特集2

成長を妨げない「柔軟な組織」をつくれ 〜サービス拡大に合わせて堅牢なセキュリティ環境を構築〜

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急成長する事業に合わせて働く環境を見直す

中小企業にありがちなのは、急成長する事業展開に足元の体制整備が追い付かなくなること。好況ばかりに目を奪われて急成長のゆがみを放置し続けると、いつの間にかピークアウトを迎えてしまう。

組織として機能させ、経営陣は経営マターの業務に専念できる環境を整えること。それは、働く環境を見直すことにつながる。FiNCの場合は、社内外の要請を整理した上で、新しいクラウドサービスの検討を、2015年9月に始めることとした。

「当社は、高度なセキュリティを要求される膨大なデータを社内に持っています。サービスの拡大に合わせて情報を確実に守れる堅牢なセキュリティ環境を構築することが大前提でした」(南野氏)

同社には、ネットワークビジネスの高度な知識を持つスタッフだけでなく、栄養士やトレーナーなど、普段の業務で直接PCを必要としない人も数多く働いている。「そのため、セキュアなのはもちろん、使いやすい業務ソフトウエアが必要でした」と南野氏は語る。

加えて、将来のグローバル展開を見据えて、世界中どこでも確実に使えるツールであることも選定条件に加えた。

宮崎 亜紀子 氏

株式会社FiNC
技術開発本部
データアナリスト
宮崎 亜紀子 氏

検討作業にあたったFiNCの宮崎亜紀子氏は、「今回はあくまで情報セキュリティやITガバナンスを最優先に移行を決めました」と振り返る。「社員は全員、以前のサービスに慣れていたため、移行にはかなりの反発の声も聞かれました。たしかに慣れ親しんできた環境を変えるのは一時的にユーザーに負担が増えますが、会社の成長のために乗り越えなくてはならないと考えました」(宮崎氏)。

また同社の業務ではMicrosoft PowerPointとMicrosoft Excelが必須のツールとなっているため、新しいサービスを検討する場合、Office 365はむしろ自然な選択だったという。また今後のグローバル展開を考慮した場合、既存の他社クラウドは中国で利用できない制約もあり、おのずと選択肢はOffice 365に絞られた。

しかし、今回Office 365を採用したもっとも大きな理由は、単に業務のためのソフトウエアを移行するだけでなく、Active Directoryとの組み合わせによって、情報セキュリティ基盤自体を全面的に刷新しようという基本構想にあったという。

「Active Directoryを導入することで、Office 365はもちろんのこと、社内に導入されている他社のツールも含めたトータルな認証基盤が構築できます。現在の規模にまで成長した当社にとって、こうした情報セキュリティ基盤の導入は、最優先の課題だったといえます」(南野氏)。

現在 Active Directory は、Office 365 の認証基盤として使われているが、外部ツール群とのシングル サイン オン (SSO) 連携が完成されれば、マイクロソフト製品以外の社外ツールもすべてセキュアに一元管理できるようになる。

現在 Active Directory は、Office 365 の認証基盤として使われているが、外部ツール群とのシングル サイン オン (SSO) 連携が完成されれば、マイクロソフト製品以外の社外ツールもすべてセキュアに一元管理できるようになる。

会社の成長規模にふさわしい新たな体制へ

FiNCでは2016年1月に社内の業務処理ツールをOffice 365へ全面的に移行。さらにActive Directoryと組み合わせることで、社内のデータリソースへの厳格なアクセスコントロールと、モバイルを含む統合された認証管理基盤を確立した。

これは、サイバー攻撃や社員の不正対策など、事業拡大につれて外部から要請されるセキュリティ対策強化に完全に応えるものだ。

小島 かおり 氏

株式会社FiNC
取締役CISO
小島 かおり 氏

FiNC取締役CISOの小島かおり氏は、導入効果を次のように説明する。「Active Directoryになってからは、端末管理を始めすべての管理をAdministratorによって一元的に管理できるようになりました。規模が大きくなり業務が複雑になるほど、インシデントにつながる人的ミスも起こりやすくなります。それをシステムで自動制御することで、少ない労力で高度なセキュリティが実現可能になっています」。

また、組織として今後も成長していくには、社内的な情報共有・管理の基盤も大切だ。現在はMicrosoft SharePointでポータルを構築して、そこから全体を管理できる仕組みが整っている。

「この仕組みも、作ろうと考えてからわずか1~2日で構築できてしまいました。ビジネスのスピードに負けない情報管理システムを構築できたことは、セキュリティ向上に比肩する成果だと自負しています」と小島氏は語る。

昨今、社外や在宅で仕事をするモバイルワークを導入する企業が増えている。時間の有効活用やダイバーシティの観点からもモバイルワークは非常に有効だが、他の社員との情報共有の点で課題があったことも事実。モバイルワークは一人での作業が多いため、孤立しがちだ。だが、こうした情報共有基盤があれば、そうした心配も少なくなる。

また、当初の目標だったセキュリティの強化に加え、システム運用・管理の負荷やコストも大幅に圧縮できたという。投資の選択と集中という観点からも、自社でシステムを保有する必要のないクラウドを活用することによるコスト削減効果は、かなり大きいといえる。

Office 365ではストレージにOneDrive for Businessを利用し、作業ファイルの管理、共有、他のユーザーとの共同作業などを、すべてクラウド上で可能にしている。この結果、自社でのサーバーの導入・管理コストがまったく不要になった。またパフォーマンス管理や障害対応など、オンプレミスでは避けられなかった日常の保守作業から手が離れ、業務要件に集中できるようになた。

「そもそも社内にサーバーを管理するエンジニアを置かなくてよいというだけで、年間何千万円というコストが節約できていますし、そうした省コスト性や導入の容易さで、設立当初からクラウドを積極的に利用してきました。そこに加えて今回の移行では、セキュリティ強化や管理の効率化、自動化といった点にも着目した結果、会社の成長規模にふさわしい新たなクラウド利用の在り方へステップアップできました」と南野氏。安心なセキュリティをスピーディーに実現できたことに、満足感を示す。

Office 365は会社の成長に伴うセキュリティだけでなく、モバイルワーク/在宅勤務も強力に支援する。 成長を続けるスタートアップ企業の力強いパートナーとなるだろう。

柔軟な組織づくり 成功の3カ条

急成長する事業展開に歩調を合わせ、企業として柔軟に組織やITインフラを見直していかないと、
さらなる成長は見込めない。

  • 1.社内外の要請を整理した上で、ITインフラ刷新も含めた見直しが大切
  • 2.環境を変えるのはユーザーの反発もあるが、今後を見据えて断行すべき
  • 3.ITインフラは、コストやスピードを考えると、クラウドが最適。グローバル対応も考慮するとOffice 365はポイントが高い