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インバウンド・ジャパン2017 農林中央金庫

農林中央金庫は国内外のネットワークを生かし、食と農が抱える課題解決に積極的に取り組んでいる。農林水産業の成長産業化を実現するためだ。重要な施策の一つとして、食農インバウンド・グリーンツーリズムを展開し、地方創生、地域の活性化を目指す。モニターツアーでは、海外インフルエンサーによる情報発信を通じて「地域ブランド」を新たに発掘することを目的に様々な試みを行っている。

 「農林水産業の生産者所得は2015年で2 兆4000 億円。これをいかに増やしていくかが農林中央金庫の命題と考えています」

 こう語るのは農林中央金庫・食農法人営業本部 執行役員 営業企画部長の中島隆博氏だ。

一元的に課題解決し、成長産業化

農林中央金庫
食農法人営業本部
執行役員
営業企画部長
中島隆博

 生産者所得向上のポイントについて、中島氏は次の3点を挙げる。(1)高付加価値化や輸出の拡大などによる「売り上げの増加」、(2)農業資材費の削減などによる「仕入れ原価の低減」、(3)農業と先端技術を融合したアグリテックを活用した「販売管理費の低減」。これらを実現するため、農林中央金庫は農業法人や食農関連企業に対して投融資と経営課題へのソリューション提供を行っている。

 たとえば、日本産農畜水産物の輸出業者であるイートジャパン(福岡市)への出資。香港を中心としたアジア諸国への高級食材の輸出拡大を図り、日本の漁業者の所得増加をねらう。また、東日本大震災で打撃を受けたJA みやぎ亘理(わたり)のイチゴ生産を完全復活させるため、ICTで生育環境を管理し、収穫量を現状の1.5倍に高める取り組みにも着手している。

 こうした様々な課題解決に一元的に対応し、農林水産業の成長産業化を進める農林中央金庫は、地方創生、地域の活性化にも積極的に取り組んでいる。

第5 回モニターツアーで「こと」体験

 農林中央金庫、ABC Cooking Studio、リクルートライフスタイル、農協観光の異業種4社は2016年2月、包括的パートナーシップ協定を結び、モニターツアーを展開している。

 参加者には、農作業や農産物の収穫、その試食や料理のほか、様々な日本文化の体験を通じて地域の人々との交流を深めてもらいながら、SNSを使って海外へ情報発信をしてもらう。将来的には、新たな「地域ブランド」の発掘につなげて地域経済を活性化していくのが食農インバウンド・グリーンツーリズムの目的だ。

 これまでモニターツアーは5回開催している。2017年4月実施の第5回は、SNSで多くのフォロワーを有するインフルエンサー9人を台湾から招き、広島県と愛媛県で各種体験に参加してもらい、地域の人々と意欲的な交流を図った。参加者のフォロワー数は多い人で35万人を超え、9人の合計フォロワー数は100万人以上だったという。それぞれがインスタグラムなどで情報発信し、1回の投稿で1万1000 件以上の「いいね」が付く参加者もいるなど情報発信効果は大きかったという。

 モニターツアーでは、広島県の世羅高原農場で花束作りや押し花でデザインしたキャンドル作りを行い、花束は広島市の原爆死没者慰霊碑に献花した。また、おりづるタワーでは折り鶴を製作し、平和を願って「おりづるの壁」に投入する体験をした。

 愛媛県では、ABC Cooking Studioでの料理体験、マドンナ衣装を身に着けての道後温泉街の散策、道後温泉本館前広場での記念撮影など、様々な体験を行った。

 「これまでは農業体験がメーンでしたが、今回は『こと』体験をモニターの方々に提供しました」と中島氏。訪日外国人の行動が「もの」消費から「こと」体験へとシフトしているのに合わせた試みである。中島氏は今回、四国を選んだねらいをこう説明する。

 「訪日客の皆さんには、東京プラス1、大阪プラス1といった首都圏や近畿圏以外にも足を運んでいただき、『今だけ、ここだけ、あなただけの旅』を創出してもらい、私たちはそのお手伝いをしていきたいと考えています」

 今年8月にはJA グループ熊本はじめ4者が熊本地震復興アグリインバウンドを開催。復旧復興の支援策の一環として、台湾から旅行客9人を招くといった試みも行っている。

参加者がインスタグラムに花束作りを投稿すると1 万1000 件以上の「いいね!」が付いた
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企業と農林水産業を橋渡し

 食農ビジネスを担う「食農法人営業本部」は、企業融資を統括する部署と農林水産業への施策を企画する部署が一つになって2016年6 月に発足した。「企業と農林水産業の橋渡しをして、互いにウィン・ウィンの関係を築きたい」と中島氏は語る。

 今後のモニターツアーでは、「企業と農林水産業が連携し、より充実した内容にできないかと考えています」という。たとえば、企業の協力を得ながら、食のバリューチェーンを最初から最後まで見るモニターツアー、鉄道会社と連携して観光列車を仕立て、地域の人たちと組んで楽しいイベントを開催するモニターツアーなど、様々なアイデアを現在検討している。

 「地方創生、地域の活性化は農林水産業なしには語れません。農林中央金庫は食農ビジネス、食農インバウンド・グリーンツーリズムの展開により、農林水産業の成長産業化に積極的に貢献していきたいと考えています」と中島氏は意気込みを語る。

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