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CRMとの一体化で“誰もが使えるAI”に

企業がビジネスにおいてAI技術の恩恵を享受するには、データの準備・統合といった環境構築やデータサイエンティストの配備など、多大な労力とコストが不可欠だ。セールスフォース・ドットコムでは、その提供するAI技術「Salesforce Einstein」を同社CRM基盤に組み込むかたちで提供。“誰もが使えるAI”の実現を目指している。
AI技術のビジネス活用において背景にある複雑性が課題
セールスフォース・ドットコム
マーケティング本部
プロダクトマーケティング
シニアディレクター
御代(みよ) 茂樹 氏

 すでに、Eコマースサイトにおける機械学習によるリコメンドや、スマートフォンに搭載された自然言語処理に基づく音声アシスタント機能など、AI 技術は我々の生活に浸透している。

 企業がビジネスにおいてAIを活用していくには、インフラの整備やデータの収集・統合に始まり、データサイエンティストの配備、モデリングの実施など、広範な領域にわたる取り組みが必要だ。「AI による恩恵の裏には多大な“複雑性”が存在し、それを利用できる環境をユーザーが自社で整えるのは容易ではありません」とセールスフォース・ドットコムの御代茂樹氏は指摘する。

 これに対し、多くの企業で簡便にAIの恩恵を享受できる仕組みを提供していくのが、セールスフォース・ドットコムのスタンスだ。「3年以上前から、関連技術に強い13の企業を買収し、投資を行って開発体制を整えました」と御代氏は紹介する。

図1:Einsteinの仕組み
[画像のクリックで拡大表示]
異なるビジネス要件や保有データの
組織ごとに最適なモデルを提供
セールスフォース・ドットコム
マーケティング本部
プロダクトマーケティング
ディレクター
田崎 純一郎 氏

 そして、2016年9月に「Salesforce Einstein」を発表し、AIを単体製品としてではなく、Salesforceのプラットフォームに組み込み提供するコンセプトを掲げた。具体的には、同社のSales CloudやService Cloud、Marketing Cloudといった各CRM基盤の内部に、Einsteinを1つのレイヤとして埋め込み、各サービスに最適なAI機能を提供していく。

 一般にAIを顧客把握に生かすうえで不可欠な要素が、「データ」「モデル」「ビジネスコンテキスト」である。

 まず「データ」については、例えばSalesCloud上には営業活動の記録や、メール・電話を介して顧客との間で行われた商談の情報が保持されている。またService Cloudには、顧客からの問い合わせや応対の内容などの情報、さらにMarketing Cloudなら、どのチャネルでのどのようなマーケティング施策を実施し、反響がどうだったかといった情報が蓄積される。「Salesforce のユーザーは、CRM基盤上にあらかじめ保持されたデータをそのまま活用し、AIで処理させることが可能になります」と御代氏は説明する。

 次に「モデル」では、事業スタイルや保有するデータが異なる顧客企業ごとに最も適したAIのモデルを、Einsteinが自動的に選定して提供する仕組みを実現。

 さらに「ビジネスコンテキスト」においては、AIを営業やマーケティング活動のどの局面で利用すべきかがすでに設計されているので、Sales CloudやMarketing Cloudなどの利用者が日常業務においてAI機能を意識しなくても、必要な答えやインサイトを手に入れられるよう整っている。

 「現在、セールスフォース・ドットコムには高度なスキルを持つデータサイエンティスト175名が在籍。広範なビジネス領域の多種多様なモデルを用意し、最適なAIの活用法をSalesforceの各プラットフォーム上で提案します」と御代氏は言う。

図2:Customer Success Platformに組み込まれたEinstein
[画像のクリックで拡大表示]
AIを駆使した多彩な機能の提供で
営業、マーケティングをスマート化

 Einsteinは、37の機能がリリースされており、自然言語処理やディープラーニング、機械学習、予測分析などの幅広いAI 機能をベースに、「発見」「予測」「推奨」「自動化」というメリットを提供している。「例えば『Salesforce Inbox』と呼ばれる機能では、Salesforce上の営業担当者の行動履歴やメール内容、スケジュール情報のほか、GmailやOffice365などの外部サービスと連携してデータを取り込んで、お客様とのコネクションを分析できます」と語るのはセールスフォース・ドットコムの田崎純一郎氏。

 またEinsteinでは、インテリジェントなスコアリングに基づく予測によって、見込み顧客の優先順位付けを支援する機能や、メール内容から商談の阻害要因を発見し、より効果的な商談アプローチをアドバイスする機能なども用意。営業活動において商機を的確に掴めるよう強力に支援する。

 さらに、送信したキャンペーンメールの開封や、メール内に記したURLのクリックといったユーザーの行動を分析し、効果を予測する機能も提供。分析した挙動から顧客をセグメント化し、最適な顧客層を選んで施策を打つことが可能となる。「キャンペーン情報の発信でも、メールやSNS広告、モバイルへのプッシュ通知といったチャネルの選択、あるいは情報発信する日時などについて、接触率が高まる予測に基づいて顧客ごとに最適化します」と田崎氏は紹介する。

 2017年3月6日にセールスフォース・ドットコムでは、IBMとの間でAI 技術の提供に関するグローバルな戦略的提携を発表。IBMのコグニティブ・コンピューティング技術「Watson」とEinsteinの連携により、さらに高度な顧客エンゲージメントの実現を支援していく。「その一環として、2017年後半に、Watsonの各種APIをSalesforceに実装する予定です。WatsonとEinsteinを組み合わせた、よりスマートなビジネス環境の実現を提案していきます」と御代氏はセッションを締めくくった。

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