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思考パターンを変えなければ残業ゼロは達成できない

■基調講演
非コア業務を代行することにより、
顧客の生産性と売り上げを高める

 基調講演では、リクルートライフスタイル執行役員の塩見直輔氏が「リクルートライフスタイルが企む日本の生産性向上計画」をテーマに語った。

 塩見氏は最初に、「生産性」と「売り上げ」を同時に向上させるための戦術を2つ提示する。

 「1つめは、自社の生産性を向上し、浮いたコストを再投資し、売り上げを向上させる戦術です。これは主に製造業に当てはまります。ラインの生産性を上げて、浮いたコストを別のラインに再投資する、といったケースです」

 「2つめは、顧客の生産性を向上し、売り上げを向上させ、自社の売り上げを向上させる戦術です。これは主にコンサルティングや当社のようなメディアサービスに当てはまります」

消費者と企業をマッチング、このビジネスモデルの4つの利点

リクルートライフスタイル
執行役員
塩見 直輔氏

 こう述べたうえで塩見氏は、リクルートが実践する戦術を解説した。

 「当社では、『顧客』をCustomerとClientの2つに明確に区別しています。Customerは『消費者』であり、Clientは『企業』。この2つをマッチングさせるのが当社のビジネスモデルです」

 具体的には、消費者と企業のニーズを、同社のプラットフォーム上でマッチングさせることで、広告料や成約フィーを稼ぐビジネスモデルだ。たとえば、宿・ホテル予約サイト「じゃらん」では、宿・ホテルと消費者をマッチング。美容予約サイト「ホットペッパービューティー」では、美容室・ネイルサロンと消費者をマッチング。そして飲食予約サイト「ホットペッパーグルメ」では、飲食店と消費者をマッチングするようにしている。

 このビジネスモデルは利点が4つある。

 1つは、消費者(集客数)と企業(掲載店舗・サービス数)が相互にプラスの作用を及ぼす点だ。集客数と掲載数をそれぞれ最大化することが目的だが、品揃えが充実している場に消費者は集まる。一方で、集客力が強い場に企業は情報を掲載したがる。この相互作用により、集客数も掲載数も増えていくことになる。

 2つめは、分業体制が構築しやすい点だ。集客数の最大化と掲載数の最大化はKPI(重要経営指標)が明確なので分業しやすい。集客数の最大化はITのエンジニアリングやデザインによって、掲載数の最大化は企業への営業によって磨き上げることができる。

 3つめは、集客数と掲載数の“かけ算”が期待できる点だ。集客数と掲載数が相互作用で大きくなっていけば、結果的にマッチング率も上がる。

 4つめは、マッチング実績がフィードバックできる点だ。「誰がいつ、どのサービスを利用したか」といったマッチング実績データに基づき、消費者と企業双方にリコメンドしていくことで、探客効率が高まる。

「クライアントよりクライアントに詳しくなれ」

 このように、リクルートライフスタイルのビジネスモデルは「構造的な強みを持つ」と塩見氏は語る。

 「このビジネスモデルでは、集客を当社が代行することにより、顧客の生産性を向上し、顧客の売り上げを高めることができます」

 リクルートライフスタイルがやりたいことは、同社の業務支援によって飲食店やホテルなどがコアサービスに時間をかけられるようになり、その結果、顧客が生産性と売り上げを高められるということなのだ。今後は集客以外の業務(例えば「Airウェイト」による行列管理など)にも範囲を広げていくという。

 また顧客管理という点では、同社は「クライアントよりクライアントに詳しくなれ」という考え方を採っている。「たとえば、当社の顧客である飲食店のなかで、売り上げに関係する要素をデータサイエンティストが探ったところ、トイレのきれいさが重要な因子であったというケースがありました。当の飲食店も気づいていない、トイレのきれいさ、といったデータまで蓄積する。顧客管理においては、どういうデータを蓄積するかも重要なのです」と塩見氏は指摘する。

