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内部施策と外部施策を両輪とする地域情報化

これまで自治体における情報化の推進は、業務効率化やセキュリティ対策の強化といった内部施策に力点が置かれてきた。これに対し今後、強化が求められているのが、経済の活性化など地域の発展を念頭においた外部施策の展開だ。公共公益機関向けコンサルティングサービスの提供で知られるグラビス・アーキテクツでは、内部施策、外部施策を両輪とする自治体の地域情報化の取り組みを、その高度なノウハウで支援している。


 グラビス・アーキテクツは、公共公益機関に強いITコンサルティングファームだ。これまで地方自治体をはじめ官公庁や政府系機関など、数多くのITシステムにかかわる最適化計画の策定や調達、プロジェクトマネジメントを支援してきた実績を持つ。グラビス・アーキテクツの古見彰里氏は、「地方が抱える問題を、自治体における情報部門が解決できるのではないかと考えます。そこでテコとなり得るのが、『官民データ活用推進基本法』ではないでしょうか」と提案する。

自治体情報部門に求められる地域経済活性化に向けた外部施策

グラビス・アーキテクツ
代表取締役
古見 彰里(こみ あきのり)氏

 例えば、地方が抱える問題として、「地方ではアベノミクス以前から人手不足になっています」と指摘。少子高齢化や都会への人口集中の影響は地方の産業に深刻な影響を与えている。わが国の産業構造を捉えたとき、中小規模の非製造業が全体の6~8割と、企業の大部分を占めているという状況で、地方においてはこうした傾向がとりわけ顕著である。非製造業というのは鉄道、バス、タクシーなどの交通や物流、飲食店やスーパー、ホテル、医療・介護などのサービスを提供しており、各地域に根ざしたビジネス展開が基本となる。「地方はサービス業が多く、しかもほとんどが中小企業なのです。労働集約的なのに、労働力不足がより深刻化する傾向にあり、競争原理も働きにくいといった課題を見据え、それらを効果的に解消し得る情報化施策を講じていくことが必要です」と古見氏は強調する。

 一方、自治体のIT部門が情報化を推進する場合、これまで内部施策を中心に行われてきた。内部施策とは文字通り、自治体内部での業務効率化やセキュリティ、コンプライアンス、ガバナンスの強化などに向けた施策であり、ITシステムの最適化やナレッジマネジメントといった取り組みがこれに含まれる。ところが、地域経済の発展に寄与するには、内部施策ではなく外部施策が求められる(図1)。「従来、自治体の情報部門では多くの場合、内部施策に主眼を置いた取り組みを続けてきており、外部施策の論点はなおざりにされてきました」と古見氏は指摘する。

図1 内部施策と外部施策
これまでの情報部門の論点は、内部の業務の効率化やセキュリティ、コンプライアンスなどガバナンスに終始した議論が中心であった。本来はそれに加え外部施策として、地域経済をどのように発展させていくか、地域の安心安全をどのように確保していくかなど、情報、テクノロジーを活用した貢献を検討していくことも重要なミッションではないのか。
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地域の情報をオープンデータ化し民間・公共団体の活動に供する

 そうした中で、自治体の情報部門として、具体的にどのような外部施策が考えられるか。ここで2016年12月に施行された「官民データ活用推進基本法」が登場する。「行政が保持する地域にかかわる多種多様な情報をオープンデータとして公開し、ローカル経済圏での民間・公共団体の活動に役立ててもらうといったアプローチが挙げられます」と古見氏は説明する。

 国民健康保険の例でいえば、被保険者が病院などで医療サービスを利用した際に、来る制度改正によって保険者となる都道府県が、国保連合会などの審査支払機関を経て、サービスを提供した医療機関に医療報酬の支払いを行うことになる。その際に得るレセプトデータを整理・統合することで、地域の病気やけがに関する傾向などを地域のヘルスケアにかかわる事業者に提供することもできるだろう。

 すでに国民健康保険にかかわる業務などは、2018年4月の制度改正で安定的な財政運営や事業の効率化などを念頭に、国民健康保険の財政運営を担う責任主体が市町村から都道府県に切り替わろうとしている。「このとき、国民健康保険の制度改正に向けたシステム構築などの内部施策が、その後の外部施策にもつながっていくわけです。そういった意味では、内部施策と外部施策はまさに表裏一体のものと捉えられます」と古見氏は言う。

 そうした国民健康保険の業務以外にも、人口の減少などを背景に、これまで市町村単位で実施されていた行政関連業務が、都道府県単位で集約化され、最適化されていくという傾向も強まっている。従って、医療データ以外でも内部施策と外部施策を同時に進めるチャンスはたくさん眠っている。

 例えば、地域への住民の転入や転出に関する動態情報、あるいは交通量などのGIS情報といった公共データの公開は、小売・流通業にとってはマーケティング施策上の有用な情報となり得るはずだ。このような情報のオープンデータ化は外部施策の一例にすぎないが、今後の自治体の情報部門においては、製造業などの「グローバル経済圏ビジネスモデル」とサービス業などの「ローカル経済圏ビジネスモデル」を意識し、それぞれ特性の異なる経済圏であることを理解することで、注力すべき経済振興の政策の力点が見えてくる(図2)。そして、内部施策に加えて、地域の発展を目指した外部施策にも積極的に取り組み、情報化施策の両輪としていくことが重要なテーマになってくる。グラビス・アーキテクツではそうした自治体の取り組みを強力にバックアップしていくための体制を整えている。

図2 グローバル経済圏ビジネスモデルとローカル経済圏ビジネスモデル
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 古見氏は、すでに現在進行形の事例として山梨県の甲府市を挙げ、「内部施策として基幹システムの再構築を進める一方、人口増加、特に子育て世帯を増やすことを目的に、住基データなどを活用した外部施策の展開に着手しており、当社ではその双方の施策をコンサルティングサービスによって支えています」と紹介する。

 特に、地域情報化計画の策定にともなって、その評価方法、価値の分析方法といった基準作りから行っており、甲府市の外部施策を評価することで、本質的に地域社会に役立つ仕組み作りに貢献している。

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