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ハイパーコンバージドインフラの選び方

ハイパーコンバージドインフラは、従来のITインフラの構築・運用を劇的に簡素化し、ビジネスに応じてより俊敏にITサービスの提供を可能とする。その市場も急拡大しており、様々な製品がリリースされ、ユーザーはその選択に迷うことが増えているのではないだろうか。そこで今回、VMware vSphereに対応する代表的なハイパーコンバージドアプライアンス製品を取り上げ、その違いと選択時の留意点についてまとめた。

ハイパーコンバージドインフラはどこまで使えるのか

 ITインフラ全体の投資額が増えない企業が多い中で、急速にユーザーが投資を増やしているITインフラソリューションがある。それが、ハイパーコンバージドインフラだ。IDCの調査によると、2016年から2021年にかけて31%の年平均成長率でハイパーコンバージドに対するユーザーの支出が増大するという(出典:国内ハイパーコンバージドシステム市場予測、2017年~2021年,IDC #JPJ42465017、2017年5月発行)。その支出の理由として上げられるのが、運用管理の効率化とビジネスニーズへの迅速な対応だ。

 従来それらを妨げてきた主な要因が、サーバーとストレージの運用スタックの分断だ。同じx86アーキテクチャーで作られたシステムにも関わらず、個々に設計・構築し、パッチやアップデート前には互換性に関する十分な事前検証を要した。

 しかし、その運用スタックの分断を余技なくされていた要素も取り除かれようとしている。

 CPUの性能は著しく向上し、ハードウエアに依存しないソフトウエアデファインドストレージの技術が成熟化し、一つのx86サーバーシステム上にソフトウエアデファインドストレージを統合して、単一の運用スタックとして設計・構築・運用できるようになった。

 今や、電源を投入してからわずか15分程度でVMが使用できるようになる。拡張も5分で完了する。クラウドサービスライクな運用をオンプレミスで実現し、運用にかけてきたコストを低減して、ITのスピードを向上させることができるようになった。

ハイパーコンバージドインフラの特徴
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 では、ハイパーコンバージドインフラは、これまでのシステムをどこまで置き換えることが可能なのか? 実際に導入されている用途を見ると、小規模から始めて規模を拡大していく仮想デスクトップやWebアプリケーション、テスト開発用のデータベースなどが多くを占めている。

 その適用領域に対しては、ハイパーコンバージドインフラ製品であればどれでも同じように効果を得られるのかというと、そうではない。

 ハイパーコンバージドインフラ製品でも、アーキテクチャーの違いにより得意なワークロード特性も異なれば、データサービスの成熟度も異なる。設計思想によって運用の違いも生じる。将来にわたってどこまで適用していくかを考える際に、これらの要件と各製品の設計思想を理解することが重要となるだろう。

 そこで、今回Dell EMCが提供しているハイパーコンバージドインフラ製品の中から、インテル® Xeon® プロセッサーを搭載し、VMware vSANをベースとしたハイパーコンバージドアプライアンス「Dell EMC VxRail」と、同じくインテル® Xeon® プロセッサーを搭載し、Nutanixをベースとした「Dell EMC XCシリーズ」を取り上げ、その二つの違いについて解説する。

ハイパーコンバージドインフラの設計思想の違い

 新たにハイパーコンバージドインフラを導入、または既存のシステムからハイパーコンバージドにリプレイスする際に、まず気になるのはパフォーマンスではないだろうか。従来、専用ストレージシステムには専用のCPUとメモリーからなるコントローラーが内蔵されていた。それがハイパーコンバージドインフラでは、サーバー内にそのリソースが統合されていることで、I/O負荷が集中するのでは、という懸念もあるだろう。

 しかし、ハイパーコンバージドインフラは、分散型のアーキテクチャーにより、CPU負荷とI/O負荷をノード間で分散することができる。ノードの追加によって簡単にI/O性能を向上させることができ、数百万以上のIOPS(1秒間のI/O処理件数)という専用ストレージシステムを越える性能を出すことも可能である。特に4KB、8KBのデータが多くを占めるデータベースのような小さいブロック単位で大量のI/Oが発生するアプリケーションにはワークロード特性上向いていると言える。

 しかし、分散型のアーキテクチャーは、ネットワークを介して分散するため、例えば3D CADのような大容量のファイルを一度に読み込むようなワークロードでは帯域がボトルネックとなり得る。また、分散型のアーキテクチャーは、キャッシュのヒット率が低下するのが弱点である。そうした点にどう対処しているのかという点で、ハイパーコンバージドインフラ製品の設計思想の違いが見えてくる。

 vSANベースのVxRailとNutanixベースのXCシリーズともに実装しているのは、キャッシュのヒット率を上げる機能。そして、統合されたことによってCPUにかかる負荷を極力低減させるためのI/Oパスの最適化である。しかし、大きく違う点は、分散型のアーキテクチャーを最大限最適に使うVxRailのアプローチに対して、XCは、分散型の中に一部ローカリティを確保する機能を実装していることである。