 リクルートライフスタイルは今後も、顧客接点や組織風土を強みとしながら、蓄積されたデータやITを活用し、日本の中小企業の生産性向上というゴールを目指して、日々活動していくという。



■特別講演
思考パターンを変えなければ、
残業ゼロで目標は絶対に達成できない

 特別講演では、アタックス・セールス・アソシエイツ代表取締役社長の横山信弘氏が、「残業ゼロで目標を絶対達成させる方法」をテーマに語った。

 横山氏は、「どんなに素晴らしいツールがあっても、使う気がなければ意味がない」と指摘する。

思考パターンを変えるには「インパクト×回数」

アタックス・セールス・アソシエイツ
代表取締役社長
横山 信弘氏

 「ツールを導入すれば自動的に成果が上がるなんてことはあり得ません。なぜなら、ツールを活用するには元データがなければ話にならないからです。元データを入れるのは営業マン。意識して入力させる必要があります」

 気をつけなければならないのは、ツールを導入しても、人の意識はなかなか切り替わらないということだ。「ツールを使うことを意識し、データ入力などを習慣化して、『無意識的有能状態』(物事を意識しなくてもできる状態)にしなければ、ツールはまったく生きてきません」と横山氏。そして、こう続ける。

 「行動を習慣化するには、思考パターンを変えることです。高度情報化社会の現在、膨大な方法論が存在します。思考パターンが変わらなければ、いくら方法論を聞いても意味がないのです」

 思考パターンを変えるには「インパクト×回数」だと指摘する。つまり、繰り返し指摘しないと、思考パターンはなかなか変わらないのだ。

方法論としての「予材管理」とは何か

 このように思考パターンを変えることの重要性を述べたうえで、横山氏は方法論としての「予材管理」を解説する。

 「当社が提唱する予材管理とは、目標絶対達成を前提に、100%の目標に対して、200%の予材(予定材料)を仕込んでおくものです。予材は、『見込み』(受注がほぼ決定している材料)、『仕掛り』(商談中の材料)、『白地(しらじ)』(これから着手するアイデアレベルの材料)の3つから構成されます」

 特に白地は顧客が認識していない案件であり、営業サイドで仮説を立てる必要があるものだ。もちろんそこには根拠が求められる。顧客から正式なオファーはないが、顧客のポテンシャルを想定したうえで、どれくらい売り上げが見込めるかを考えるわけだ。

 「言い換えると、仮説を立てたり考えたりする習慣のない人は、予材を仕込むことができません。思考パターンが切り替わっていない営業マンは仮説・立案能力がありませんから、なかなか予材は積み上がらないことになります」と横山氏は指摘する。予材資産を積み上げるためには、タネをまいて水をやり続けることしかないという。

思考パターンを変え、感度を上げる

 同じく、「残業ゼロ」という目標についても、思考パターンは重要な意味を持つ。

 「思考パターンを変えるために、当社ではクライアントに対して『フィールドタイム』(社外=フィールドにいる時間)という概念を導入してもらっています。たとえば9時から18時までが営業時間(昼休み1時間)で、10時から16時までをフィールドタイムに設定したとします。もし営業マンが21時まで残業していたら、11時間の労働時間のうち、半分以上の6時間は社内で仕事をしていることになります。『営業なのに社内にばかりいて、本当にそんなに仕事があるのか』と、思考パターンの変革を促すわけです」

 実際に同社が現場に入ると、方法論ではなく思考パターンが間違っているケースが多く見られるという。フィールドタイムによって営業マンの勤務実態をざっくりと見える化したうえで、絶対に退社しなければならない時刻を決める。そうすると、社員の思考パターンが変わり、強制的に“感度”が上がる。考えて仕事をするようになり、残業も減っていく。

 ただ、それでも本当に21時、22時まで仕事をしないと回らない人もいる。その時に初めて、情報システムなどの問題解決手段を投じるという。「逆に言えば、それ以外の人たちは、間違った思考パターンによってムダに残業しているだけ。やはり、大事なのは思考パターンをまず変えることなのです」と横山氏は強調する。