写真

企業競争力を向上させるCXの考え方 〜顧客をファンにして末永くサービスを利用してもらうためには〜

効率や売上ではなく、CXにテクノロジーを使う

CXとは、製品やサービスの選定段階から購入、利用、サポートまでのライフサイクルの中での顧客体験を意味する。顧客の行動を総合的に理解し、顧客ごとに最適にパーソナライズされたCXを提供することで、顧客のロイヤルティを維持し、製品やサービスの支持者となってブランドを周囲に広めてくれることが注目されている。質の低いCXを提供してしまえば、その体験が企業イメージを低下させ、他のブランドに顧客が乗り換えてしまうことも考えられ、売上損失につながることにもなりかねない。

ジェネシス・ジャパン株式会社 代表取締役社長 細井 洋一 氏

ジェネシス・ジャパン株式会社

代表取締役社長

細井 洋一 氏

しかし、細井氏は、「CXに取り組んでいる多くの企業は、いまだ効率やコストの観点を引きずっているように感じています。たとえば、我々はコンタクトセンターを企業の資産として考え、投資対象として考えていますが、コストとして考えるのであれば、本当の意味でのCXではなく、カスタマーケアにしかなりません」と話す。

「米RightNow社を創業したCEOのグレッグ・ジアンフォルテは、テクノロジーを使って売上を上げようとしてもうまくいかない。テクノロジーを使ってお客様との関係をもっと深く、近いものにしていけば、売上も上がっていく、と話しています。私も同意見で、売上のためにテクノロジーを使っても失敗し、お客様との関係をより強化し、よりよいCXを提供するためにテクノロジーを使うことで売上も上がっていくと考えています」と細井氏は話を続ける。「企業にとっては、お客様は売上を期待する存在であることは間違いありません。しかし、売上をどのように上げていくかを考えていくことが重要なのです。売るためにテクノロジーを使うのではなく、お客様のLTV(LifeTime Value:企業と顧客の継続的な取引の中で顧客が企業にもたらす価値)を上げるためにCXを向上させることで、末永くお客様とお付き合いでき、結果的に売上を伸ばすことができるのです」。

お客様ごとに最適化した
一貫性のあるCXを提供することが重要

ジェネシスは、10年以上前からCXの重要性を提唱し、CXソリューションを提供してきたと細井氏は話を続ける。米国で1990年に設立されたジェネシスは、コンタクトセンター・ソリューションのリーディングプロバイダーとして、現在の世界トップ100ブランドのうち70以上の企業がジェネシスのソリューションを採用している。主要なCXプラットフォームとして、クラウド型のPureCloud、オンプレミス/クラウド型のPureConnect、オンプレミス/クラウド型でフルカスタマイズが可能なPureEngageの3つが用意され、事業規模や目的、業態によって最適なソリューションを選択することが可能となっている。さらにコンタクトセンターで培ってきたテクノロジーをデジタル・チャネルに活用することで、パーソナライズされたオムニチャネルのカスタマージャーニーを実現している。

一般的に、企業ではCRMなどを使って顧客情報を蓄積し、顧客対応や製品開発などに役立てている。これらのデータは静的で構造化されたものであるが、ジェネシスでは、顧客とのインタラクティブな関係をどのように築くかに着目し、CRMなどのデータとともにメール・チャットのテキストや音声、Webの行動履歴などの動的で非構造化のデータを蓄積し、インタラクション発生の時点でリアルタイムに活用することで顧客の行動に合わせたオファーリングが行えるようにしているという。

ジェネシスでは、従来のSystems of RecordsとSystems of Engagementの両方のデータを連携させることで最適なCXを実現させている。

ジェネシスでは、従来のSystems of RecordsとSystems of Engagementの両方のデータを連携させることで最適なCXを実現させている。

