中小ビルTOPICS

いずれ来る「中小ビル空室増時代」を
乗り切る戦略とは?

数年後には優勝劣敗がより鮮明に

2017/12/20
中小ビルTOPICS

いま賃貸オフィスビル市場は堅調に推移している。テナントオフィス需要は強く、空室率も減少傾向を続けている。しかし、2018年以降、オフィスの大量供給が控えており、いずれ中小オフィスビルの市況は悪化に転じるとの見方が強い。今後数年間の市況を見通して、いつごろ潮目が変わるのか、その時どのような戦略を取り得るのかを考えてみた。

オフィス仲介大手の三幸エステートの調査によると、東京23区の大規模オフィスビル(1フロア面積200坪以上)の空室率は2017年11月時点で1.68%、同50~100坪の中型ビルは3.28%といずれも低い水準にある。

オフィス需要が堅調で、大規模ビルに入り切れずににじみ出したテナントのニーズを中小規模ビルが吸収している状況にある。中小オフィスビルのオーナーにも、あまり大きな危機感は見られないのが実情だ。

東京23区の空室率と全体賃料の推移

(資料出所:三幸エステート)

しかし、2018年にはオフィスビルの大量供給が控えている。2017年に東京23区で完成したオフィスビルの床面積は約11万坪。2018年は前年の2倍を超える26万坪が完成する。さらに2020年には約31万坪が供給される予定だ。

かつて、オフィスの大量供給による市況悪化を懸念した「2003年問題」が話題になった。このときには、直後の景気回復も重なってオフィス需要が高まり、大きな問題にはならなかった。ただ、2018年から2020年にかけての大量供給は、日本の人口減少や一人当たりオフィス床面積の減少という傾向も伴って、オフィス需要の伸びではカバーできず、供給過剰状態に陥るとの見方が強まっている。

オフィスの新規供給量

(資料出所:三幸エステート)

2018年に完成する新築ビルは、順調にテナントを確保している。1月の完成を予定している三井不動産の新日比谷プロジェクトでは、テナントとして旭化成が本社を移転することが明らかになっている。逓信ビルなどの跡地で7月に完成予定の大手町二丁目地区開発でも、住友商事や日本郵政グループが入居する予定だ。一見すると、オフィスの潮目が変わる兆しは見られない。

それでも、2018年から2020年にかけて完成するオフィスの量は、現在のオフィスストックの約10%を占める。これだけの大量供給を前に、需給が悪化に転じる可能性は高い。ニッセイ基礎研究所と三幸エステートの試算によると、東京にあるAクラスビルの空室率は2016年の2.6%から2018年に4%を超え、2020年には5%を超えるシナリオを描いている(標準シナリオ)。ちなみに一般に空室率が5%を超えると、貸し手市場から借り手市場の傾向が強くなると言われている。

中小ビルにも影響は及ぶ

大規模ビルの大量供給は、中小オフィスビルの市況悪化にもつながるのだろうか。見方は大きく二つに分かれる。一つは大規模ビルと中小ビルはそもそも対象とするテナントの規模や業種が違うため、大きな影響は出ないという考え方。もう一つは、大規模ビルからにじみ出たニーズの受け皿になっている以上、中小ビルも影響を受けるという見方だ。

三幸エステート市場調査室の今関豊和チーフアナリストは、「多少の時間差があるにしても、中小ビルにも影響が及ぶ」とみている。影響が顕在化するとすれば、次の可能性があるという。

●本社移転に伴って、分散したオフィスの集約・統合が進み、中小ビルから分室や子会社のオフィスが転出する
●新築の大規模ビルへとテナントが流出した大規模ビルに空室(2次空室)が発生。その空室を埋めるために、フロアを小割りにして賃貸するなどの戦略を取ることで、既存の大規模ビルが中小ビルからテナントを奪う形になる

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働きたくなるオフィス大全編集部

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