パソナグループが「脱Excel」に踏み切った理由とは?~生産性・スピード・意思決定の正確性を向上するヒント~

営業HCM室の発足で徹底した効率化が必要に

株式会社パソナ 執行役員 営業HCM室長 矢野 美紀子 氏

 パソナは人材派遣や業務請負、HRコンサルティングや教育など、「人を活かすこと」を主軸に幅広いビジネスを展開。パソナグループはパソナを含むグループ企業の純粋持株会社だ。

 「従業員の人員計画などを行うため、以前は当社でもExcelを多用していました」と語るのは、パソナ 執行役員で営業HCM(Human Capital Management)室長を務める矢野 美紀子氏。その代表的な使い方としては、人事システムからCSVデータを抽出してワークシートを作成、それに対して営業部長が入退社、産休育休、異動などの人の出入りに関する情報を入力し、更新内容を集計・チェックしたワークシートを再び人事システムに戻す、というものだったという。「それぞれ100名弱の正社員・契約社員・業務委託社員など種別の異なる社員を抱える営業部長が40名ほどおり、毎月2回の頻度でこの作業を行っていました」。

 しかしこの方法には、いくつかの問題があった。まずExcelシートの配布や収集、集計に時間がかかり、集計時の転記ミスや数字の不整合が発生しやすかった。営業部長が誤ってフォーマットを変更してしまうケースも少なくなかったという。一方、営業部長にとっても、このようなExcel作業が大きな負担になっていた上、自部門の実績や見込みをすぐに見ることもできなかった。その結果、本来は分析や今後のプラン立案に時間を割くべきところ、集計に多くの工数を費やす非生産的な状況となっていたのだ。

 「この問題の解決に踏み切るきっかけになったのは、2016年6月に営業HCM室が発足したことです」と矢野氏。その背景には、パソナの成長分野であるインソーシング事業の拡大、M&Aによる増員、女性活躍の進展で産休に伴う人の出入りが増えたことなどがあったと説明する。「この時点で営業部所属の社員や契約社員は約3000名になっており、迅速かつ正確に、今後の人員見込みを把握する必要がありました。しかし人員数管理・配置・評価を行う営業HCM室の人数はわずか3名だったため、徹底した効率化が求められたのです」と矢野氏は続ける。

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「脱Excel」実現を可能にしたAnaplan

Anaplanジャパン株式会社 カントリーマネージャ 中田 淳 氏

 そのための手段としてパソナが選んだのが、「Anaplan」を活用した新プロセスの構築だった。

 「Anaplanとは、クラウドで計画立案・実績管理ソリューションを提供している米国企業です」と説明するのは、Anaplanジャパンでカントリーマネージャを務める中田 淳氏だ。2007年に設立されたまだ若い企業だが、大企業を中心とした顧客を全世界で700社以上抱えているという。

 2017年6月に発表されたガートナーの「Cloud Strategic Corporate Performance Management Solutions」の マジック・クアドラントで「リーダー」にノミネート。Forbes社が選出するクラウド分野を代表する100社リスト「クラウド100(Cloud 100)」にも2年連続ノミネートされている。「当社はプランニングソフトウエア業界の中で最後発と言ってもいい存在であり、それゆえに最新技術を駆使した、高速かつ簡単に使える低TCOソリューションを実現しています。日本国内でも60社強のお客様がAnaplanにアクセスし、1000名強のユーザー様にご利用いただいています」(中田氏)。

図1 パソナ 営業HCM室が実現した、Anaplanを活用した新プロセス
図1 パソナ 営業HCM室が実現した、Anaplanを活用した新プロセス
人事システムと連動したAnaplan上で、リアルタイムにデータを更新できるようになり、集計も自動化されている。
(図はクリックで拡大表示できます)