細井氏は、「今や、Webやスマホで情報を検索してから、コンタクトセンターに問い合わせしてくる事が一般化しています。インターネットですでにお客様が見た情報をコンタクトセンターで繰り返したり、一度コンタクトセンターにアクセスして、再度コンタクトセンターに連絡したときに、また最初から説明しなければならないケースはまだまだあります。これでは、お客様に一方的に再説明の手間をかけさせることになり、よいCXを提供しているとは言えません」と話す。そのため、ジェネシスのソリューションでは、電話、メール、チャット、SNSなどのあらゆる顧客接点で、案件内容や顧客に合わせた最適リソースにルーティングできることが強みになっている。一例を挙げると、ジェネシスのソリューションでは、見込み顧客が製品やサービスを気に入り、購入を検討している段階でコンタクトセンターに連絡してきた際、そのお客様がWebやスマホで製品情報を収集した行動履歴が顧客のデジタル動線として蓄積されているため、入電の時点でより購買に前向きになれるようなトークができる最適なオペレーターに対応させることが可能となる。デジタル動線上でのお客様の動きから架電意向を察知することによってIVR(自動音声応答装置)で架電理由を申告させる手間も省くことができ、顧客の深意を深く理解したオペレーターが初回から対応することによって、よりよいCXを提供することが可能となっているのだ。

ジェネシスのソリューションを使った顧客化の例

ジェネシスのソリューションを使った顧客化の例

顧客の声を聞いて
ロイヤルティを上げることが重要

1992年から5年かけて、IT企業のダイレクトマーケティング会社の日本代表としてコールセンターを設立した経験を持ち、その20年後の2017年3月にジェネシス・ジャパンの代表取締役に就任した細井氏は、「20年前にはCXという言葉はありませんでしたが、その本質は変わっていないと思います」と話す。

「たとえば、昔はビジネスリプライカードといったハガキが製品に付いていて、製品についての感想や不満などを記入して販売元に送ることができました。現在は、オンラインでお客様の声を集めることが可能です。しかし、課題のある企業は、今も昔もこれらのお客様の声をあまり重視していない気がします。または、見ていても、次の商材に活かすことしか考えておらず、お客様が商品やサービスを包含したCX全体に満足しているかどうかは二の次になっているのではないでしょうか。よい商品を作ることやどうやって売るかを考えることは重要ですが、CXを気にして、お客様のロイヤルティを上げていかなければ、お客様は離れて競合商品に乗り換えてしまいます。よりよいCXを提供して、お客様に自分の会社やブランドのファンになってもらい、商品やサービスのよさを広げていくことを考えていくことは、今後の企業の成長で欠かせないものとなっていると思います」。

今後について、細井氏は、「我々が持っているCXに成功したお客様事例をより多く公開して、コールセンター業界だけでなく、多くの企業や行政にも働きかけて、CXの考え方をもっと広めていく必要があると考えています」と話す。また、現在、ジェネシスのCXソリューションで使われているAIをさらに進化させていくことも明かしてくれた。「ある業務目的に応じた1つだけのAIを使っても、偏った成長しかしないため、我々は“Kate(ケイト)“という複数のAI、あるいはAIと人間のコラボレーションを実現する”ブレンデッドAI“を提供しています。CX向上を念頭に置いて設計されたKateによって複数のAIプラットフォームを連携・連動させ、適材適所で使うことによって、CXを向上させていこうと考えています」。

さらに細井氏は、CXソリューションによって、働き方改革の一助となることも考えているようだ。「米国では、子育て中の人やハンデキャップのある人でも在宅でコンタクトセンターのオペレーターになっており、待遇や地位も高くなっています。労働人口不足に対応していかなければならない日本でも、我々のソリューションが役に立ち、働き方改革に貢献できればよいと考えていますね。AIについても、より精度が高いものとしていく中で、人が行わなければならないコミュニケーションとは何かをしっかりと考えていく必要があります。単純な問い合わせは、AIなどを使ったIVRやボットに任せ、オペレーターは価値や収益を創出するコミュニケーションにシフトさせていく必要があると考えています。よりよいCXを提供するために必要なオペレーターの確保が重要となってくる中で、テクノロジーを使って顧客接点におけるCXを改善し、さまざまなお客様接点で顧客ごとに一貫した体験を提供するソリューションを使って、お客様が必要なときに最適なリソースをマッチングさせてCXを最善化させることが、今後は非常に重要となってきます」。

写真