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Digital Transformation あたらしい変革のチカラ

地方テレビ局が仕掛ける新しいビジネス戦略

地域に愛されるメディアになるためのヒントとは?

富山県のテレビ局「富山テレビ放送」が、激変するデジタルメディア環境への対応を加速させている。属人化していた営業活動をマーケティング・オートメーションで自動化し、営業の効率化や新規ビジネスの開拓につなげる一方、ソーシャルメディアを活用したコンテンツ力の強化などによってコアなファンを育成していくという。こうした新しいデジタル戦略の背景には、地方テレビ局が持つ強烈な危機感がある。同社のデジタル戦略や今後のビジネス革新の姿を追った。

多様化するスポンサーや視聴者のニーズにどう向き合うべきか

 フジテレビ系列の民放局として1969年の開局以来、“地域で最も愛される局”を追求し続けてきた富山テレビ放送。地域密着型コンテンツも含めた放送事業のほか、多彩なイベント事業の企画・運営も行っている。

 ただし近年は、テレビ業界全体を取り巻く環境が大きく変化し、課題が顕在化している。その大きな要因の1つがデジタルメディアやネットワーク配信の台頭、デジタル放送によるコストの増加だ。それにより、従来から行ってきた手法が通用しなくなりつつあるという。

 「例えばCM枠のスポンサーを募る広告営業はその1つです。以前から“テレビ局なのに、いつまで紙ベースの営業活動を続けていくのだろうか”“このままでは、スポンサーに満足してもらえないのではないか”という危機感がありました」と語るのは、同社のデジタルシフトの陣頭指揮を執る常務取締役 営業局長の奥田 一宏氏である。

奥田 一宏氏
富山テレビ放送株式会社
常務取締役 営業局長 奥田 一宏氏

 現在、全国の営業拠点で活動する営業社員は、セールスシートという紙の企画書を携え、時に広告代理店の手も借りながら、それぞれが開拓もしくは引き継いできた営業先を訪問。基本的には顧客とアポイントをとり、対面で企画の内容を説明し、CM枠を販売している。

 「スマートフォンでも動画が簡単に見られる時代、テレビ局がどうして営業の場で番組の予告編やイメージをビジュアルに提示できないのか。同様に、昔ながらの属人的な営業活動に頼っていることにも改善の必要性を感じていました」と奥田氏は打ち明ける。

 同社が取引しているスポンサーは年間を通して1000社ほど。そのうち番組改編や顧客側担当者の異動などによって毎年、実に約300社が新陳代謝している状況だという。

 デジタルメディアによるマーケティングが成長した現在は、広告効果を数字で示すことが当たり前となっているため、スポンサーは以前より広告効果のROI(投資対効果)を期待するようになっている。付き合いの長さや曖昧な説明だけでは出稿は難しい時代だ。そのため、各番組の企画意図や視聴者層と詳細なペルソナなどを提示しながら、個々のスポンサーが求めるニーズにマッチングした営業活動を展開できれば、互いにROIの最大化が期待できる。だが紙ベースの提案活動や情報管理、属人化したノウハウだけでは、多様化するスポンサーや視聴者のニーズにキャッチアップした営業展開は難しい。

 「メールやSNSなどを活用したスピーディーなコミュニケーション、テレビ局ならではのデジタルセールスシートを使った提案活動に加え、かつてお付き合いしていたお客様や新規のお客様も含めた統合リストを作成し、それぞれの関心事や企業動向などを詳細に整理して全員が利活用できる仕組みを作らなければ効果的な営業活動は行えません。そのためにマーケティング・オートメーションの力が必要だったのです」と奥田氏は言う。