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日本IBM、自動車にコグニティブIoT

日本アイ・ビー・エム
コグニティブIoTが加速する
“つながるクルマ”のインテリジェント化

 今日の自動車やサービスは、IoTにつながることで相互に連携を強めようとしている。日本アイ・ビー・エムの江崎智行氏は、「コグニティブIoTが加速する新たなモビリティー&サービスと業界変革」をテーマに講演。自動運転社会を先読みしたIBMのWatson IoT for Automotiveの取り組み、そしてWatsonをはじめとするコグニティブを活用した将来像を紹介した。


日本アイ・ビー・エム
コグニティブ・ソリューション事業
Connected Vehicle & IoT担当
江崎 智行氏

 クルマの世界では車両や機器からのデータ、さらにはドライバーの個人特性を分析することで、業界の垣根を越えた新たなサービスが期待されている。

 江崎氏は、「コグニティブIoTと“つながるクルマ”は非常に親和性が高い」と述べ、コグニティブIoTがもたらすクルマの可能性については次のように説く。

 「コグニティブIoTは、コグニティブ・コンピューティングによって様々なことを学習しながら進化するIoTです。それと連携することで、クルマ自体が進化することになります。

 また、クルマの中のコンピューティングパワーは限られているため、IoTおよびクラウドが大きな力を発揮します。クルマで発見された“Insight”をクラウドに預ける。さらに、クラウドに蓄積された豊富なデータによる学習強化、膨大な情報源から得られる“Insight”により、アルゴリズムを進化させていくというわけです」

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Watson IoT for Automotiveとは何か?

 日本アイ・ビー・エムがクルマ向けのコグニティブIoTとして具体的に取り組んでいるのが、「IBM Watson IoT for Automotive」だ。

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 「自動運転社会の発展には、車両単体による自律走行だけではなく、周囲の環境との協調と、集合知に基づく知能の提供が不可欠です。また、技術進化が著しい個々の領域をリアルタイムに統合し、連携する仕組みが求められます。『IBM Watson IoT for Automotive』は、『車両』『知能』『環境』の3つの領域を統合するものとなっています」

 すなわち、自動運転を含めたクルマの知能化=コグニティブ・カーに最適化できるように様々な要素を束ねていくプラットフォームが、「IBM Watson IoT for Automotive」なのだ。

 「『IBM Watson IoT for Auto-motive』では、クラウドの果たす役割も非常に積極的なものとなっています。クルマからは絶対に見えないところを、クラウドによって『見える化』する。『見えないものを見える化する価値』こそが、クラウドの役割となります。

 具体的には、まず後続車の進行方向で走行に影響するような一時的な路上の事象を検知します。続いて、先行車両の認知情報をクラウドに収集し、天候情報・道路状況などリアルタイム環境データともすり合わせを行う。その上で、後続車に余裕をもって通知することで、自動運転に対するドライバーの安心度・信頼・快適さ向上につながるというわけです。

 こうした役割を持つクラウドを、われわれはもう1つのインテリジェントなセンサーと捉えています」

 続いて江崎氏は、日本アイ・ビー・エムが研究・開発を進める個別の技術につい て解説する。

ダイナミックマップが不可欠

 「当社は特にエージェント技術とダイナミックマップの実装を強みとしています。実績あるエージェント技術をダイナミックマップ実装に採用し、将来の自動運転支援に必要となる高速リアルタイム処理のケーパビリティを提供しています。

 ダイナミックマップのレイヤーについては、道路ネットワーク、一時的な道路変更、ダイナミックイベント、移動体といった基本的なものだけでなく、様々なコンテキストデータを加えることを可能にしています。ユーザー固有のレイヤーの追加もできます。エージェントについては、ドライバー、車両、環境の3つがあり、ドライバー・クルマごとにパーソナライズされたサービス実装が可能です」

 ところが現時点では、「3つのエージェントを本当の意味で使い切って、価値のあるユースケースをデザインできる状況にまでは来ていない」という。自動運転などの開発については、クルマ自身の安心・安全を追求することで手いっぱいなのが関連業界の実情だからだ。そこから先、サーバーと連動したサービスの展開については、日本アイ・ビー・エムも顧客とともに少しずつ検討を始めている段階だ。

 「将来、具体化が進んだ時に、仕組みやアーキテクチャを変えずにすぐ活用できるようなプラットフォームを開発しておきたいという思いがありました。現在は、当社のプラットフォームの上に、いつでも実験が始められる状況にあります。

 クルマはどうしても安全・安心に縛られるので、なかなかその“外側”には出ていくことが難しい。だからこそ、当社をはじめ、“外側”から一緒にクルマの可能性の輪を広げていくことが大事と考えています。将来を見据えた、愚直な取り組みをお客様と始めているところです」

Watsonを活用した自動運転バス

 実際に、コグニティブ・カーをめぐる新しい動きが出てきている。その1つが、最大12人乗りの自動運転電気バス「Olli」である。米ワシントンDCの公道ですでに運行が開始。マイアミ・デイト郡とラスベガスでも運行開始予定だ。

 「Olli」には、“バスガイド”としてWatson API が組み込まれており、プラットフォームとしてはIBM Watson IoT for Automotiveが採用されている。車両全体に埋め込まれた30個以上のセンサーから収集される膨大な輸送データを分析・学習する初めての電気自動運転車だ。

 これは、3Dプリンターを活用した世界初の自動車生産を手がけるLocal Motorsとの共創により実現した。

 「コグニティブIoTあるいはコグニティブ・カーの世界は、1つの企業、1つの業界だけでは絶対に達成できません。オープンスタンダードにのっとったイノベーションプラットフォームが不可欠で、企業のパートナーシップが必要です。

 9月16日には、様々な業種の大手企業とベンチャーとの協業を支援するプログラム『IBM BlueHub Open Innovation Initiative for Automotive』もキックオフさせました。中長期的なパートナーシップを重視しながら、新しい世界に向けて取り組んでいきたいと考えています」

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