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攻めのテレワーク、生産性向上は通過点

ITを活用しながら時間や場所にとらわれずに働くことができるテレワーク。レノボ・ジャパンでは生産性の維持向上はもちろんのこと、社員の機動力が高まり社外とのコラボレーションを積極的に増やし、オープンイノベーションを加速させるための「攻めの手段」として使っている。それを実現するためには環境面の整備だけでなく、社内の意識改革も非常に重要であると同社は指摘する。

 「育児や介護のために急にスタッフが欠けた時、これまでは『残ったメンバーでカバーしよう』と、一時的に負担を他の従業員に移転するアプローチが一般的だった。しかし少子高齢化が進み、生産年齢人口が減り続ける日本の現代社会において、それだけでは立ちゆかない時代がやってきている」と、レノボ・ジャパンの大谷光義氏は口火を切る。こうした流れで注目されたのがテレワークだ。

 テレワークはITを活用しながら時間や場所にとらわれずに働くことができる「働き方改革」の一つの手段だ。

モバイル製品の活用で
どこにいても同じ生産性を発揮する

 レノボ・ジャパン自身もテレワークの推進に長年取り組んできた。以前からノートPCを持ち歩く外勤のスタッフは、オフィスを離れて仕事をすることが可能だったが、2011年の東日本大震災を機に内勤のスタッフにも拡大。オフィスや交通機関がダメージを受けても業務を続けられる環境を整備した。

レノボ・ジャパン
コマーシャル製品事業部
Think製品プラットフォームグループ
部長
大谷光義

 その際、同社が重視したのが社外にいても生産性の維持向上が可能となる環境づくりである。テレワークの導入にあたり、従来は一部の従業員はデスクトップPCを利用していたが、同社ではすべての社員へノートPCを配布して、どこでも業務ができる環境を整えた。

 配布するPCは業務の内容に合わせて社員が自ら選べるようにしたところ、結果的には営業が利用していた12インチ製品よりも可搬性と大画面による高い作業効率を両立する14インチ製品が多くの社員から選ばれた。この結果もあり、同社では現在、14インチ大画面モバイルの製品ラインアップを拡充している。

 また、外出先などで利用される際には周囲からのぞき見されるソーシャルエンジニアリングのリスクが高まる。「のぞき見1回あたり平均約3.9個もの機密情報が漏れるという調査結果もある」(大谷氏)。そこでのぞき見を防止するプライバシーフィルターも一緒に配布し、セキュリティを確保している。

マルチモニター化の推進で
デスク業務の生産性を向上

 業務環境の見直しはオフィス外だけにとどまらない。レノボ・ジャパンはモバイル製品の活用によるテレワーク推進と並行して、デスクでの作業効率アップを図る取り組みも行っている。

 その一つがマルチモニター化の推進だ。「ノートPCにもう1台のモニターを接続して、表示面積を広くする。2つ以上の画面を見ながら作業をすることで作業効率が上がりミスが減るため、その生産性向上を考えると、モニターへの投資は短期間に回収できる」と大谷氏はその活用意義を唱える。

 さらに、1ステップで複数の周辺機器を接続可能なドッキングステーションの導入も特徴的な点だ。ノートPCを会議室や外出先などに持ち運んで使うには、その都度デスク回りの何本ものケーブルを抜き差しすることになる。社内外に移動の多い社員にとっては無視できない時間のロスになる。こうした部分にも改善を積み重ねていく余地があると同社は考え、従業員に積極的な活用を促している。

 その他にも、テレワーク環境下で円滑なコミュニケーションができるように、WebカメラをPCに標準装備することで、どこにいても顔の見えるコミュニケーション基盤を導入している。

図 Lenovoにおけるテレワーク成功の3要素
[画像のクリックで拡大表示]

テレワーク成功のカギは「導入」よりも
「根付く」ための社員の意識づけにあった

 ワークスタイル変革を掲げて環境を整え、総務省のテレワーク先駆者百選にも認定されたレノボ・ジャパンだが、テレワークに必要なのは環境整備だけではないことも、同時に学んできた。

 同社はIBM PCやx86サーバー事業、NECのPC事業、モトローラ・モビリティなどとの合併によって成長してきた経緯がある。日本企業とグローバル企業という異なる社風が混在する中で、2015年秋に初めて、グループ企業であるNECパーソナルコンピュータ、レノボ・エンタープライズ・ソリューションズ、モトローラー・モビリティ・ジャパンにテレワークを試験的に導入した。その結果、90%以上のスタッフが月1回以上テレワークを実践し、導入は成功したかに見えたが、しかしその4カ月後には利用率は約30%にまで低下してしまった。

 その原因を調査した同社は、テレワークには社内の意識や制度面の改革が必要なことをあらためて強く認識したという。「上司がテレワーク中の部下を評価する仕組みがなかったり、チームに誰もテレワーク実践者がいなかったりする状況では、テレワークは広まらない。デバイスメーカーがこれを言ってしまうのも変な話だが、何かデバイスを導入すればテレワークとそれによる働き方改革が成功するわけではない」(同氏)。

 社内イベントを通じた啓蒙活動を展開し、トップからの積極的なメッセージ発信、強制的にオフィス外での勤務を社員に経験させるテレワーク・デイを定期的に実施したことなどの効果で、テレワークの利用者の割合は約60%にまで回復した。そこから「テレワークの定着には、継続的な意識づけが欠かせないことを教訓として得た」と大谷氏は当時を振り返る。

 現在は全従業員が、実施日数に上限を設けず、柔軟性の高いテレワークのルールを設けている。テレワークを行う際は前日までに上司に申請することと、テレワーク中はSkype for Businessをオンライン状態にして、随時連絡がつくようにすることが義務づけられている。こうしたルールづくりも、テレワークを普及させる中で確立したものだという。

「攻めのテレワーク」で実現させる
共創とオープンイノベーション

 テレワーク導入を成功させた同社は、次のステップとして「攻めのテレワーク」実践を目指している。具体的には、テレワークで働く人を受け入れる場所として全国に増え続けているコワーキングスペースの有効活用だ。

 コワーキングスペースは、異なる業種・業界の人が入り交じって情報交換をしながら働く場所であることから、共創によるオープンイノベーションが進む場としても期待されている。

 レノボ・ジャパンでは従業員が積極的にコワーキングスペースを活用することで、「お客様のデジタルトランスフォーメーション、課題解決に貢献する新しい製品やソリューションの開発を加速させていく」(大谷氏)。

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