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Vol.1 “小売・流通業”にみる事業革新の動きとビジネスロケーションの重要性

物流・調達の最新トレンドから、新たなビジネスモデルを模索する

テクノロジーの急速な進歩とともに、“小売・流通業”の要である物流・調達の「あり方」も目覚ましく変化している。フォーラムの第1部に登壇した物流・調達コンサルタントの坂口孝則氏は、その最新事情を具体的な海外事例などをふんだんに織り交ぜながら解説した。

物流・調達のトレンドを6つのキーワードで読み解く

坂口氏

調達・購買コンサルタント
坂口孝則

大学卒業後、メーカーの調達部門に配属され調達・購買、原価企画を担当。2012年、未来調達研究所株式会社取締役に就任し製造業を中心としたコンサルティングや企業内研修を担当。専門家としてテレビ、ラジオ等でも活躍し企業での講演も行う。

 大手家電メーカーや自動車メーカーなどで長年、物流・調達担当として第一線で現場を見てきた坂口孝則氏。そのキャリアを通じて、時代ごとの施策の変化を肌で感じてきた経験から、2010年代後半以降の調達・購買施策が、「テクノロジーの進化やイノベーションとともに、大きく様変わりした」と指摘する。

 そこで坂口氏は、海外の物流・調達現場で実際にどのようなイノベーションが巻き起こっているのか? それによって小売・流通のビジネスモデルはどのように変化しようとしているのか? について、近未来も見据えた具体的な事例を盛りだくさんに紹介したいと説明。「自社の物流・調達が今後どうあるべきかを考えるヒントにしてほしい」と呼び掛けた。

 そのうえで坂口氏は、調達、物流について、それぞれ最新潮流を読み解くための3つのキーワードを提示。調達については「BtoBMatch」「OS(オープンソース)」「機械学習」、物流については「ロボ」「ビッグデータ」「GPS2.0」の計6つが重要なキーワードになるとの見解を示したうえで、具体的な事例紹介が始まった。

フォーラムの様子

「モノからサービスへ」の動きが調達を進化させる

 まずは調達について。最初のキーワードである「BtoBMatch」の事例のひとつとして取り上げたのは、米国の「MFG.com」という調達サイトだ。これはメーカーや小売・流通業者などが、自社で取り扱いたい製品の設計図や開発仕様書などをアップして、実際に製造してくれるサプライヤーを世界中から探すためのマッチングサイトである。

 坂口氏は「CtoCやBtoCだけでなく、BtoBの領域でもこうしたマッチングサイトが一般化しつつある」と指摘。それがさらに進化し、米国ではクルマ1台を丸ごと造るためのサプライヤーをBtoBの仕組みで募集する新興自動車メーカーが存在することなども紹介した。

 また、「OS(オープンソース)」の潮流については、「本来であれば門外不出の工業所有権や著作権などをインターネット上で公開し、誰もが自由に使うことを認めるビジネスも始まっている」という驚きの現状を紹介。自動車製造に必要な設計図の3Dデータを完全公開している企業などの事例を挙げた。これは「製品そのものを売るのではなく、勝手に造らせることによって自社の知名度を上げる、造るための指導料で稼ぐといった、まったく新しい収益モデルである」と坂口氏は解説。「まさに『モノからサービスへ』という時代の流れに沿った動きだ」と指摘する。

購買・サプライチェーンにおける3つのキーワード

購買・サプライチェーンにおける3つのキーワード

坂口氏が“これからの調達におけるキーワード”として挙げるのは、「BtoBMatch」「OS(オープンソース)」「機械学習」の3つ。なかでも「OS(オープンソース)」は、調達のみならず「ビジネスのあり方そのものを大きく変える」と指摘する

注文を受ける前に商品を発送!? 常識が大きく変わる

坂口氏

 続いて坂口氏は、世界の物流の最新トレンドについて、3つのキーワードに沿って事例を紹介した。

 「ロボ」の代表例として挙げたのは、Amazonが世界中の倉庫で導入している出荷用ロボットだ。これによってAmazonは出荷業務を完全に自動化。その結果、物流のリードタイムを大幅に短縮しただけでなく、省人化によって休憩室などのスペースを商品置き場に転用する、従業員用の駐車スペースを減らすといった合理化にも結び付いたことなどを説明し、「『攻めの物流』を実践している」と評価した。

 またAmazonについては、「ビッグデータ」の活用例として「予測発送システム」という未来的なテクノロジーの研究を進めていることも紹介。これはAmazon利用者の膨大なビッグデータをもとに、「どの地域では、いつ、どんなものが売れるのか?」を予測し、注文を受ける前にその地域に商品を発送してしまうという、常識では考えられない仕組みだ。イノベーションは物流のあり方を根底から変えるという認識は誰もが抱いているはずだが、「これほど大きな変化が起きるのか」と参加者たちは驚きを禁じ得なかったようだ。

 さらに「GPS2.0」の事例としては、世界中で住所を持たない約30億人の人々のために、住所ではなく座標に基づく商品配送サービスを研究する「OKHi」という企業を紹介。BOPビジネス(新興国ビジネス)の新たな可能性をもたらすのではないかと指摘した。

物流における3つのキーワード

物流における3つのキーワード

“物流の大変革を促すキーワード”として坂口氏が挙げるのは、「ロボ」「ビッグデータ」「GPS2.0」の3つ。Amazonが取り組む倉庫のロボット化や「予測発送システム」のように、“攻めの物流”を実現する武器となる

 最後に坂口氏は、「大量生産からマスカスタマイゼーションへの潮流の変化とともに、物流にも『個別の消費者にいかにミートさせるか?』という対応が求められている」と説明する。「本日紹介した事例を、ぜひ新たな物流・調達体制を構築するうえでのヒントとして役立ててほしい」と締めくくった。

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