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北海道・神恵内村の挑戦

人口約900人の小さな漁村、神恵内村(かもえないむら)は近隣町村と連携し、流通のプロによる地域商社を設立。水産資源のマーケティングやトレーサビリティによるブランド化を進め、地域経済の復活を目指す。

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 北海道の北西部、積丹半島に位置する神恵内村。江戸時代からニシン漁で栄えたが、ニシン漁が不振に陥ってからは「とる漁業」から「つくり育てる漁業」への転換を図り、サケやサクラマス、ウニ、ホタテ、ナマコ、ヒラメ、ニシンなどの種苗放流や養殖などに力を入れてきた。

 2010年からは「神恵内村 藻場LAND プロジェクト」をスタートした。藻場とは海藻・藻類が繁茂し、魚介類が産卵・生息している場所のこと。村の沿岸では近年、「海の砂漠化」と呼ばれる「磯焼け」が進行。海藻類が消滅しかけたが、コンブの胞子が入った袋の投入やウニの食害除去によって、約2000㎡以上の海域で、コンブやワカメなどを繁茂させることに成功した。海の環境保全につながる豊かな藻場へと再生しつつある。

磯焼けが進行した海底では、ダイバーが海藻を食べるウニを除去し、適度な密度に維持した。
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 これと並行して進めているのが、地方創生加速化交付金事業である「積丹の町村連携による地域商社事業 〜ナマコとウニから始まる輸出拡大、戦略的な生産体制の構築〜」だ。これは近隣の岩内町、泊村と連携して地域商社を設立。流通のプロによる戦略的なマーケティングに基づき、ナマコの増養殖とウニの蓄養を進め、輸出の拡大とともにブランド化を図るというもの。

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 まずナマコについては、その機能性を活かした新製品の開発に向けて、国内外で機能性食材に関する情報収集を行っていく。ナマコにはビタミンB群・Eなどのビタミンや、カルシウム・鉄・亜鉛などのミネラル成分など豊富な栄養成分が含まれているためだ。さらに、アンチエイジング素材として注目されているヒアルロン酸やコンドロイチン硫酸、高い保水力を保つプロテオグリカンなども含んでいる。

 これまでも北海道産のナマコは高級食材として主に北京や大連など中国北部で人気があったが、最近は健康食品としての評価が高まり、中国全土に需要が広がっているという。

北海道産のナマコは世界で最もトゲが立ち、品質が高いとされて人気。健康食品として期待が高まる。
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 現地への輸出については、現在のバルク品(無ブランド)から切り替え、地域ブランド名を冠したパッケージ製品の開発を目指す。トレーサビリティを担保するためだ。インターネットによる直接販売も行い、ダイレクトな販路を開拓する。また従来の乾燥ナマコに加えレトルトタイプも検討する。

積丹産品を総合的に扱い、地域のブランド化を目指す 

獲れたてでミョウバンの入っていないウニは、現地でしか食べられない至福の味。食べに行きたくなる。
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 一方、ウニに関しては鮮度重視で地産地消型といわれていることから、「積丹でしか味わえないおいしさ」を訴えるなど観光客誘致と連携した取り組みに力を入れるほか、国内外の事例、中国、韓国などの市場動向を把握し、移輸出拡大に向けて情報収集を行う。

 当初は、付加価値の高いナマコとウニを主に取り扱うが、販路確立とともに扱う品目を徐々に拡大し、将来的には、積丹産品を総合的に扱い、地域のブランド化を担っていく。また「シャコタンブルー」といわれる透明度の高い海など、良質な観光資源を持つ積丹地域の特徴を活かした地域経営にも関わっていくことで、生産や加工、物販に関わる人だけでなく、地域全体の所得拡大に貢献していくことを目指す。

 このように地域商社による販路開拓と漁師による生産という分業体制を敷くことで地域経済が復活すれば、ビジネスや雇用の創出、移住・定住の促進など地域全体の好循環も期待できる。

 神恵内村の挑戦を見守っていきたい。

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今までにない新しい取り組みにチャレンジします

神恵内村村長
高橋昌幸氏
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 地方創生事業を活用した取り組みとして「とる漁業から育て・稼ぐ漁業への転換による持続可能な地域産業の創出・所得増大」を目的に、泊村、岩内町、古宇郡漁業協同組合および岩内郡漁業協同組合と連携事業を進めています。

 マーケティングやトレーサビリティを確立することによって、地域を代表する水産資源であるウニとナマコをブランド化し、設立予定の地域商社が販売を担うというスキームです。漁業者は、ナマコの増養殖やウニの短期蓄養に取り組み、安定的に製品を供給できる体制を整備します。このような漁業者と地域商社との分業体制によって、地域経済の復活を目指します。

 近隣町村や団体との協力を通じ、地域イメージの向上や商品のブランド化を実現するのが目標です。新しい取り組みにチャレンジすることで、神恵内村に来ていただく方々との交流も深まり、村全体がさらに魅力的になっていくと思います。

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