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経営者が参画したIT-BCPの策定を

■ 基調講演
非常時でも事業継続をしっかりと実現するには
経営者が参画したIT-BCPの策定と検証が必須

ニュートン・コンサルティング
代表取締役社長
副島 一也氏

 2016年に話題になった映画「シン・ゴジラ」では、危機的事態に対して政府関係者らが政府機能を維持・運用すべく奮闘する様子が描かれた。

 近年、政府機関も民間企業も業務の多くがIT化され、ITシステムの事業継続計画(BCP)対策が欠かせなくなった。また、情報のバックアップなどBCP対策の手段としてもITの有効活用が重要だ。中央省庁をはじめ国内1000以上の企業や機関を対象に、止められない業務のBCP対策を支援してきた副島氏は、最初に、BCP対策のちょっとした落とし穴について次のように指摘する。

 「ITが計画通りに動くことを前提としたBCP対策をしている例がよく見られます。しかし、非常体制への切り替えと、正常体制への切り戻しは考えていたようには進まないのが普通です。またIT-BCPは、想定されているような効果を発揮できない場合が多い」

 こうした状況に陥らないようにするには、「システム開発時から経営者が参画し、開発要件を的確に定義しておく必要がある」と強調する。たとえば、非常体制への切り替えやデータの復旧にどの程度の時間が許容されるのかを明確にし、これを受けてIT部門が適切な対策を考える必要があるというのだ。

 BCP対策をIT部門に丸投げし、コスト制約だけを伝えるのでは効果的な対策はできない。ITの復旧には一定の時間がかかることを想定した計画を立てておく必要もある。さらに、「未検証のBCPは70%が機能しないことをご存じでしょうか? 事前の十分な検証が何より重要なのです」と副島氏は話す。



■ 特別講演
義務を果たすだけの形式的訓練ではダメ
命を守るための実践的な訓練をすべき

防災システム研究所 所長
山村 武彦氏

 どんなに的確なBCPが策定されていたとしても、それを実行する社員の命が守られなければ意味がない。山村氏は、「立派な危機管理マニュアルを作って、安心している企業が大半です。しかし、もっと大切なのは一人ひとりが危機管理の本質を理解して、緊急対応力を身に付けることです」と強調する。

 人間は、信じたくない情報は無視し、都合の良い情報を信じる傾向がある。「正常性バイアス」と呼ばれる心理的な仕組みが人の心に備わっているからだ。実際に災害が起きて、起きている惨状を過小評価し、適切対応ができず命を落とす人がいる。平時においても、法令などで定められた義務を果たすだけの形式的な対策しかしていない企業が多い。

 「大切なことは、明日地震が起きることを前提とした実践的対策。世界のマグニチュード6以上の地震の5回に1回が起きる日本ではなおさらです」(山村氏)

 では、実践的な安全対策の勘所とは何か。山村氏が指摘するのは、突発的な事態が起きたとき、落ち着いて行動できる人は全体の10%しかいないため、それを前提に対策を考える必要があるということだ。

 大切なのは、第一に、わずかに移動するだけで身を守ることができる「安全ゾーン」を確保しておくこと。第二に、消火や救命、脱出といった定例訓練をする前に、「地震が起きても火を出さない、ケガをしない、部屋に閉じ込められない」ための訓練を優先すべきだということ。火事を未然に防ぐことは、被害者にならないだけではなく、加害者にならないためにも重要だ。山村氏は「命を守る訓練をしておくべきだ」と指摘する。