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熊本地震発生。社員出社不能。現場の12日間

■ ビジネスブレイン太田昭和
熊本地震発生。社員出社不能。現場での12日間。

ビジネスブレイン太田昭和
執行役員 グループBPO統括 マネージメントサービス統括本部長 兼
BBSアウトソーシング熊本 代表取締役社長
大和 淑晃氏

 経理財務や総務人事等の間接業務を外部委託(BPO=Business Process Outsourcing)し、社内のリソースをより専門性が求められる業務にシフトさせる企業が増加している。BPOサービスは言うまでもなくコスト削減が求められることが多いが、業務運用の人手不足、ベテラン社員等の退職に伴う専門知識やスキル流出のリスク、さらにはグローバル展開に向けた経営基盤の強化(多言語対応要員の不足)を理由として、BPOを検討・導入される企業も増加している。そして本社・各支店等の業務運用拠点の分散化はBCPの重要なポイントとなっている。単なる災害対策という観点だけでなく、業務の継続性を考えた上でも、BPOサービスはBCP対策の有効な手段の一つではないかと認識している。

 これまでのBPOは、中国(大連)等、人件費が安い労働力を活用したサービスが多かった。しかし近年、いわゆるチャイナリスクの回避やオフショアでは実現し得ない高い業務品質を求めて、日本国内での業務運用へシフトする傾向もある。実際、コストか品質かで迷われた顧客が、国内(熊本等)で高品質な業務を運用するビジネスブレイン太田昭和(BBS)を選ぶケースが多数存在している。

本社機能の移管直後に、熊本地震が発生。

 BBSは、2014年6月に熊本BPOセンターを開設、その年末には第2センター、さらには2015年12月には第3センターと急速に拡大しながらサービス提供をしている。そして、2016年4月1日にはBBS本社機能の一部を熊本に移管した。この目的としては、災害等で東京本社の業務が停止した場合でも、事業継続が可能となる体制の構築、また事業拡大に伴う経営基盤の強化である。経理財務・総務人事等の幅広い対象範囲、専門性の高いサービス提供も可能な熊本BPOセンターで業務運用することが決まった。そして当初から熊本が災害等により業務運用が困難となるリスクも鑑みて、本社・熊本・ベトナム(ホーチミン)で業務分担する体制を整えていた。

 本社機能の移管が開始された直後の4月14日と16日、熊本地震が発生した。BBSアウトソーシング熊本の責任者である大和氏は、「地震発生後は事前に策定していたBCP対策が効果的に機能した部分もありましたが、実際に被災して初めて気づいたこと、暗中模索で判断・対応する必要があったことも数多くありました。地震発生から数か月経過した現在でも、自分の中ではまだ整理しきれていないところがあるのは正直なところですが、その経験を踏まえたBCP対策・BPOサービスを提案しています」と語る。

全情報を一カ所に集約。適正な情報を一元的に全社員へ発信。

 震度7の大地震が2回発生という、これまでのBCPの想定を超えた事態が起きた。こうした未曾有の出来事の中で、どのようなBCPが有効であり、どのような問題を抱え、解決していったのか。地震発生から順を追って振り返る。

 4月14日の地震発生時、大和氏は東京本社からの帰路についていた。地震発生直後、熊本への電話は殆どつながらなかったが、携帯メールやSNS等を活用して、社員とその家族の安否と施設状況の確認を指示。BBS社長を含めて経営層から、大和氏にすべての情報を集中して情報管理するよう指示があったのは、震災から30分も経過していないタイミングであった。情報の混乱を防止すると同時に、従来のBCPでは予測できないケースへの柔軟対応が必要という経営判断があったという。

 大和氏は翌日始発便が欠航のため午後一番に熊本に入り、現場の状況確認。1回目の地震により執務室内で大きな被害があったものの、業務遂行可能なレベルの整理整頓(片付け)ができたこと、すべてのネットワークの疎通確認ができたこと、そして土日対応の必要性のある顧客もいたこともあり、16日からの業務開始を判断。但し、出社可能な社員のみでの対応という限定的な業務再開を想定していた。そして2度目の地震が16日未明に発生。この地震により市内のライフラインがほぼ崩壊し、熊本BPOセンターの被害も増大した。

地震翌日の17日には業務再開。

 16日午後より施設片付けを開始。断続的な余震の中での作業となった。17日、すべての顧客に熊本BPOセンターの状況報告しつつ、東京等の顧客先での運用を行う体制へ切替を行った。しかしながら熊本の稼働停止をカバーできないため、顧客から業務運用の支援もいただきながら、業務を実施した。「地震発生後は通常時と同等の高い生産性は望めませんから、顧客の信頼を失ってしまうのではないかと不安でした。しかし、逆に顧客企業が業務支援を申し出てくれました。普段から顧客との関係を良好に保つことの重要性を改めて実感しました」

 同時に熊本BPOセンターの徒歩圏内に居住している複数の社員等が、自宅待機指示を出しているにも関わらず熊本BPOセンターへ出社。センターの片付けが終わったら自発的に業務まで実施していたという。

社員の小さな声が、業務再開の扉の鍵

 14日の地震から全社員に対してメールやSNSを毎日1回送信していた。あえて1回に限った理由とは、社員の携帯電話の充電切れへの配慮からである。頻繁に情報を送ることを前提としたBCPでは、社員とのコミュニケーション断絶のリスクがあったという。

 メール・SNS等を通じた情報発信をすると同時に、社員からの声が多数寄せられた。業務再開に向けた社員支援は、殆ど社員からの声に由来するものだった。

 「16日夜は冷え込むみたい。毛布がないので寝られるかな」という嘆き、「生活に困っている人もいるかもしれないので給料の前倒しは喜ばれるかも」との囁き、「余儀なく引越しをしなくてはならないみたいだけど、家が見つかるかなぁと不安がっていた」との報告、「子供を持つ家庭は学校再開まで会社に行きたくても行けない。会議室を子供の自習室として開放してあげたら」という提案。これらは事前のBCPにはなかったが、社員からの声やアイデアを参考にして、本社と密に連携しつつ迅速に実行へ移したという。

 大和氏は「社員の要望や不安をきめ細かく把握した上での社員支援も、迅速な業務再開には極めて重要になった。そのためには、社員が声を上げやすい社風を普段から醸成していくことも大切になる。BCPを念頭とした取り組みではなかったが、その重要性を痛感した」とコメントした。

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熊本地震を踏まえ、「強い現場力」を活かしたBCP

 災害が日中に発生しなかったこと、ネットワークが疎通していたこと等、数多くの幸運な要素はあったが、事前のBCP対策と“現場力” も総動員した柔軟な対応により、業務停止の長期化を回避できたという。その経験の中で大きなポイントして、大和氏があげたものは、「社員からの声を吸い上げやすい社風。顧客との業務連携の準備。そして情報管理」である。

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 決算を含めて業務継続性は、市場に対する信頼性を担保するためにも必須と認識。BBSでは熊本地震の教訓も踏まえて、インフラ・拠点・要員の観点から対策を講じて迅速に業務再開できる体制を強化して、高品質なBPOサービスを提供している。

 BBSは経理財務・総務人事・購買・営業事務・コールセンターと幅広い業務範囲のBPOサービスを提供している。そして「東京等の本社機能が災害に襲われた際、決算等の専門的な業務の継続性への対応こそが大切」と大和氏は強調する。ビジネスブレイン太田昭和は定型的な業務だけではなく、専門的な業務も含んだBPOサービスを現在約400社に提供しており、日本企業のBCPの一翼を担っている。

 
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  • 株式会社ビジネスブレイン太田昭和

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