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Watsonが支援する「働き方改革」

多くの企業が働き方改革への取り組みを加速している。最近はテレワークへの関心が高いが、それ以外にも見直すべき課題は多い。たとえば、文書中心の情報共有、メール中心のコミュニケーション。また、各所に散在するナレッジを探し出すために時間がかかりすぎるという悩みもあるだろう。こうした働き方をめぐる幅広い課題に対してIBMは、コグニティブ(AI)技術を活用した新しいアプローチを提唱している。

課題の多い文書中心の情報共有。
新しいコミュニケーションを模索する動きも

日本アイ・ビー・エム株式会社
技術理事
コラボレーション&タレント・ソリューション事業部
行木陽子氏

 今、多くの企業が働き方改革を推進している。その中で大きなテーマになっているのが、時間や場所の制約を受けずに柔軟に働くことができる形態、テレワークである。ただ、テレワークだけでは働き方改革のインパクトは限定的だ。日本IBMの行木陽子氏はこう指摘する。

「確かに、テレワークによって働く場の柔軟性は高まります。しかし、働き方には場所以外の様々な要素が関係しています。文書作成やコミュニケーションのあり方などを含め、働き方をトータルにとらえて生産性向上につなげるという広い視野が求められます」

 現在の働き方を見直すうえで重要なテーマの1つは、文書中心の情報共有の課題だろう。たとえば、報告のための書類づくりに追われて本来の業務が圧迫されてしまう。あるいは、散在した情報を収集したり、必要な情報を見つけたりするのに相当な時間を要する。

 こうした課題に向き合い、文書中心のスタイルから脱却しようという動きもある。たとえば、作成者と読み手の両方にとって時間のかかるプレゼン資料の利用を禁止する企業もある。メールから社内SNSへと舵を切った企業も少なくない。

 一方で、働き方改革のスコープは広がりつつある。従来は主としてオフィスワーカーが対象と考えられてきたが、店舗や工場などで働くフィールドワーカー、さらには協業する社外ワーカーをも含めた取り組みも始まっている。その背景にあるのが、IBM Watsonに代表されるコグニティブ・コンピューティング、そしてIoT技術の進化である。

「たとえば、社内に散在する情報をWatsonに学習させ、タイムリーに必要な情報を手に入れられる環境をつくる。あるいは、センサーデータや社外のビッグデータを読み込ませて、Watsonから適切な示唆を得る。今、そんな新しい形のWatson活用が実現しつつあります」(行木氏)

 働き方改革の文脈では、コグニティブ技術には主に2つのエリアでの活用が想定されている。第1に、メールやスケジューラーなどのデータを読み込んだうえで、仕事の優先順位付けや定型業務処理などを行うパーソナル・アシスタント。第2に、専門分野の膨大なデータを学習し、ユーザーの質問に答えるエキスパート・アドバイザーの役割である。

現場の問題を素早く解決、
共有ナレッジで習得期間を短縮

 IBMは、コグニティブ技術を駆使して新しい働き方を実現する「Watson Work」をコンセプトとしたソリューションを提案している。その柱の1つが、「IBM Watson Workspace & Work Services」だ。Watsonと連携して様々なコミュニケーションを1つのユーザーインタフェースで支える。

(図)IBM Watson Workspace & Work Services
[画像のクリックで拡大表示]

「Watson Workspaceは、タイムライン型の会話をサポートするコラボレーション・プラットフォームです。PCやスマートデバイスで同じ使い勝手を実現します。たとえば、会議が招集されたとき、必要な準備を選択肢として提示するなど、ユーザーの行動を支援する機能も備えています。また、グループに途中から参加したメンバーに対しては、過去の会話の内容を要約して重要なポイントを示し、いち早くキャッチアップできるよう手助けします」と行木氏は話す。

日本アイ・ビー・エム株式会社
コラボレーション&タレント・ソリューション事業部
ソーシャル・アーキテクト
石原栄治氏

 一方のWatson Work ServicesはWatson Workspaceのアプリケーション・プログラミング・インタフェース(API)。このAPIを活用して社内外の多様なアプリケーションと連携させることにより、Watson Workspaceの機能を拡充することができる。メールやIoT、プロジェクト管理、CRMなど幅広いアプリケーションが連携相手となる。具体的な活用例について日本IBMの石原栄治氏はこう説明する。