 Anaplanが提供するクラウドソリューションの大きな特長は、現行のExcelプロセスをAnaplan上にほぼそのままのイメージで再現でき、なおかつ集計の自動化やレポートの多次元化、バージョン管理、アクセス権限管理などを実現できる点にある。自社プロセスにこだわりのあるユーザーも抵抗なく受け入れることができる点は大きなメリットといえるだろう。このプラットフォームの柔軟性により、Anaplanの活用は人事や財務に限らずサプライチェーン計画や営業計画など、ありとあらゆる業務をサポートすることが可能だ。

図2 パソナにおけるAnaplanの画面例
図2 パソナにおけるAnaplanの画面例
画面構成はこのように、自由にカスタマイズできる。また独自モジュールを作成することで機能を追加することも可能だ
(図はクリックで拡大表示できます)

 この点に着目したパソナグループは、2016年7月に契約を行い、8月に導入プロジェクトを開始、9月には新システムをリリースした。現在ではAnaplan上で直接各営業部長が従業員異動などの情報を入力、その結果が自動集計され、人員や人件費の計画と実績がグラフによって可視化できるようになったという。これによってファイルの配布・収集・集計・報告レポート作成に費やしていた業務量を大幅に削減。数字の正確性も向上し、営業部長も人員実績・見込みをリアルタイムで確認できるようになった。

 また各営業部長は自分の担当部分にしかアクセスできないため、セキュリティも担保できるようになっている。「パソナ全体としても、現時点での人員数や人配置をリアルタイムに正確に把握でき、将来予測の精度も向上しました」と矢野氏は説明する。

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予算計画の効率化にもAnaplanを活用

株式会社パソナグループ 財務経理部企画グループ マネージャー 天谷 太一 氏

 しかしパソナにおけるこの取り組みは、Anaplan導入の第一歩にすぎない。「人員計画はシンプルなので、Anaplanを最初に試すには最適でした。しかし本当に目指したのは予算計画の効率化だったのです」(矢野氏)。

 この目的を達成するため、グループ企業を統括するパソナグループでもAnaplanの導入に着手。財務経理部企画グループでマネージャーを務める天谷 太一氏が、本業の傍ら2016年10月からたった一人で初期設定作業を進め、2017年2月にリリースしている。

 「私が予算策定業務に携わるようになってまだ2年目ですが、昨年は膨大な時間がかかり、このままではいけないと反省していました」と天谷氏は振り返る。パソナでAnaplanを導入したことを聞いた時には、これは予算業務改善にも活用できるのではないかと、興味を持ったのだという。「試しに使ってみると、自分でもなんとかなりそうだと感じました。Anaplanは学習用のコンテンツも充実しており、本業を行いながらでも3週間程度で設定方法をマスターできました」。

 以前の業務プロセスは、各部の部長が「売上~原価」「経費」「人件費」「家賃など」のExcelファイルを作成し、それらのデータを手作業で別のExcelファイルに貼り付けた上で集計を行っていたため、作業が煩雑でミスも発生しやすかった。現在ではこれらのデータ入力をすべてAnaplan上で実行。予算作成に使用する「営業係数」「人員計画」もこれらと連動しており、迅速に集計・見える化できるようになったという。

 「例えば、人件費を導く場合も、以前は人事システム、会計システム、案件管理システムという複数のシステムを介していたため、どのようなプロセスで人件費が導かれたのかは、営業現場にとって完全にブラックボックスでした。しかしこれらをAnaplanに取り込むことで、「人数×単価±調整項目」といったシミュレーションが行いやすくなり、人事部と営業現場との間の相互チェックも可能になりました。グラフによるデータ見える化も実現しているので、トップマネジメントの意思決定もスピードアップできます」(天谷氏)。

 このようにAnaplanなら、業務部門自らが業務改革を推進できる。パソナグループでは今後、他の部門や子会社にも、適用領域を拡大していく計画だという。

 パソナグループだけでなく、多くの企業で管理部門がこうしたムダ業務を抱えているはずだ。もし「脱Excelプロセス」で大きく生産性を向上したいのであれば、パソナグループのアプローチは非常に参考となる事例だといえるだろう。

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お問い合わせ

Anaplanジャパン株式会社
E-mail:Japan@anaplan.com

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