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情報銀行?MetaArcが生み出す新たな価値

第1回イオンフィナンシャルサービスが取り組む
情報銀行でのパーソナルデータ利活用
~そのプラットフォームとなった「MetaArc」とは~

競争が激化する市場のなかで新たな価値を創出するために、避けて通れない課題となっているデジタル革新の実現。富士通が実施した「世界15カ国の経営者/意思決定者に対するデジタル革新調査」(2017年2月)によれば、すでに68%の企業がデジタル革新の実施やトライアル、検討を進めているという。しかし具体的にどのようなアプローチを行えばいいのか、悩んでいるICT担当者も少なくないはずだ。そこで、デジタル革新を実現するプラットフォームとして注目されている「FUJITSU Digital Business Platform MetaArc(メタアーク)」を取り上げ、どのような取り組みが行われているのかを紹介する。今回は、イオンフィナンシャルサービスによる情報銀行の実証実験。ここで利用されているMetaArcとはどのようなプラットフォームで、実証実験はどのように進められていったのだろうか。

パーソナルデータ利活用で新たな価値創出をMetaArcで実現

 モバイル端末の普及やそれを利用した購買行動・決済等によって、パーソナルデータが日々膨大に生成されるようになっている。これが業界横断的に利活用できるようになれば新たなサービスの創出が加速し、消費者にとっては利便性の向上、企業にとってはビジネスチャンスの拡大につながっていくはずだ。

 このような観点から、イオンフィナンシャルサービスと富士通が2017年8月から10月にかけて実施したのが「情報銀行」の実証実験である。情報銀行とは、個人のパーソナルデータを安全に収集・管理し、その個人が承諾した開示企業に対してパーソナルデータを提供すると共に、データ利用のトレーサビリティも実現するというもの。このような仕組みがあれば、個人が納得できる形でのパーソナルデータ利活用が可能になる。

 今回の実証実験では、富士通の社員がパーソナルデータ提供者として参加。毎日10問のアンケートに回答することで、年齢や居住地、家族構成といった属性情報をはじめ、趣味や嗜好、日々の気分や体調といったデータを「自らの意志で情報銀行に預託」していった。さらにデータのカテゴリーごとに「どの企業に提供するのか」を設定。個人が承諾したデータのみが、データ利用企業に開示されるようになっている。

イオンフィナンシャルサービスと富士通が共同で行った「情報銀行」の実証実験の概要。
イオンフィナンシャルサービスと富士通が共同で行った「情報銀行」の実証実験の概要。このような仕組みが実現されれば、個人が納得できる形でのパーソナルデータ利活用が可能になり、新たなサービスの創出が加速していくはずだ。
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 その中で富士通は、データ蓄積を行う「パーソナルデータストア(PDS)」の提供者として、データ管理方法の安全性や運用性等を検証。また預託されたパーソナルデータの内容や情報量、開示先に応じて、富士通が発行する実証実験専用の企業内仮想コイン「FUJITSUコイン」を、参加者に付与するという取り組みを行った。「FUJITSUコイン」はブロックチェーンの分散台帳で管理され、一部店舗で利用できるクーポンへの交換が可能。これによって、データ提供のインセンティブをどのように高めていくかも検証されていったのだ。さらにパーソナルデータを活用した、保険相談などのライフコンサルティングも行われている。

 その一方でイオンフィナンシャルサービスは、パーソナルデータを利用する企業として、PDSへのアクセス方法や、パーソナルデータにもとづく金融商品・サービスなどの提供方法を検証。これによって、企業がパーソナルデータを利活用するための知見や、データを活用したサービス提供に関するノウハウを蓄積していった。

 この実証実験がこのタイミングで行われたことには大きな意味がある。それは個人情報に対する考え方が、近年大きく変わりつつあるからである。

佐藤 和英 氏
富士通株式会社
金融イノベーションビジネス統括部
ビジネス企画部長
佐藤 和英

 「以前の個人情報の扱いは、『保護』という観点でのみ語られることが一般的でしたが、最近では個人情報を積極的に活用することで、個人の利便性向上につなげていこうという気運が高まっています」。このように語るのは、この実証実験に参加している富士通 金融イノベーションビジネス統括部 ビジネス企画部長の佐藤和英氏。すでに2017年5月から施行された「改正個人情報保護法」でも、個人情報保護の強化とともに、個人情報の取得や第三者提供に関する方針が明記されている。また2017年6月には「データ流通促進協議会」の第1回設立発起人会が開催され、データ流通市場活性化に向けた動きも進みつつあるという。

 共創の基盤として、この実証実験を支えるのが、「FUJITSU Digital Business Platform MetaArc」である。MetaArcにはデジタル革新を実現する様々なコンポーネントが用意されており、その1つであるパーソナルデータ管理サービス「FUJITSU Cloud Service K5 Personium Service」を利用することで、安全なデータ保管や適切なアクセス管理、データ提供の際のアプリケーション認証等の機能を提供している。

デジタル革新に求められるプラットフォームとは

宮沢 健太 氏
富士通株式会社
マーケティング戦略本部
MetaArc戦略統括部 統括部長
宮沢 健太

 それではMetaArcとは、どのようなプラットフォームなのか。「MetaArcには4つの特長があります」と、富士通 マーケティング戦略本部 MetaArc戦略統括部 統括部長 宮沢健太氏は説明する。

