省は、今後、世界最大級の海洋保護区もその対象に組み入れる予定だという。同省では広域に渡るデータの取り扱いをより効率的に行い、さらに安全に情報共有していくためのクラウド活用を積極的に推進している。単なる利便性だけでなく安全性、また膨大な既存データの移行が課題となるこの取り組みは、どのように進められているのだろうか。

最新のデータ管理システムへの移行が急務であった理由

 ニュージーランドの行政機関の一つである環境保全省(通称DOC)は、国立公園の管理、野生動物や生態系の保護、環境問題の周知を図ることを主な任務としている。例えば、ハイカーやバックパッカーが保護区を通るときには、季節的な川の氾濫に気をつけるよう注意喚起を行ったり、ミツバチによる地域の生態系破壊の可能性が懸念される場合や感染症の流行で鳥類の個体数が減少するおそれがある場合などの調査も同省が主導する。担当領域が広いということは、当然抱えている仕事や課題も多く、人材、予算は絶対的に不足しているという。

 「環境保全省は仕事量に対しスタッフも予算も足りていないのが現状です。政府の担当範囲にはどうしても限界があり、足りない部分は民間に協力をお願いするほかありません」と同省CIO(最高情報責任者)のマイク・エジントン氏は語る。

 この5年間は、環境保護に取り組んでいる民間団体、大学、科学者などとの協力関係の構築を積極的に進めてきた。とりわけ重視したのは調査結果や研究データの共有、つまり情報管理システムの整備である。「数百万の文献や研究論文を共有するには、対象の文書を効率的に保存、検索できるシステム構築が必要不可欠でした」。

 新しい文書管理システムの導入に踏みきったエジントン氏のチームは、数ある候補の中ら「Content WorX」を選択した。これは、オラクル製品の導入パートナーであるチーム・インフォマティクスとデロイト・アスパローナの合弁会社、チーム・アスパローナが政府機関向けに開発したCaaS型(Content as a Service)と呼ばれるクラウドシステムだ。クラウド上に蓄積したコンテンツを、必要に応じてさまざまな情報端末から利用できるサービスである。

 230万にも及ぶ文献や論文を、検索性の低い「フォルダ分け」で管理していた同省では、必要な資料を迅速に作成することができなかった。だが新しく導入した高度な検索機能を活用することにより、必要な情報に簡単にアクセスすることができるようになった。質の高い情報を入手できれば、閣僚から現場のフィールドスタッフに至るまで、誰でも自然保護活動に効果的に取り組むことができる。「全てのレベルのすべての意思決定者が、必要な情報や文書に簡単にアクセスできるようになりました」環境保全省のIT改革・脅威対策担当ディレクターで、Content WorX導入の最高責任者であるアラン・ロス氏はそう語る。

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環境保全省のCIOマイク・エジントン氏(左)とIT改革・脅威対策担当ディレクターのアラン・ロス氏。オラクルや導入パートナーと連携して新しいデータ管理システムを構築した