• ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版
  • 日経BP
ITpro Special
週間WEEKLY ITpro Special ITpro

IoT普及の鍵は、セキュアな通信環境!

IoTの実現には、モノのデータをセキュアに転送する通信環境が不可欠だ。手軽かつ安価に利用したいというニーズも高い。この期待に応えるソリューションが、ソラコムのIoT通信プラットフォーム「SORACOM」である。これをベースに多様な通信サービスを提供している。利用ユーザーは8000超。モノの遠隔監視や動態管理に活用するほか、新規ビジネスを創出した企業も多い。サービスは今も進化を続け、活用のフィールドはさらなる広がりを見せている。

IoTのニーズの変化を捉え
LoRaWAN、Sigfoxにも対応

株式会社ソラコム
執行役員
プリンシパルソフトウェアエンジニア
片山暁雄 氏

 IoTの期待がますます高まっている。様々なモノのデータを収集・分析することで、業務課題を解決し、新しいビジネス創出の可能性が高まるからだ。そのためにはIoT通信の整備が欠かせない。

 しかし、膨大なモノに対して一つひとつ通信環境を整備するのは手間もコストもかかる。一般にIoT通信はインターネットを利用するため、セキュリティー対策も不可欠となる。

 課題解決のソリューションとなるのが、ソラコムのIoT通信プラットフォーム「SORACOM」だ(図1)。「これはAWS上に構築されたグローバル対応のモバイル通信管理システム。国内だけでなく、120以上の国・地域での利用に対応し、回線ごとの使用状況や通信量、速度変更などを統合的に監視・管理できます。通信会社の基地局とAWS間はセキュアな専用線でつながれており、インターネットを経由せずに安全なデータ通信を実現します」とソラコムの片山 暁雄氏は説明する。

ソラコムのサービスポートフォリオ
120以上の国・地域で利用できるSORACOMプラットフォームをベースに、セルラー、LoRaWAN、Sigfoxに対応したIoT向けデータ通信サービスを提供する。SORACOMプラットフォームとお客様環境を専用線でセキュアにつなぐサービスのほか、データ転送支援や認証サービスなどのアプリケーション連携機能、APIによるクラウド連携機能も充実している
[画像のクリックで拡大表示]

 このプラットフォームをベースに、同社は多様な通信サービスを展開している。「SORACOM Air」はその1つだ。LTE/3G回線を使用したデータ通信用のSIMカードを提供する。認定デバイスは90種類以上あり、SIMを挿すだけで使える。料金も安価だ。日本向けSIMの場合、基本料金は1日1枚10円、データ通信料は1MBあたり0.2円からの従量課金だ。

「SORACOM Airの提供を開始したのが2015年9月。2年間でIoTビジネスは大きく様変わりし、お客様ニーズも多様化しています」と話す片山氏。こうした変化を捉えた新サービスや新機能も数多くリリースしている。「例えば、セルラー方式に加え、省電力広域の通信方式として注目される『LoRaWAN』や『Sigfox』を利用したサービスも提供しています。省電力で広いエリアをカバーするIoT向け無線ネットワークを低コストで構築できます」と片山氏はメリットを述べる。

チップ型SIMで基盤実装が容易に
通信分のみ課金する料金体系も

 SORACOMプラットフォームとお客様環境を閉域網でプライベート接続する「SORACOM Canal」、AWS以外のクラウドを専用線で接続する「SORACOM Direct」、高負荷の暗号化処理や接続先の設定をクラウドにオフロードする「SORACOM Beam」など、よりセキュアな通信を実現するサービスもある。

 2016年12月に米国、2017年2月に欧州でグローバル向けSIMのサービスを開始したほか、新たに加入者管理機能(HLR)も追加した。「これによりお客様の希望に合わせたSIMの使い方やライフサイクルをより柔軟にコントロールできます」(片山氏)。SORACOMの機能追加である「SMS API」を使えば、グローバルレベルで認証された所有者のみSMS送受信を可能とすることもできる。

