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働き方を変えるモバイル活用の提案が続々

 企業のモバイル導入が定着しつつある中、モバイル端末とクラウドサービスの組み合わせによる、新しいサービスや製品が次々に登場してきた。
 モバイル活用は特に営業の現場において一定の成果を挙げ始めており、また、最近では政府が働き方改革を促す動きがあるなど、モバイル技術を使ったオフィス以外での仕事の進め方整備に企業が力を入れ始めている。
 これら新サービスや新製品の導入を検討しているユーザー企業向けに、製品や活用事例を紹介する「モバイル活用支援フォーラム2016 Autumn」が2016年9月29日に開催され、ベンダー各社やユーザー企業が講演を行った。今回は、モバイル活用における管理機能、セキュリティ対策、そしてビジネス・チャットなどに関心が集まった。

基調講演■青山システムコンサルティング
 モバイルの業務利用の成功には
 組織と業務の見直しが不可欠

青山システムコンサルティング
マネジャー
長谷川 智紀 氏

 「モバイル活用支援フォーラム2016 Autumn」の基調講演では、ITコンサルティングサービスを手がける青山システムコンサルティング マネジャーの長谷川智紀氏が、「スマホ/タブレット導入で終わらせない業務改革につながる次の一手」と題して講演を行った。

 モバイルの業務利用で実現したい世界として長谷川氏は、「業務上の制約をなくして、業務効率を最大化する」ことを掲げる。それは、モバイル端末でもデスクトップ端末でも同様に効率的な業務が可能になることを目標とする。モバイル端末を導入しただけでは業務改善の効果は表れず、現場の業務改革が求められるとの指摘だ。

組織や業務をモバイル活用に適合

 続いて、長谷川氏はモバイル端末を活用する際の課題を3つ掲げた。「1つは、トラックパッドなどのポインティングデバイスがないこと。2つ目はUSBなどを複数利用する拡張性がないこと。そして3つ目が最大の課題で、Officeソフトを完全には実行できないこと」。これらの課題が解決できないと、モバイル活用が可能な範囲が限定的になり、積極的にモバイル活用しない層が登場してしまうという。

 特に国内の企業では、共有フォルダでファイルを共有することで、協業を実現していることが多い。完全なOfficeが使えないタブレットなどのモバイル端末を使うケースでは、そのまま業務を載せ替えることができない。モバイル端末だけで業務を完結させることができないのだ。

 そうした状況と課題を解決するため、長谷川氏は「モバイル業務活用は、組織設計から考えることがポイント」だと提案する。

 「現状の業務を分析し、モバイルワークを洗い出す。そして、モバイルワークを効率的に行うことを大前提として、業務と組織を再編する。シンプルな内容だが、実現するのは大変でトップダウンの意思決定が必要になる」(長谷川氏)。

 その1つの具体的な方策が、モバイルワークを集約することだという。制約があるモバイル端末の利用で、効率化できる業務を洗い出し、組織と業務を再編してモバイルワークを集中させる。そうすることで、モバイル端末で業務が効率化できる部分と、従来のパソコンなどで業務をスムーズに推進できる部分を効果的に組み合わせられるというのだ。

 「いずれにしても、モバイルワークは、システム側の視点で構築してはダメ。特にモバイルは個別最適になりがちで、企業全体としてのメリットを生み出しにくい。業務フローや組織の再編も含めて、企業としてのKPI(重要業績評価指標)を定めて、KPIを高めることを目標とした導入が必要だ」(長谷川氏)と語った。

特別講演■グリー
 業務効率を改善に「チャット」が貢献
 人を超えたコミュニケーションを実現

グリー
情報システム部 ITマネジメントグループ
シニアマネージャー
岡田 寛史 氏

 モバイル活用支援フォーラム2016 Autumnを締めくくる特別講演は、「グリーにおけるビジネスチャットの活用状況」だった。モバイルゲームで急成長を遂げたグリーは、メディアやネット広告、コマースライフスタイルの提供などへと事業の幅を広げ、総合インターネット企業へと躍進している。従業員数は約1500人、オフィスは国内4拠点、海外4拠点で事業展開している。そうした変化の中にあるグリーで情報システム部ITマネジメントグループ シニアマネージャーを務める岡田寛史氏は、社内向けのIT提供のポリシーを「環境変化に強く、効率的でユーザーフレンドリーで、安心して快適に使えるITを目指す」と語る。

PCでもスマホでもチャット

 グリーでは、社員が利用するデバイス上でのアプリケーション別の起動時間を調査した。すると多くの業務システムがWeb化されていることもあり、ブラウザー(Google Chrome)が約半分を占める。次いで多いのがチャットで、メールよりも長い時間利用されているという。グリーで採用しているのはビジネスチャットの「KDDI ChatWork」である。岡田氏は「ビジネスチャットは各社からいろんなツールが提供されているが、普段プライベートで使っているLINEなどのチャットの標準機能に加えて、大企業で利用するのに必要なセキュリティ機能やユーザー管理機能が備わっていることから、企業での導入が進んでいる」と説明する。

 ビジネスチャットを利用した業務の効率化には、2つのポイントがあるという。1つはPCやスマートフォンなど利用デバイスを問わず同様の利用ができること。これにより、移動中だろうと自席にいようと場所に関係なくいつでも必要な情報にアクセスできる。

 もう1つはチャットを利用したタスク自動化だ。チャットの利用は、人間同士のコミュニケーション利用に限らない。岡田氏は、その一例として「チャットbot」を挙げた。チャットbotプログラムを介して、社内システム(例えば監視システムなど)の情報をチャットに自動配信するもの。前述の通り、ユーザーの接触頻度の高いチャットに情報が自動的に配信されるため、担当者の素早い対応が可能になる。また、ビジネスチャット導入の副次的な効果として、岡田氏は「社内メールや内線電話が減少し、コミュニケーションコストが劇的に下がった。迷惑メールがないビジネスチャットでは必要な情報へのアクセスが早く、また電話と違って会話ログも確認できるので、業務改善を目的としている情報システム部が導入するツールとしては好適」と語り、講演を締めくくった。