 第1は、デジタル革新を実現するビジネスプラットフォームであること。クラウドやモバイル、IoT、AIといった最先端のICT技術を実装し、運用などを含めたマネージドサービスも提供している。これによって新規サービスを提供するシステムの迅速な立ち上げと、トライアル&エラーを短期間のうちに行えるようにしているのだ。

 デジタル革新を実現するには、新システムが短期構築できるだけでは十分ではない。既存のICTシステムと連携できることも不可欠だといえる。MetaArcではこれも可能になっており、従来の基幹システムの情報も活用しながら、デジタル革新に取り組めるようにしている。これが第2の特長だ。

 第3は、金融や製造などの業種別プラットフォームサービスを提供していること。業種ごとのデジタルビジネスを実現するためのSaaSやPaaS、ソリューションパッケージなどが用意されており、それらをAPI経由で利用できる。第1の特長と同様に、これも新規サービス提供を迅速化する上で、大きな効果を発揮する。

 そして第4が、業界の垣根を超えたエコシステムを活用できることである。デジタル革新は、複数企業の連携や、業種を超えたパートナーシップも重要になる。MetaArc上ではパートナー企業やISV、ベンチャー企業などマルチベンダーのサービスを提供しており、最適なサービスをつないで新たな価値を生み出せるようにしている。これによって、より大きな価値をデジタル革新で生み出せるようにしているのだ。

MetaArcの全体像。
MetaArcの全体像。クラウドサービスである「K5」を中心に、多岐にわたる要素で構成されていることがわかる。これらすべてを包含することで、デジタル革新を支えるプラットフォームを実現している
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 「MetaArcという名称は、ギリシャ語で“超える”を意味する『Meta』と、“つなぐ”という意味を込めた『Arc』を組み合わせた造語です。つまり、組織や企業、業界の枠を“超え”、人やモノ、情報を“つないでいく”ためのプラットフォームを目指しているのです。また富士通はこのプラットフォームを提供するだけではなく、そのポテンシャルを最大限に引き出すためのナレッジや、お客様とともに新たな価値創出を推進する“共創の場”もご用意しています。広い意味ではこれらも、MetaArcを構成する要素だといえるでしょう」(宮沢氏)。

業界の壁を超えた「共創」が実証実験を後押し

 今回の情報銀行の実証実験に至るプロセスを見ていくと、MetaArcのこれらの特長が活かされていることがはっきりと理解できる。

 まず注目したいのが、イオンフィナンシャルサービスと富士通の金融担当部門が、2016年からハッカソンの開催などを通じて、新たな価値を一緒に創り上げるための「共創」を行っていたということである。このなかで複数のビジネスアイデアが生まれており、その1つが「ライフログを銀行やリテールのマーケティングに活用できないか」というものだった。

 その一方で、富士通内では、情報銀行に必要となるパーソナルデータ管理のサービスを企画・開発していた。イオンフィナンシャルサービスと富士通の共創で生まれたビジネスアイデアは、このサービスと出会うことでより現実性の高い内容へと昇華していく。そして今回の実証実験へとつながっていくのである。

 2017年4月には富士通社内で準備のためのプロジェクトが発足、実証実験で検証すべき仮説や実施方法等が明確化されていく。そしてイオンフィナンシャルサービスへの提案が行われ、2017年8月から実証実験が開始されることになる。

 実証実験の最中も、両社は週に2回のペースでワークショップを開催。ライフログからどのような情報を抽出したいのか、そのためにはどのような質問内容にするべきなのか、そして回答への動機付けをいかにして維持していくかという検討を、継続的に行っている。企業の壁を超えた密接な関係を作り上げることで、お互いのナレッジを融合させていくという取り組みを、積極的に進めてきたのだ。

 なお富士通は、前述の「データ流通促進協議会」の発起人にもなっている。「個人情報の適正開示に対し、真正面から取り組んでいきたいと考えています」と佐藤氏。商用サービスとしての情報銀行も今後数多く立ち上がることになるはずだが、今回の実証実験で得られた知見は、それらのサービス実現にも活かせるだろうと語る。

デジタル革新を本気で実現するためには

 ここで興味深いのは、クラウドサービスを中核とした各商品やサービスの提供にとどまらず、新規事業のアイデア出しからその検証方法、実証実験に必要な参加者の募集まで、全面的に富士通が関与しているという点である。つまり同社の活動は、「顧客の要望に合わせてICT製品やサービスを提供する」といったICT企業としての枠組みを大きく超えているのだ。だからこそ、デジタル革新を支えるプラットフォームでも、MetaArcのような「従来の枠組みを超えたプラットフォーム」を構想できたのではないだろうか。

 富士通はこのような活動と、それを支えるMetaArcによって、ほかにも数多くの顧客とのデジタル革新を実現している。MetaArcは日本のデジタル革新を牽引する、強力なエンジンになっているといえるだろう。では具体的にどのような取り組みを行っているのか。次回からは先進的な事例や取り組みをピックアップしてみていこう。

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