性能に対するアプローチ
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ハイパーコンバージドインフラ選択時の留意点

①分散 vs ローカリティ

 NutanixベースのXCシリーズでは、データをオンデマンドでアプリケーションと同一ノード内のデータストアに片寄せする。そうすることで、できるだけネットワークを介さずに読み書きをすることが可能となっている。分散型のアーキテクチャーでありながら、帯域セントリックなI/Oにも対処していくという思想が表れている。

 さらに、ローカリティを確保する際に生じる欠点にも対処している。例えば、仮想デスクトップ環境でデスクトップ展開方式としてリンククローンを採用している場合、全てのクライアントが、OS/共通アプリケーションを含むマスターデータにアクセスする。マスターデータはどこかのノードに配置されるが、そうすると同一ノードに配置されたクライアントと他のノードに配置されたクライアントで性能の差が生じることになる。そこでXCは、マスターデータをノード間のキャッシュに分散することで、どのノードからでも同じ性能を提供可能としている。

 VxRailはどうかというと、I/O、キャッシュ共に分散アーキテクチャーを取っている。このアプローチのメリットはシンプルである点だ。ローカリティの機能でノード内にリソースを集約することは、特定アプリケーションに負荷が集中した場合に、アプリケーションの計算処理とI/O処理の間でリソース上の競合が生じるリスクが高まる。VxRailは、それぞれのリソースは分散されているため、リソースの競合のリスクが少なく、ノードの拡張によって予測のできる性能向上が得やすい。帯域は将来的にNVMeなどの高速なインタフェースが採用されることで解決できる余地もある。

 また、実際に、帯域セントリックなワークロードがどれくらいあるのか、という点も理解しておいたほうがよいだろう。Dell EMCが長年にわたり実際のユーザーを調査してきた結果では、4KB、8KBのワークロードが全体の6割、それ以下のスモールブロックを含めると小ブロックのI/Oセントリックなワークロードは全体の7割以上を占めている。ほとんどの一般的なアプリケーションは、分散型のアーキテクチャーで問題なく性能を発揮できるというわけだ。

分散とローカリティ
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②I/Oパスの最小化手法と柔軟性

 I/Oパスの最小化手法にも違いがある。vSANは、vSphereのカーネルに組み込まれていることで、最小のI/Oパスを実現している。それに対して、XCシリーズはハイパーバイザ上にストレージのコントロールVMを配備するアーキテクチャーを取っている。I/Oはハイパーバイザーをバイパスすることで、I/Oパスの最小化を図っているが、1 I/O当たりのリソース消費は、VxRailのほうが少なくなる。

 しかしながら、ハイパーバイザーに組み込まれていることによる制約もある。例えば、vSphereの古いバージョンを他のシステムで使用しており、運用管理上vSphereのバージョンをそろえたい、しかしvSANの最新の機能は活用したいという場合、vSphereに組み込まれたvSAN部分のみをアップグレードすることはできない。vSANとvSphereのバージョンは同時にアップグレードする必要がある。

 それに対してハイパーバイザーから分離されているXCシリーズでは、ハイパーバイザーとストレージVMのバージョンは分けて管理できる。しかしながら、個別にバージョン管理をすることは、その間の互換性の影響などを考慮し、検証などを要する場合も出てくる。vSANはバージョン管理、互換性の影響を排除し、シンプルにシステムを運用することができる。これも設計思想の違いによるものである。

I/Oパスの最小化と柔軟性
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 端的にいえば、vSANベースのVxRailはシンプルを追求し、NutanixベースのXCシリーズは汎用的に利用できる柔軟性を強化している。そのどちらがユーザーの環境に適しているかは運用上何を重視するかによって変わってくる、と言えるだろう。

 今回、VMware vSphereに対応するハイパーコンバージドアプライアンス製品として、VxRailとXCシリーズを取り上げたが、Dell EMCではネットワーク仮想化も統合されて大規模にスケールできるVxRackや、ハードウエアをより柔軟に選択できるvSAN Ready Node、Hyper-Vに対応したS2D(Storage Space Direct)Ready Nodeなども展開しており、より広範なハイパーコンバージドインフラの選択に関するアドバイスが可能である。

 また、専用ストレージ製品も販売していることから、ハイパーコンバージドインフラありきではなく、ハイパーコンバージドインフラがユーザーにとって本当に最適なのか? といった観点でのアドバイスも可能だ。

 迷ったときには、ぜひDell EMCに聞いてみよう。

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