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ブロックチェーンは実証実験から本番実装へ

 多くの業界において、ブロックチェーンが最も関心が高いテクノロジーのひとつとして注目され、活用に向けての取り組みが始まっている。ブロックチェーンは政府の「革新的電子行政」施策のコアテクノロジーにも位置づけられ、2017年に入って、金融のみならず数多くのプロジェクトが立ち上がっている。ブロックチェーンの最新動向や実際のユーザー事例について紹介する。

2017年、ブロックチェーンは「本格展開」のフェーズに入った

桑原 茂裕 氏
日本銀行
理事
桑原 茂裕 氏

 金融をはじめ、あらゆる業界でブロックチェーン技術の活用に向けた実証実験が始まっている。このたび開催された「IBM Blockchain Summit 2017」には、日本銀行理事の桑原茂裕氏が登壇、「いくつかの課題はあるものの、その特性を生かし金融取引や決済効率化を実現する技術として期待されている」と述べた。

 桑原氏によると、ブロックチェーンは3つの方式に大別される。1つ目は「パブリック型」。これはビットコインに代表されるような、管理者を置かずにパブリックなネットワークで分散管理するものだ。

 2つ目は「コンソーシアム型」。これは複数の管理主体が運営するものである。そして3つ目が、単一の管理主体による「プライベート型」だ。

 ビットコインで採用されている「パブリック型」については、誰でも参加ができ、かつ管理者が存在しないために、参加者の悪意をどのように排除するか、さらに、枠組みの修正をどのように合意するかという課題を解決する必要がある。

 こうした課題を解決するために、「金融分野では、参加を許可制にして悪意のある参加者を制度上排除し、また管理主体を置くことで合意を得やすくすることを目指した『コンソーシアム型』や『プライベート型』の利用を検討する先が多いのが実情だ」と桑原氏は説明する。日銀では、新しい技術のもとで決済手段や資金仲介はどう変わるかについて理解を深めるべく、さまざまな取組みを行っている。その一例として、2016年12月から欧州中央銀行とブロックチェーンに関する共同調査を実施、調査結果をまとめた報告書を2017年9月に公表した。桑原氏は、「今後もさまざまな視点から考察を深めていきたい」と抱負を述べた。

ジェームス・ウォリス 氏
IBM Industry Platforms
バイスプレジデント
ジェームス・ウォリス 氏

 一方、「全世界でブロックチェーンに関する約400のプロジェクトが進行している」と述べるのは、IBM Industry Platforms バイスプレジデントのジェームス・ウォリス(James Wallis)氏だ。そのうちの約1割が日本で進行しているプロジェクトで、ブロックチェーンは、実証実験から本格的な展開段階に入ってきたといえる。

 プロジェクトを通じて得られた教訓として、特にウォリス氏は「PoC(Proof Of Concept: 実証実験)と本番システムとはネットワークに求められる要件が異なる」点に言及する。実証実験ではコストやスピードが重視されるものの、本番実装の際には、高いセキュリティー、拡張性や堅牢性が重視されるのだ。

高田 充康 氏
日本アイ・ビー・エム株式会社
IBMシステムズ
先進テクノロジー・センター 部長高田 充康 氏

 これらの課題を解決するプラットフォームが、IBMが提供するブロックチェーン構築プラットフォーム「IBM Blockchain Platform」だ。これは、新バージョン「1.0」が発表されたオープンソースの「ハイパーレジャー・ファブリック(Hyperledger Fabric)」をベースに、本格展開に不可欠な開発・ガバナンス・運用が統合されたブロックチェーン・プラットフォームだ。

 「IBM Cloud」上で、PaaS形式で提供され、開発者サポートとともにフル・マネージド・サービスとして提供される。日本IBMのIBMシステムズ 先進テクノロジー・センター 部長の高田充康氏は「標準化されたプラットフォーム、標準化されたツールを使うことが、迅速化、効果的運用のカギを握る」と説明した。

 「IBM Blockchain Platform」は、実証実験向けの「エントリー(Entry)」、本番業務向けの「エンタープライズ(Enterprise)」、エンタープライズの中でも特にセキュリティーや性能要件が厳しい業界向けの「エンタープライズ プラス(Enterprise Plus)」の3つのプランが用意され、10月から日本のデータセンターでのサービスも提供される。

貝塚 元彦 氏
日本アイ・ビー・エム株式会社
ブロックチェーン・ソリューションズ 部長
貝塚 元彦 氏

 また、日本IBMのブロックチェーン・ソリューションズ 部長の貝塚元彦氏は「現行システムをブロックチェーンにリプレースするにはコストがかかるのも事実だ」と述べる。

 そこでIBMが提唱するのが「シャドー・レジャー」というアプローチだ。これは、既存のシステムはそのままに、ブロックチェーンと連携して情報を共有する方式だ。貝塚氏は、特に国際貿易や地方創生、公共サービスといった分野で、ペーパーレスやプロセス可視化によるコスト削減のメリットが大きいと述べ、今後もIBMは、「IBM Blockchain Platform」を中核に、企業間ブロックチェーンの構築、運用に関するノウハウを蓄積し、教育、サポート、パートナーサービスなどのブロックチェーン・エコシステムを確立していくと抱負を語った。

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