• ビジネス
  • xTECH
  • 医療
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版
  • 日経BP
日経 xTECH Special 日経 xTECH 日経 xTECH Special

AIで金融業界のビジネス価値を生み出す

マイクロソフトはメールサービス「Hotmail」の迷惑メールの判別から、「Skype」での言語認識と早くから自社のビジネスにAI(人工知能)を活用してきた。2016年10月にはAI専門の研究所を設立するなど、AI分野を積極的にリードする姿勢を見せる。同社はAIをどう位置付け、金融ビジネスの領域でどのような支援をしているのだろうか。

AIの民主化をテーマに誰もが使えるAIを推進

日本マイクロソフト株式会社
金融サービス営業統括本部
シニアインダストリーマネージャー
平原 邦久

 早くから自社ビジネスにAIを活用してきたマイクロソフトにとって、AIはビジネスの中で使われてこそ価値があるものだ。日本マイクロソフトの平原邦久氏は「AIは企業がデジタライゼーションやデジタルトランスフォーメーションを進める上での有効な手段の一つ」と位置付ける。

 同社が掲げるAI活用の考え方は二つ。まず、ビッグデータと組み合わせることで、ビジネスに有用な価値を引き出すこと。そして、データを意思決定に変えて、より早くより的確なアクションを促す必要があるところに活用すること。これは金融ビジネスの領域でも変わらない。

 2017年11月に同社は野村総合研究所(NRI)と共同で「金融デジタルイノベーションコンソーシアム」を発足させた。狙いは、金融ビジネスのデジタルイノベーションを支援すること。2018年4月から本格稼働を開始する。そこでも共通課題としてチャットボットのエンジンなどAIの要素技術を取り上げ、今後実証実験などを行っていく予定だ。

 マイクロソフトはAI分野で「すべての人すべての組織のためのAIの民主化」をテーマに掲げる。「AIは人の能力を拡張するもの。みんながAIを活用できるようになれば、物珍しくなくなります。データの収集から分析、アウトプットまで一気通貫で簡単に使えるAIを提案していきます」と平原氏は説明する。2016年にはAIの実用化を推進するために組織改編にも取り組み、5000名規模の「Microsoft AI and Research Group」を設立した。

 そんな同社が具体的に提供しているのが、Microsoft Azureによるインテリジェントクラウドだ。データベースに対して機械学習でAIを使えるようになっており、ドラッグ&ドロップでアルゴリズムを作成できるツールや様々なWeb APIを提供する。すべてはAIという先端技術を使いやすくするための仕掛けである。

「先端技術を使いやすく」というマイクロソフトの取り組み
[画像のクリックで拡大表示]

Microsoft Azure上でシナリオやAPIを提供

 同社の機械学習のAI実装を支援するサービスは、大きく三つだ。GUIで直感的に素早く開発できる環境、簡単に使える充実したアルゴリズム群の提供、そして作ったモデルをすぐにWeb APIとして発行する仕組みだ。

 さらに、AIを簡単に実装するために「予兆」「レコメンデーション」「テキスト分析」といった代表的なシナリオをあらかじめ用意。画像認識や音声認識、ナレッジサーチなど、ディープラーニング手法による大規模なコンピューティングパワーを必要とする処理をMicrosoft AzureのAPIサービスとして公開している。

 平原氏は「Microsoft Azure上のAIサービスに、Office365とMicrosoft Dynamicsを加えて、トータルで安全性の高いソリューションを提供していきます」と語る。Microsoft Dynamicsによって一元的に管理している社内のデータを、Microsoft Azure上のレコメンデーションエンジンで分析して、チャットボットに利用するといったことが想定される。

 実際に、こうした仕組みを活用したAIプロジェクトが多数進められている。アメリカの大手銀行のバンク・オブ・ニューヨーク・メロン(BNY Melon)では、AIとブロックチェーンによるクロスボーダーでの送金事務適正化の実証実験を展開する。ブロックチェーン技術「Ethereum」を活用して電子署名などの送金業務に関する情報をハッシュ化してセキュアな情報伝達を可能とするとともに、金融機関のデータ送受信の世界標準フォーマットであるSWIFT MT103 のフィールドだけでは不十分な情報の追加入力を従来のマニュアル処理からRPAを活用して自動化。さらに送金データをアルゴリズムで分析し、アンチマネーロンダリング対策を実施する。これらの一連の処理はすべてMicrosoft Azure上で行われる。

 また、三井住友銀行では働き方改革のために、Office365のデータを基に社員の行動を分析するツール「MyAnalytics」を試験導入。会議中にメールを送信していると会議へ参加する必要性に疑問を提示したり、効率的なコラボレーションの進め方や他の人の参考となる仕事の進め方をAIがアドバイスしたりすることで、業務の生産性向上に取り組んでいる。

 金融サービスの分野では、これらの他にも顧客接点の強化と業務効率の両立、画像分析によるデジタルサイネージの最適化といった先進的なプロジェクトが進められている。

トライアンドエラーを繰り返すことが
成功につながる

 「AIプロジェクトでは、ツールやデータ、業務ソリューション、組織やプロジェクトという三つの要素を組み合わせて、お客様と話しながら進めていくことが成功の鍵になります」と平原氏は説明する。

 ツールやデータはWhatとHowであり、業務ソリューションがWhyとWhere、組織やプロジェクトがWhoとWhenに当たる。これら5W1Hを明確に認識することで、AI導入の成果を上げられる。

AIプロジェクトの進め方の例
[画像のクリックで拡大表示]

 未知数な部分が多いAI導入プロジェクトでは、検証フェーズと本番フェーズに分けて進められるケースがほとんどだ。「重要なのはこの検証フェーズをトライアンドエラーで素早く回すことです」と平原氏は指摘する。

 トライアンドエラーを繰り返すためには、安価でスピーディーに対応でき、改修しやすくメンテナンスしやすい環境が求められる。同社がAIプロジェクトのプラットフォームとしてMicrosoft Azureを推奨する理由もそこにある。

 「プロジェクトの構成要素の中でも、目標設定やデータ収集、事前加工、自動化は人手が介在しますが、モデル学習やモデル評価、APIの発行については自動化が可能です。そのすべてをクラウド上で行うことで、トライアンドエラーを加速することができるのです」と平原氏は説く。

 同社ではAIの導入支援サービスとしてワークショップを用意し、そこで概念検証を行っている。ワークショップではAIを構成する要素技術を理解し、利用シナリオを作成し、概念検証でそのシナリオを想定したアーキテクチャーによるデモで効果を確認する。そこでは同社がワールドワイドでのコンサルティングで培ったノウハウが提供されるという。

 最後に平原氏は「企業がITイノベーションで生き残るためにはAIの活用は欠かせません。もし社長から“AIを買ってこい”と言われたら、ぜひマイクロソフトにお声がけください」と話す。AIを手軽に利用するために、同社のインテリジェントクラウドは強い味方になるはずだ。

お問い合わせ
  • 日本マイクロソフト

    〒108-0075 東京都港区港南2-16-3 品川グランドセントラルタワー

    TEL:0120-41-6755(マイクロソフト カスタマーインフォーメーションセンター)
    9:00-17:30 土日祝日、弊社指定休業日を除く

    URL:http://aka.ms/adj