「たとえば、工場のラインで異常が発生したときの対応です。ラインに設置されたセンサーが異常を検知すると、その情報はクラウドにアップされ、担当者のWatson Workspaceに通知されます。担当者は現場に急行しますが、自分の知識だけでは対応できない場合もあるでしょう。原因を特定するために、Watson Workspaceにエラーコードを入力すれば、いくつかの候補が提示されます。それでも特定できないときは、社内の誰に聞くべきかをWatsonに尋ねて、何人かの担当者やエキスパートを教えてもらいます」

 その後は、Watson Workspace上でエキスパートとつながり、社内SNSのような感覚でコミュニケーションをとる。スマホで撮影した異常箇所の写真共有なども容易だ。専門的なアドバイスを得て、担当者はトラブルに適切に対処することができる。

 従来、ラインの現場担当者が対処できない場合、遠隔地からエキスパートが出向くケースも多かった。Watson Workspaceは、担当者のスマートデバイスを通じて多様なナレッジの活用をサポートする。各種アプリケーションやセンサーデータ、そしてエキスパートのナレッジと連携することで現場での素早い課題解決が可能になる。

 Watson Workspaceのメリットは、モバイルでの課題解決だけではない。それは経験知を学ぶ時間の短縮にも役立つと石原氏はいう。

「人間の持つ技術には、技能と経験知があるといわれます。経験知については、共有化されたナレッジで補うことが可能です。Watson Workspaceにより、人材育成や技術習得にかかる時間は短縮されるでしょう。かつて『10年で一人前』といわれた仕事であれば、その期間は5年、7年になるかもしれません」

宛先を指定して情報を送るのではなく、
情報を得られる「場」をつくる

 Watson Workspaceによって、社外ワーカーとのコラボレーションも容易になる。

「社外とのやり取りにおいては、双方で使っているツールの違いがネックになる場合があります。Watson Workspaceはこうしたツール間のギャップを埋め、あたかも同じツールを使っているような感覚でコラボレーションを行うことができます」と行木氏。これにより、「両社でどのツールを使うべきか」という悩みは解消される。また、社内ツールと社外向けツールで、同じ資料について二重で作業・管理する負荷もなくなる。

 働き方を再検討する際には、メール主体のコミュニケーションという現状にも目を向ける必要がありそうだ。多数のCCメールの中で、本当に必要な情報が埋もれてしまうといった課題を実感しているユーザーは少なくないだろう。そこでIBMが提唱するのが、「場」の活用だ。

「宛先を指定して情報を送るという形ではなく、そこに来れば必要な情報が得られるような場をつくる。それを実現するコラボレーション・プラットフォームが、『IBM Connections』です」と行木氏は語る。

 IBM Connectionsは日常の業務やプロジェクトに関連するメンバーが部門の壁を越えて情報共有したり、プロジェクト管理をするためのオンライン上の場として「コミュニティ」を提供する。全社員によるコミュニティもあれば、2~3人のコミュニティ、社外の関係者も含めて情報共有できるものなど、業務に応じた規模や枠組みでのコミュニティの形成が可能だ。さらに、担当者やエキスパートを見つけ出すプロフィール機能、ファイルを共有するためのファイル機能、コミュニティに属する全員で編集できるWikiなど、多様な機能を活用すれば、コラボレーションをより効率化できる。プロジェクトのメンバーが交代しても、コミュニティにアクセスさえすれば、情報はすべて揃っており、協業すべき関係者ともすぐにコミュニケーションを取ることができる。最新の機能「Orient Me」では、各ユーザーに必要な情報や関係者の最新情報が表示される、ユーザーごとにパーソナライズされたホームページを提供する。

 IBMは働き方改革をサポートする多様なソリューションを顧客企業に提供するとともに、自社内でも積極的に活用している。ユーザーから得られる日々のフィードバックにより、IBM Watson Workspace & Work ServicesやIBM Connectionsは進化し続けている。

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