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アリババ仕込みで、パブリッククラウド参入

ソフトバンクは2016年1月、世界最大の電子商取引会社である中国のアリババグループと合弁会社のSBクラウドを設立し、パブリッククラウド市場に本格的に参入した。高パフォーマンスで定評のAlibaba Cloudを、日本国内にある高セキュリティのデータセンターで提供し、月額1200円から利用できるパッケージメニューなどを用意。グローバルな展開に適しており、中国で事業展開する日本企業も採用を開始している。
SBクラウド
ソフトバンク
クラウド事業推進室
二宮暢昭 氏

 iPhoneの発売をきっかけにスマートフォンが爆発的に普及し、だれもが手のひらの上でインターネットを利用できるモバイルインターネットが実現した。それに続き、IoTというパラダイムシフトが起き始めている。インターネットにつながるデバイスの数は今後20年間で爆発的に急増し、2035年には世界で1兆個に達すると見込まれる。

 IoTの可能性は計り知れない。IoT(ビッグデータ)だけではなく、AI、ロボットなどのテクノロジーは急速に進化し、こうしたテクノロジーの融合で自動運転車や超高速の自動株取引、遠隔医療などが現実味を帯び始めている。テクノロジーの進化がビジネスの進化を大きく左右する時代が到来しつつある。

 こうしたテクノロジーはすべてクラウドを通じてエンドポイントと結び付いている。既にクラウドは欠かせないITインフラになりつつあるが、今後、その重要性は一段と高くなる。中でも、パブリッククラウドは飛躍的に成長するとみられる。しかし、その一方で課題も浮上している。大手クラウドベンダーのパブリッククラウドに利用が集中し、障害などの発生によるサービス停止などが表面化し始めた。ビジネスのグローバル化が加速する中で、リスク回避やBCP(事業継続計画)対策という観点から強固で可用性の高いIaaSの必要性が一段と高まっている。

377秒で100TBを処理する高性能
日本国内の高セキュリティDC

 ソフトバンクグループのSBクラウドが提供するパブリッククラウド、Alibaba Cloudはこうしたニーズに対応したクラウドサービスである。ソフトバンクは2016年1月、世界最大の電子商取引会社である中国のアリババグループと合弁会社のSBクラウドを設立し、2016年12月にサービス提供を開始した。

 SBクラウドは、中国でトップシェアを持つアリババのAlibaba Cloudを日本向けに提供する会社だ。Alibaba Cloudは、377秒で100TBを処理する高パフォーマンスと、高セキュリティを備えるパブリッククラウドサービスである。中国では毎年11月11日に「独身の日」というセールイベントを全土で展開する。アリババの2016年の独身の日の総売り上げは1兆9000億円。Alibaba Cloudはその膨大なトランザクションを処理する。SBクラウドは、その高パフォーマンスのAlibaba Cloudを日本国内にある高セキュリティのデータセンター(DC)で提供するものだ。「中国にはグレートファイアウォールなどの独特なNW環境がありますが、日本のお客様はそれを意識せずに利用できます」。SBクラウドの二宮暢昭氏はこう話す。SBクラウドは、中国のVPN規制に関してもアリババと共同でコンプライアンス対策を検討している。また、日本リージョンと海外リージョンを専用ネットワークで接続するExpress Connectを今夏に提供する予定だ。

 高パフォーマンス、高セキュリティに加え、仮想サーバーを提供するElastic Compute Service、データベースサーバーを提供するApsaraDB for RDS、オブジェクトストレージを提供するObject Storage Serviceといった6つのコアプロダクトを用意し、ITインフラ基盤を短期間で立ち上げられる。負荷分散処理を施し、Anti-DDoSなどのセキュリティ機能、高機能な監視システムを標準で実装する。設定画面は1ページのみのシンプル構成で、仮想サーバーは設定終了後、最速60秒で起動する。「公開サーバーをAlibaba Cloud上に、情報管理サーバーを日本のデータセンターに構築し、国を跨いだEC基盤を構築することも簡単に実現できます」(二宮氏)。

 データセンターは日本、中国のほか、香港、シンガポール、米国東部・西部など全世界に展開されたリージョンも提供する。「単一アカウントで全世界のリージョンのクラウドサービスを利用できます。海外サービスも円建て決済できるので、経費処理も楽です」(二宮氏)。

図1:クローバルに広がるSBクラウド。 安定したリージョン間通信を実現
[画像のクリックで拡大表示]
パッケージは月額1200円から
データ転送込みで80%以上安く

 パブリッククラウド市場では大手サービス事業者による価格競争が起きているが、SBクラウドは価格面でも先陣を切る。必要なCPUパワーやディスク容量、転送トラフィック量などを柔軟に選べるカスタマイズメニューと、月額1200円から利用できるパッケージメニューの2つを用意し、「データ転送込みの料金でみると、他社と比べて80%以上安くしています」(二宮氏)。

 SBクラウドは日本からAlibaba Cloudを利用できるため、日本企業が展開する中国ビジネスへの親和性が高い。中国人旅行客のインバウンド消費に対応した免税ソリューションはその好例だ。

 これは中国からの旅行者が事前にパスポート情報やクレジットカード情報などを登録しておけば、日本の提携店舗ではバーコードをスキャンするだけで商品を購入できるサービスを実現するものだ。具体的には、輸出免税物品購入記録票への記入など煩雑な処理は店舗のタブレットで簡単に実行でき、購入した商品は旅行期間中、日本国内の物流サービス業者が預かるので、中国人旅行客は出国時に空港で購入商品を受け取れる。中国リージョン、日本リージョンのクラウド基盤が緊密に連携することで実現したソリューションだ。

 「免税ソリューションだけでなく、膨大な同時アクセスが発生するオンラインゲーム基盤を構築して日本のゲームコンテンツを中国市場に展開するような事例もあり、日中をつなぐ越境クラウドのメリットを生かした事例が増えています」(二宮氏)。配信サーバーは中国本土に置き、バックアップデータを日本に保存する形で、動画・静止画の配信サービスを展開する企業もある。

 ビジネスのグローバル化は加速する。とりわけ巨大な人口を抱える中国市場は大きな可能性を秘める。「中国を含めたグローバルな事業展開を考えている企業や開発ベンダーにとって最適なクラウドです。現在、データ転送込みのパッケージメニューを他社と比べて最大80%安く提供しているので、ぜひ試してみてください」。二宮氏はこう訴えて講演を終えた。

図2:SBクラウドの利用例。中国インバウンド向け免税ソリューション
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