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顧客管理ツールの活用で受注率を向上

基調講演

マーケティングと営業が分担・協力し、
MAとCRMの統合運用で成約率を高めよ!

株式会社コンカー柿野 拓氏
株式会社コンカー
マーケティング部 部長
柿野 拓 氏

「3回のコンタクトで受注できる可能性は、わずか5%。見込み客を3回以上コンタクトする営業は10%。つまり、営業だけでは売れる可能性は0.5%」

 基調講演に立ったコンカーの柿野拓氏は、ある調査会社のレポートを引用するかたちで、現在のマーケティングプロセスには改善すべき点が多いと指摘した。売り上げを増やすには見込み客へのコンタクトする回数を増やすための施策を実施する必要がある、というのである。

 コンカーは、クラウド型の出張管理・経費精算(T&E)ソリューションで知られる米Concurの日本法人として2011年2月に設立されたIT企業である。国内の顧客数は500社以上(2015年6月末現在)、シェアは2013年度が54.5%(株式会社アイ・ティ・アール調べ)、2014年度見込みが53.2%(同)と、T&E業界における存在感は大きい。

 そうした業績を支えるために同社のマーケティング部門は中長期の視点に立つブランド確立に力を注いでいる、と柿野氏は説明する。同部門に与えられているミッションは、「ブランディング」「デマンドジェネレーション」「コンテンツマーケティング」「インテリジェンス」の4つ。柿野氏は同社のリードナーチャリングプロセス(マーケティングファネル)を示しつつ、同社で実施されているマーケティングプロセスの概要を説明していった。

見込み客のランク分けと自動化でプロセス効率を高める

 ポイントの1つは、見込み客を集めるマーケティング部門はマーケティングオートメーション(MA)ツール、それを顧客に転換する営業部門は顧客関係管理(CRM)ツール、とプロセス効率化用のITツールを分けたことにある。

 また、プロセスの効率を高めるために、見込み客の中から確度が高いものを選び出すためのクォリフィケーションをインサイドセールス工程の前後で2回実施するようにした。

 最初の絞り込みであるマーケティングクォリフィケーション(MQL)では「買っていただく資格」(業種・従業員数・経営課題・肩書・部署など)と「コンカーへの興味」(関心事)の2要素の掛け合わせで見込み客をAからEの5段階にランク分けし、その軽重に基づいて電話営業の優先度を決める。「このような統計結果を使うことにより、真の見込み客を取り出すことができます」(柿野氏)というわけだ。2回目のセールスクォリフィケーションでは、営業部門に案件として引き渡す前の最終検証が行われる。

 このほか、コンカーはオートメーションによる省力化と効率化にも取り組んでいる。例えば、失注後数か月したら失注理由に即したフォローメールを自動的に送るといった使い方だ。

 一方、営業部門に案件として引き渡してから後のプロセスを効率化するためのITツールとしてはCRMが全面的に使われる。案件パイプラインの進捗度を全社レベルで正しく把握できるようにと、受注確度の判定基準が「顧客の課題と予算が確定したら25%、契約条件の検討に移ったら75%」(柿野氏)というように標準化されている点も興味深い。

 柿野氏が示した結論は、2点ある。

 まず、一つの部門がファネルの全工程を受け持つのではなく、見込み客の発掘・生成はマーケティング部門、受注確度の判定はインサイドセールス部門、成約までの訪問などの活動は営業部門、と分担すべきこと。

 また、成約率を最大化するには、MAとCRMを統合運用する仕組みを用意し、案件の進捗状況をBIで可視化できるようにしておくことが重要だ。