 通信分のみ課金する新料金体系も実現した。課金開始は導入時ではなく、通信開始時。疎通確認などで一時的に通信を行い、利用を停止した際も、次に起動するまで課金されない。「SIMを実装した製品出荷前の通信コストを削減できます。またSMS APIと組み合わせることで、製品出荷後にリモートで製品を起動するなど、タイムリーにサービスインできます」と片山氏は話す。従来のカード型SIMに加え、チップ型SIMの提供も開始した(図2)。より多様なデバイスへの実装が可能になる。

 さらに2017年8月にはKDDIグループへの参画を発表した。KDDIの技術とインフラを活用することで、より付加価値の高いサービスの提供を加速していくという。

チップ型SIMの外観と概要
チップ型SIMの大きさは6mm×5mm。カード型SIMに比べて大幅に小型化されている。温度・振動・衝撃耐性にも優れている。車載機器や工業製品の基盤に組み込むことができ、IoTビジネスの可能性が大きく広がる
[画像のクリックで拡大表示]

SORACOMを活用し
多くの企業が価値創造を実現

 それに加え、パートナーとのエコシステムの拡充にも力を注いでいる。すでに390社以上のパートナーがこのエコシステムに参加し、新たなソリューションの提供を進めている。それらの利用を含め、SORACOMサービスの利用ユーザーは8000を突破した。数多くの企業がIoTによるビジネス変革を実現しているのだ。

 製造業大手のIHIはその1社だ。「グローバルに展開するガスタービン発電プラントの装置を監視し、遠隔メンテナンスを実現しています」(片山氏)。各国のプラントの状況を日本で集中管理することで、運用品質と作業の効率化につながっているという。

 現場の見える化で大きな成果を上げている企業もある。AGC旭硝子は工場の作業員が身に着けるスマートウォッチやスマートグラスのデータをリアルタイムに収集・分析し、作業のカイゼン活動に役立てている。トーア紡コーポレーションは工場の制御装置から電力使用量を取得し、クラウドへ送信。工場内ダッシュボードやスマートフォンで電力使用量を見える化し、現場主導の省エネ対策を推進している。

 IoTデータをモノの動態管理に活用する企業もある。その好例が日立物流だ。「搬入・搬出作業に用いるフォークリフトを監視し、急加速・急停止・急旋回などの危険運転を検知すると、前後15秒の動画をクラウドへ転送。作業員の運転指導に役立てているほか、稼働状況や保守メンテナンスデータもクラウドで一括管理し、故障の予防保全に取り組んでいます」と片山氏は説明する。

 環境センシングにSORACOMサービスを活用するのが、インベスターズクラウドだ。不動産物件周辺の騒音・温湿度・照度などの環境データをクラウドで分析。その結果をもとに家賃相場や土地価格との関連性を検証し、査定業務の効率化に取り組んでいる。

 IoTデータを活用し新ビジネスを創出する企業も広がりを見せる。ポケットチェンジは国内主要空港やホテルなどに設置したキオスク端末にSORACOM Airを実装し、AWSとのセキュアな通信網を構築。「これをベースに海外旅行で余った外貨を電子マネーやギフト券に交換するサービスで躍進しています」(片山氏)。

 日置電機は電力計をはじめとする自社製品の計測器にSORACOMサービスを実装し、遠隔監視サービス「GENNECT Remote」を実現した。計測器を提供するだけでなく、監視サービスという付加価値の提供が可能になり、ビジネスチャンスが大きく広がったという。

 IoTを活用すれば、業務課題を改善し、新しいビジネスを生み出し、企業の成長戦略が加速していく。今後もソラコムはIoT通信プラットフォームをベースに新サービスや新機能の提供に努めるとともに、パートナーとのエコシステムをさらに拡充し、お客様のIoTビジネスの発展を強力にサポートしていく考えだ。

お問い合わせ