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市場をリードするプロジェクターの新戦略

新技術で価値創造と新市場の創出を

 エプソンが独自の技術力によって広げようとしている市場はこれまでのプロジェクターの枠にはとどまらない。プロジェクターはもはや会議室でプレゼンテーションのために使うだけのものではなくなり、コミュニケーションツールとしても進化しつつある。

 例えば、ホワイトボード機能と電子黒板機能が搭載された超短焦点モデルからもその方向性が見いだせる。専用の電子ペンによって、パソコンを使わなくても板面に文字や図形をスムーズに書き込むことができるため、独立したコミュニケーションツールとして気軽に利用できる。

 このほかにも、机などに画像を投写して会議参加者全員で共有しながら議論を進めたり、板面に映し出したオブジェクトを指で操作したり、書き込んだ情報を遠隔地での会議参加者と共有したりすることによって、コミュニケーションのあり方自体を変えていく可能性は高い。

 また、画像を扱う技術自体も進化していく。エプソンでは新機種の発表と同時に2つのアプリケーションを発表した。手元のコンピューターで複数プロジェクターのレンズ制御や歪み補正など、さまざまな制御・調整作業ができる「Epson Projector Professional Tool」と、複数のプロジェクターを管理できる「Epson Projector Management」だ。

(図4)周辺技術が生み出す新たな付加価値
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 アプリケーションによるプロジェクターの管理機能向上のほかにも、近い距離から大画面で投写できるゼロオフセット機能を有した超短焦点オプションレンズなど、設置場所の自由度や機器の操作性を高める周辺技術がマイクロディスプレイ技術やレーザー技術と合わせて進化することで、プロジェクターの利用シーンは広がっていく。

 具体的には、インタラクティブ性を生かした教育市場やオフィス市場、レーザー光源をベースにした超高光束技術で実現するサイネージ市場、さまざまな光制御技術を駆使した空間演出市場などだ。

 そうした同社の意気込みは、プロジェクターの空間演出のショールームとして新装されたエプソン新宿オフィスのエントランスエリアからも伝わってくる。

空間演出の事例(エプソン新宿オフィスのエントランスエリア)
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 これらに加えて、AR(拡張現実)技術を取り入れたスマートグラス市場を含めた領域でも、新たな価値の創造に挑戦するという。

 スマートグラス市場ではシースルー型という、現実の風景にデジタルの映像や画像を重ね合わせて見ることができる特長を持つ「MOVERIO(モベリオ)」を開発。昨今注目されている、ARを実現する有力機器として注目を集めており、個人で楽しむだけではなく、サービス分野、産業分野など、さまざまな場面での利用が進み始めている。

独自開発のシリコンOLED(有機EL)を搭載した「MOVERIO(モベリオ)」
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2018年度にビジュアルコミュニケーション事業で売上収益2000億円を目指す

 すでにワールドワイドのプロジェクター市場で圧倒的な存在感を誇る同社にとって、成長シナリオを読み解くカギは現在の市場シェアにもある。同社が今後「成長が期待できる領域」として挙げているのは、中国市場、欧州・中東・アフリカのEMEA市場、そして高光束分野だ。

 同社のシェアが大きい日本、北米、南米に比ベ、中国、EMEAはシェアが小さい。裏を返せばまだまだ伸び代があるということだ。同社の技術的な優位性を生かしながら、どの地域にも対応できるようにラインアップの充実を図り、それらの製品を提供することで大きな成長が見込める。

 そして、もう1つの成長領域とみられているのが高光束プロジェクター分野※4だ。この分野での同社のシェアは、他分野と比較するとまだ低いが、2015年度の15%から2016年度は19%と着実に伸張しており、今後の成長が期待できる分野だ。

※4:レンズ交換方式のプロジェクター

(図5)プロジェクターの競争環境
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 同社ではこれらのエリア・分野を強化しつつ、教育市場、サイネージ市場、空間演出市場、スマートグラス市場といった各市場での価値創造に取り組むことにより、2016年度の売上収益1796億円から、2018年度には2000億円に到達させることを目指している。

 その先にあるのは、「Epson 25」で掲げたビジュアルイノベーションの実現だ。同社のプロジェクター事業はまだまだ成長できる可能性を持っていると言えるだろう。

(図6)長期ビジョン「Epson 25」 〜ビジュアルイノベーション~
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