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思考パターンを変えなければ残業ゼロは達成できない

■ セールスフォース・ドットコム
生産性の向上こそがビジネス拡大の始点、
AIを組み込んだSalesforceが大きな成果を上げる

 多くの日本企業は今、売り上げの向上と労働時間の短縮という相反するテーマに直面している。優秀な人材を継続的に獲得し、満足感のある働き方をしてもらい、企業の売り上げ向上につなげるためには、ITを積極的に活用しながら自社の戦略を実現することが重要になる。

 セールスフォース・ドットコム コマーシャル営業 第3営業部 部長の宮﨑盛光氏は11月16日に東京で、同第4営業部 部長の若宮成吾氏は11月21日に大阪で、それぞれ同社が実践している効果的なIT活用事例を通じて生産性の向上がビジネスにどのような成果をもたらすのかを紹介した。

PDCAサイクルを実践して生産性向上

セールスフォース・ドットコム
コマーシャル営業 第3営業部 部長
宮﨑 盛光氏

 これからの日本は、人口減少に伴って労働力不足が顕在化するのは確実だ。売り上げを高めたくても、簡単に人を増やしていくことは難しい。「いまや生産性を高めることこそが、売り上げ向上のために最も重要なのです」と宮﨑氏は訴える。

 セールスフォース・ドットコム(以下、セールスフォース社)では、同社の提供するソリューションを活用することで生産性を向上し、売り上げ、利益、目標の達成を実現している。その成果には目覚ましいものがあり、毎年20~30%の成長を続けている。米Forbes誌から6年連続で「世界で最も革新的な企業」と評価されたほどだ。

 セールスフォース社で生産性向上のために活用しているツールは大きく3つある。モバイルアプリの「Salesforce1」、分析ツールの「Dashboard」、そして社内SNSの「Chatter」である。これらをどのように活用しているのか、営業のマネジャーによる活用法を例に解説していく。

 まずセールスフォース社では、ビジネスの第1目標として継続的な成長を掲げている。売り上げを拡大しながら、チームのメンバーそれぞれにやりがいを持って仕事に打ち込んでもらい、経験とスキルを向上させるよう促すのがマネジャーの仕事だ。それを実現するためのプロセスとして、5つのステップを設けている。いわゆる「PDCAサイクル」に対応するプロセスだ。

 第1ステップとして、チーム共通の目標と個々のメンバーの目標を設定する。そして第2ステップとして、その目標をどの顧客を対象にして実現するのか決める。ここまでが、PDCAサイクルの「P(計画)」に当たるプロセスである。

 第3ステップは、実際に営業活動を行う。このとき、ビジネスの状況を示す指標である「KPI(重要業績評価指標)」、売り上げと売り上げの予想、案件化から受注に至るまでのプロセスを示すパイプラインや、メンバーの活動量など、刻々と変化するデータを可視化しながら活動を進める。これが「D(実行)」のプロセスだ。

 次に第4ステップとして、活動内容、商談内容、個人の営業力などの詳細を、マネジャーがレビューし、必要に応じて各メンバーにアドバイスする。これが「C(評価)」になる。最後に第5ステップとして、商談の進め方、提案書の内容、競合対策、ノウハウなどを情報共有して、「A(改善)」を行うことで、チームが成長していき、生産性も仕事の質も向上していく。

いつでもどこでもマネジメントに活用できる「Salesforce1」

 こうした一連のプロセスを迅速かつ効果的に進めるため、同社のマネジャーは前述した3つのツール、「Salesforce1」「Dashboard」「Chatter」をフル活用している。

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 Salesforce1では、気になる商談や顧客に動きがあった時に、プッシュ型で手持ちのスマートフォンに情報が送られてくる。例えば、受注・失注の一報、顧客の新たな要求などがあった場合だ。そのため、常にチームメンバーの動きを監視している必要はないし、いつでもどこでも情報をキャッチアップできる。

 リアルタイムの情報を、日時や場所を問わず確認することができ、マネジメントに活用することで、チーム全体がスピーディな業務を行うことができる。

活動状況をリアルタイムに分析できる「Dashboard」

 Dashboardでは、刻々と変化するデータをリアルタイムで分析、グラフ化して状況を把握しやすくすることができる。「活動なくして商談なし、商談なくして売り上げなし」が営業の大原則である。このため、個々のメンバーの売り上げ状況はもちろんのこと、見込み商談の状況とそこに至った経緯、顧客への訪問活動の状況も、メンバーごとに分析してチェックできる。

 活動が停滞しているメンバーがいたら、原因を探り、コミュニケーションしながら改善していく。例えば、目標に沿った売り上げがあっても、月の半ばになっても見込み商談ができていない場合にはすぐに指示やアドバイスを出せる。

