製造業の差別化のカギを握る アフターサービス業務改革のステップとは? 〜ブラザー工業 マシナリー事業に見る「顧客満足度」と「収益性」の二兎を追う方法〜

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製造業の「サービス化」の流れが加速している。かつて製造業のビジネスを左右していたのは製品の差だった。しかし、グローバル化と製品のコモディティ化が進んだ現在、製品力のみで差別化を図ることが難しくなりつつある。

こうしたことから注目されるようになったのが、製品販売後の保守やメンテナンスなどを行うアフターサービスの領域である。業界や製品にもよるが、サービスの市場は製品市場の数倍の規模があるとも言われている。また、その収益性は製品の開発・生産工程からもたらされる収益性と比べても格段に高く、顧客満足に直結する領域として、大きな改革・改善の余地が残された最後のフロンティアとも称されている。

海外の先進製造業の多くはその戦略的な重要性に着目し、アフターサービスに軸足を置いた事業を展開しつつある一方、多くの日本企業では、経営層の関与・主導の下、十分な改革やシステム化が進んでいるとはまだまだ言い難いのが実情だ。

そのような状況の中、アフターサービスの改革を積極的に推進しようとする企業も増えつつある。その一例として紹介したいのが、デジタル複合機の大手メーカーとして知られるブラザー工業だ。同社では、主力事業である通信・プリンティング機器の他、産業機器(工作機械)や工業用ミシンなどを提供するマシナリー事業を今後の成長領域と位置付け、積極展開している。

同事業で扱う産業機器は、製品ライフサイクルが非常に長く、万一故障が発生した際には、顧客のビジネスに大きな影響を与えてしまう。そのような製品・事業特性から、2012年にはサービスを専門で行う独立した産業機器CS推進部を立ち上げるなど、従来からアフターサービスには力を入れてきた。

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だが、顧客の機器停止時間(ダウンタイム)の短縮を目指し、サービス力を一層強化する取り組みの中で、大きな“壁”にも直面していた。それは、「サービスレベル=顧客満足度の維持・向上」と「収益性確保」の両立だ。より具体的には、アフターサービス業務の要となる保守部品の「即納率向上」と「在庫削減」という相反する課題をどう解決するかということだ。

保守部品は、保管すべき部品アイテムの多さ、供給期間の長さなどの点で、生産用部品とは異なる管理の難しさがある。同社ではその予測・計画業務を一部の経験豊富なベテラン社員に頼っていたが、その社員の定年退職や、業務のグローバル拡大に伴い、属人的なプロセスを次世代に引き継ぐという課題も抱えていた。

同社ではこうした課題の解決に向け、保守・補給部品の即納率95%以上を安定的に維持できる体制を推進する取り組みに着手。30%の在庫削減と在庫計画の業務工数15%削減を見込んでいる。以下ではその具体的なアプローチについて紹介したい。

即納率95%以上をキープしつつ、在庫を30%削減する方法とは?
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