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インクジェット技術の可能性とは?

連載企画 : 第2回 インクジェットイノベーション

 セイコーエプソン(以下、エプソン)は主力事業であるプリンティング領域で革新的な技術・製品を生み出し続けている。その原動力となっているのが長期ビジョン「Epson 25」に描かれている「インクジェットイノベーション」である。インクジェット方式の可能性を追求し、独自の技術開発を重ねることで、オフィス印刷市場はもちろん、高耐久・高生産性が求められる「デジタルプレス」や、高性能インク・高速搬送が求められる「デジタル捺染(なっせん)」などの商業・産業市場の領域でも、インクジェット方式へのテクノロジーシフトを推進していく(図1)。ここではこの「インクジェットイノベーション」について詳しく紹介する。

(図1)インクジェットイノベーションのビジョン・戦略
[画像のクリックで拡大表示]

インクジェットへのこだわりが、レーザー方式を凌駕しうる技術を生んだ

 オフィスの複合機/プリンターはレーザー方式が主流だ。プリンター市場はワールドワイドで約18兆円、世界におけるレーザー方式の市場規模はインクジェットプリンター市場の3.5倍と言われているが、家庭用プリンターで広く使われるインクジェット方式の機種を採用するオフィスはまだ少ない。大きな理由は、画質や印刷スピードはレーザー方式にかなわないと思われているからだ。

 しかし、それも今では過去のもの。インクジェット方式は驚異的な進化を遂げている。それをけん引するのがエプソン独自のコア技術「マイクロピエゾ技術」である。

 インクジェットプリンターの心臓部であるプリントヘッドがインクを噴射する方式には、大きくサーマル方式とピエゾ方式がある。サーマル方式は、加熱により気泡を発生させインクを吐出するため、加熱部分のヒーター劣化の懸念やインク種の制約などがあるが、それに対し、ピエゾ方式は電圧によりピエゾ素子を収縮させインクを吐出する仕組みで非加熱のため、ヘッドの耐久性が高く多様なインクが使え、消費電力も抑えられるのが特長だ。

 エプソンはこのピエゾ方式の技術を生かし、独自の「マイクロピエゾ技術」を確立した。マイクロピエゾ技術は、優れたインク吐出能力を有するプリントヘッドを中心とし、画像処理、インクシステム、インク、紙送り機構をはじめとした精密メカニズム、メディアなどの周辺技術も合わせたエプソンのプリンティング事業を支えるコア技術だ。

 そのマイクロピエゾ技術により生み出された「PrecisionCoreプリントヘッド」は、印刷性能に革新をもたらすとともに、ヘッドを構成する主要パーツ「PrecisionCoreプリントチップ」のモジュール化と、自社生産体制の構築により、高い信頼性や拡張性に加え、低コストも実現している。

(図2)マイクロピエゾ技術の特徴
[画像のクリックで拡大表示]

 そして、「PrecisionCoreプリントチップ」を用いて開発された最新型ヘッドが「PrecisionCoreラインヘッド」だ。多くのインクジェットプリンターが採用しているシリアルヘッド方式はヘッドを用紙の上で左右に高速で往復移動させて印刷するのに対して、「PrecisionCoreラインヘッド」では用紙の幅と同等の長さのヘッドを配置することにより、ヘッドを固定したまま、紙送り機構のみでの印刷を実現。圧倒的な印刷速度の向上を可能にした。

 この最新型ヘッドは、チップを斜めに配列することによるヘッドの小型化やノズルの高密度化、高速印刷に対応するための速乾性インクや高速搬送メカニズムの開発なども実現。その結果、コンパクトかつシンプル構造でありながら、100枚/分(※1)というレーザー方式を凌駕するプリントスピードと高画質の両立に成功した。

 インクジェット方式にこだわり、その可能性を追求する地道な活動が、従来の常識を覆すイノベーションを育んだのである。

100枚/分(※1)の圧倒的な高速印刷と高画質、低消費電力でオフィスを刷新

フラッグシップモデル 高速ラインインクジェット複合機/プリンター『LX-10000F』シリーズ

 このインクジェットイノベーションの実現に向け、エプソンは、新型コアデバイス「PrecisionCoreラインヘッド」を搭載したオフィス向け「高速ラインインクジェット複合機/プリンター」を発表。6月15日から日本で販売した。以下では、その新製品について紹介する。

 一番の特長は圧倒的な印刷スピードと画質の両立だ。最大100枚/分(※1)の高速印刷が可能で、さらに600×1,200dpi(最大2,400dpi)の高解像度でシャープな文字品質や鮮明なカラー印刷も可能。水性顔料インクの採用で水濡れにも強く、用紙の裏抜けもしにくいなど、十分なビジネス品質を確保している。

 また、その環境性能にも注目したい。エプソンの最新インクジェット方式は100枚/分(※1)の印刷でも320Wで済む。熱を使わない印刷方式のため、消費電力が圧倒的に少ないのだ。一般オフィスで使用される100V・15Aの電源環境で利用でき、すぐに導入、稼働が可能な仕様となっている。

 その他にも交換部品が少ないシンプル構造や、交換頻度をさげる大容量インクカートリッジなど様々な特長を持つ。レーザー方式を凌ぐ「圧倒的な生産性」と「優れた環境性能」によってオフィスでのインクジェットイノベーションを体現していく製品だ。

※1:A4横片面印刷。印刷スピード算出方法については、下記関連リンクをご参照ください。
http://www.epson.jp/products/bizprinter/note/popup09.htm