Chatterで「アドバイスの高速化、ナレッジの最大化」

 こうした指示やアドバイスを出すときに使うのがChatterだ。Dashboardでグラフ化したデータを添付することで、お互いにデータを見ながら、アドバイスを行ったり、指示を受けたりすることができる。

 こうしたケースで電話やメールを使うと、状況の説明に手間がかかったり、認識が合わずに誤解が生まれたりもする。また、あくまで1対1のコミュニケーションになるため、そこで生まれた良いアイデアや知見をすぐに共有することもできない。これに対して、社内で公開されているSNSのChatterであれば、「マネジャーがどのメンバーにどのような指示をしているのか、ほかのメンバーにも分かる。また、マネジャーにとっても他のマネジャーのやり方を知ることができ、学ぶことができる」と宮﨑氏は言う。

 このように、全社での情報共有を可能にするChatterがいかに有用なのかを表すものとして、次の事例が紹介された。

セールスフォース・ドットコム
コマーシャル営業 第4営業部 部長
若宮 成吾氏

 ある営業担当者とマネジャーが、商談の最終プレゼンに臨んだ。プレゼンを聞いた顧客の社長が「もっとほかの事例も見せてほしい」と言った。既に、用意していた数多くの事例を説明した後だったので営業担当者は慌てたが、マネジャーがスマホでChatterを使い、事例の投稿を各所に依頼すると、わずか30分で他部署から15の返信があり、その場で新たな事例を提示することができ、無事受注することができたという。

 セールスフォース・ドットコム コマーシャル営業 第4営業部 部長の若宮 成吾氏は、「このようにリアルタイムでナレッジの共有が実現します。Chatterにより、アドバイスの高速化、ナレッジの最大化ができるのです」と解説する。

データ入力は増える、しかし業務量は確実に減る

 ITソリューションの導入検討を進めると、必ず「データの入力作業が負担になり、結局、生産性は上がらないのでは」「入力が疎かになり、組織に根付かないのでは」と心配する声が上がる。

 宮﨑氏は「確かに日々の入力作業は増えます。しかし、増えた分の作業よりも多くの作業がなくなるので、Salesforceを利用するようになってからの業務量は確実に減ります。データを入力することにメリットを実感できれば、自然と入力は習慣化してきます」と断言する。Salesforceを活用すれば、引継書の作成と共有、名刺の管理、書類の管理とそれを探す時間、業務報告のための定例の会議などがすべてなくなるのだ。

 こうした利点を、社員、管理職、経営者が理解できれば、企業文化として確実に根付くという。そして、業務量が減った分を、顧客と会う時間、考える時間、チームを支える時間、そしてプライベートの時間に振り向けることで、業務が最適化され、個々の社員も会社も成長する。

 Salesforceを導入して生産性の向上に成功した顧客事例として、鶴巻温泉の老舗旅館「元湯 陣屋」(神奈川県秦野市)を紹介した。同旅館ではかつて、大正時代からの仕事のやり方をそのまま継承していた。顧客の予約を紙で管理していたので、確認が煩雑になり、予約が重なってしまうこともあったという。顧客管理も充分なものではなく、Salesforceの導入前は赤字経営になっていた。

 Salesforceを顧客管理のために導入すると、顧客がいつどのように旅館の施設を利用したのかが簡単に分かるようになり、顧客の利用状況や情報を把握したうえで接客ができるようになった。そのため、予約時に旅館側から、以前の利用履歴を踏まえて、個々の客に合った提案ができるようになり、良質な顧客体験につながったという。

 その結果、売り上げは52%増え、大幅な黒字に転換。業務の効率化も実現したことで、離職率も33%から4%に低下した。

AIでさらに生産性が向上

 Salesforceは、今後さらに生産性を高めるツールへと成長していきそうだ。2016年10月、セールスフォースは、Salesforceプラットフォーム上に人工知能(AI)「Salesforce Einstein」を組み込むことを発表。SalesforceにAIが実装されたことで、入力されたデータをAIが学習し、ユーザーの目的や状況に合わせたアイデアや情報を次々と提示できるようになる。データからの考察を得るところまでもサポートしてくれるというのだ。

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 現在、顧客関係管理(CRM)ツールの中で、AIを実装しているのはSalesforceだけ。すでに一部の機能の提供を開始している。

 AIの活用は、まだ先の話と感じる人もいるかもしれない。しかし、すでにあらゆる分野で活用され始めている。ビジネスにおいても、いち早くAIを活用することで競争力の向上につながり、そこでSalesforceが貢献することになるだろう。

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