Special Report

2020年・Windows 7 延長サポート終了 - その時企業は、自治体は?

迫る Windows 7 の延長サポート終了 松山市はなぜ Windows 10 への早期移行を考えたのか

3500台の一般事務用 PC 更新にあたり、
Windows 10 導入を決断

 愛媛県の県庁所在地である松山市は、瀬戸内海に面した、温暖な地域に位置する。市の中心には松山城がそびえ、城下町として栄えた歴史を受け継ぎ、市内には日本最古といわれる道後温泉もあり、観光地としても魅力溢れる街だ。松山市の人口は512,373人(2017年4月1日現在)。四国地方では最大の市だ。市が管轄する支所や公民館などの出先機関は約150カ所に及び、それら出先機関も含めた松山市の全 ICT インフラを管理しているのが、総合政策部 電子行政課である。

“日本最古の温泉”といわれる道後温泉。松山の観光名所だ。

 松山市 総合政策部 電子行政課 副主幹の山崎 正人氏は、「松山市では本庁および出先機関あわせ約3500台の PC を一般事務用に利用しています。これらの PC を2015年、2016年の2年で全て更新し、OS を Windows 10 に切り替えました」と話す。
 松山市の一般事務用 PC は前回、2009年から2011年にかけて更新し、OS を Windows XP から Windows 7 へ切り替えた。今回の更新はそれら PC の保守期間終了にともなうものである。しかし、更新にあたってはひとつの問題があった。それは、PC 更新にあたり OS をどうするかだ。松山市には選択肢が3つあった。従来使用してきた Windows 7 を使い続けるか、Windows 8 もしくは Windows 10 へ切り替えるかである。
 「 Windows 7 のサポートが2020年で終了することは分かっていましたので、使い続ければ3年後に必ず問題が起こります。また、Windows 8 では更新してもすぐに古い OS になります。私たち電子行政課では常に、業務と、それを行う職員にとってベストな環境、安全な環境を目指し、インフラの検討を行っています。今後5年以上使用することになるOSなので、最新のユーザーインターフェースの活用や、PCメーカーの主力製品を使える発展性の面からも、Windows10 を軸にしたいと考えました」と話すのは、松山市 総合政策部 電子行政課 主査の沼田 友和氏だ。
 最新の Windows 10 には、進化する脅威に対応する、高度なセキュリティ機能が標準で搭載されている。そこへの期待もあった。「市民の大切な情報をお預かりしていますので、セキュリティは特に重要です。OS のサポートが切れると新しい脅威への対応も難しくなりますから、そうした観点からも最新の Windows 10 を選択すべきと考えました」と沼田氏は語る。

松山市 総合政策部 電子行政課 副主幹

山崎 正人氏

松山市 総合政策部 電子行政課 主査

沼田 友和氏

少人数の実機検証で起こりうる
不具合や問題に確実に対処

 松山市が PC 更新を検討しているタイミングでは、まだ Windows 10 の正式版は発売されていなかった。それでもなお、Windows 10 の導入検討を早期に進めた理由はなにか。山崎氏は、「なにより、世間の Windows XP サポート終了時の混乱を見てきましたので、同様のことは避けたいと強く思いました」と話す。
 沼田氏も余裕を持った計画立案が大切だと強調し、「どのタイミングで入れ替えても手間が一緒であれば、早めに着手した方がしっかりと準備もできますし、対応に追われなくて済みます。ギリギリまで待って良いことがあれば待ちますが、こと OS 刷新に関しては、待っても何もメリットはありません」と言いきる。
 Windows 10 の検証は電子行政課で実施された。まず課内で数人の PC の OS を Windows 10 の評価版に入れ替えた。評価機を別に用意するのではなく、実際に業務で利用し、不具合や問題を抽出していった。同時に、各アプリケーションの導入業者に対し、Windows10のサポート状況確認と要望を出すことも行った。
 「数か月間を掛けてじっくり検証しました。最初は数人から始めて、徐々に人数を増やしながら実際の業務に利用して問題がないかを洗い出していきました。結果として、業務アプリケーションが動作しないなどといった大きな問題はなく、安心して利用できることが分かりました。最近ではアプリケーションがブラウザベースになっていることも、不具合が発生しなかった要因の1つだと思います」と沼田氏は振り返る。
 検証の結果、新しい PC にはWindows 10 を導入することを正式に決定。検討当時は、情報系PCはインターネットを直接利用可能な環境にあり、今後も新しいサービスを積極的に取り入れていきたいという思いから、OS のブランチには継続的に機能が最新化される「CB(Current Branch)」「CBB(Current Branch for Business)」を選択している。

電子行政課が強いリーダーシップを発揮し全庁理解を得る