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ITpro Special
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IT進展で、データセンターに新たなる課題

loTやAl、ビッグデータといった先端技術を活用したデジタル変革の波が企業に押し寄せている。それを受けて、データセンターのあり方にも、今まさに大きな変化が求められている。そうした中、「ITpro EXPO 2017」の会場内で「次世代データセンター研究サミット」が開催された。当日は、「未来のデータセンター像を考える」をテーマに、データセンター業界のキーパーソンが講演を行い、今後のデータセンターのあるべき姿についての提言を行った。

Alの活用推進に伴い浮上する
データセンターの課題

 次世代データセンター研究サミットの幕を開ける基調講演の壇上に立ったのは、ディープラーニングを専門的に取り扱う日本初のベンチャー企業として知られるABEJAの岡田陽介氏だ。

ABEJA
代表取締役社長CEO兼CTO
岡田陽介 氏

「ビジネスのIT化を支えるキーテクノロジーの一つであるAlについては、古くから研究が進められてきましたが、その実用化に弾みをつけたのがディープラーニング『特徴量を自動的に学習していけるJlという技術的なポイントです」と岡田氏は説明する。そこでは、膨大なIF文の積み重ねによるプログラムを記述し、人間が意図した処理をシステムに行わせるという従来の方法に代わり、システムが特徴の抽出を行い、自動的に学習し、アルゴリズムを生成して処理を行うというアプローチが取られる。

 ABEJAでは、こうしたディープラーニングの活用に向けたクラウドサービス(PaaS)「ABEJA Platform」を提供している。具体的には、loTデバイスから収集したデータをビッグデータとして蓄積し、それをAl、ディープラーニングで処理して、その結果をアクチュエーターに出力するという仕組みを用意。「ディープラーニングの活用に必要なシステム環境、およびモニタリングなどの運用管理の仕組みをトータルに提供しています」と岡田氏は紹介する。

 こうしたAl活用の普及に伴い、データセンターの課題といったものも浮上してきている。例えば、Alのトレーニングには、大量のコンピュートリソースが必要となる。これに対し、単純にGPUを横に並べていくという方法ではネットワークのボトルネックが避けられない。また、GPUの専有に必要となる多額のコストも問題となる。「そうした課題の解消に向けては、我々のABEJA Platformと連携いただくというのも、効果的なソリューションとなり得るはずです」と岡田氏は提案した。

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熾烈化する競争環境にあって
自社の強みをどう生かすか

NTTコミュニケーションズ
クラウドサービス部
担当部長
本橋寿哉 氏

 続くセッションには、NTTコミュニケーションズの本橋寿哉氏が登壇。過去およそ20年にわたる同社のデータセンターサービスに関わる取り組みの概要、および現在同社が「Nexcenter」ブランドで提供するサービスの内容について紹介した。

 NTTコミュニケーションズでは、世界20以上の国・地域で140拠点以上のデータセンターでNexcenterを展開。「新規成長エリアヘと積極的に参入する一方、既存エリアでも需要の拡大に応じて、増床・増棟、新規構築を随時進め、お客様のビジネスニーズに応えています」と本橋氏は述べた。

 Nexcenterでは、同社の長年にわたるサービス運用経験で培われたベストプラクティスを具現化。高効率と高信頼性、そして環境性能に優れた設備をベースに、コロケーションサービスからクラウド、各種マネジメントサービスまでを展開している。

「SD技術を採用した『SD-Exchange(Software-Defined Exchange Service)」を基盤として様々なクラウドを組み合わせたシステムを柔軟、迅速に構築できる仕組みも用意。ポータルからの一元的なリソース管理やグローバル主要拠点間でのセキュアで高速な接続も実現しています」と本橋氏は語る。

 引き続き実施された、この日二つめの基調講演の壇上には、国際大学グローバルコミュニケーションセンターの林雅之氏が登場。グローバルデータセンター市場の展望について解説した。

国際大学グローバルコミュニケーションセンター
客員研究員
林雅之 氏

 今日の企業には、デジタル技術を活用した顧客中心型のビジネス戦略へと舵を切っていくことが求められている。「そうした中で「クラウドファースト」ならぬ「クラウドノーマル』の時代が到来。ポストオンプレミスとしての活用から、いわゆるモード1、モード2という、ICT活用の二つのスタイルに対応したハイブリッドクラウド化がますます進展していくことが予想されます」と林氏は語る。

 このようなクラウド活用の拡大は、データセンター市場の動向にも大きなインパクトをもたらす。具体的には、クラウド事業者に対してデータセンターリソースを提供する、「クラウド型ホスティング」という形態が2021年には市場の最大セグメントになるものと予想されているのだ。加えて、データセンターのトラフィックのほとんどがクラウドワークロードとなり、Equinix Cloud Exchangeに代表される各クラウドサービス事業者間の相互接続環境、あるいはデータセンター間ネットワークヘの対応も重要となってくる。

「デジタルトランスフォーメーションの時代を迎え、データセンタ―市場は今後も継続的に成長分野であり続けることが期待されます。一方で、データセンター事業者間の競争環境がますます熾烈化することも予想され、それに向けて各事業者はその提供するサービスのポジショニングを明確に意識し、ビジネスモデルを描いていくことが重要でしょう」と林氏は語る。

重要なのは長期的視点に立ち
自社の強みを生かすこと

 クロージングセッションには、インターネット黎明期に創業し、国内のデータセンター業界をけん引してきた、さくらインターネットの田中邦裕氏が登壇。国内のデータセンター業界の展望について語った。

さくらインターネット
代表取締役社長
(JDCC副理事長)
田中邦裕 氏

 企業システムのクラウド化、ビジネスのIT化などのニーズを背景として、データセンター市場については、今後も裔い成長率が見込まれている。「しかし、国内でのデータセンターの新設がそれに見合ったかたちで進んでいるかというと決してそうではないという状況があります」と田中氏は指摘する。こうした観点からデータセンター事業者には、成長市場であることを再認識し、積極的な投資を行っていくことが望まれているものといえる。

 そうした中で、データセンター事業者に求められるのは、短期ではなく長期的な視点に立ったビジネス戦略だ。「何よりも重要なのは、ライバルに勝つことを念頭に欠点を潰すのではなく、あくまでも自社の強みを生かしてベストを尽くすことだと考えます」と田中氏は強調した。

お問い合わせ
  • 特定非営利活動法人日本データセンター協会(JDCC)

    TEL:03-6705-6149

    URL:http://www.jdcc.or.jp/

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