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2018年4月、金沢高専から国際高専へ

 「グローバルに活躍する力を育てる」を教育目標とした金沢工業高等専門学校(金沢高専)は2018年4月、「国際高等専門学校」に改称し、高専から大学・大学院までの9年間一貫教育プログラムを導入する。1・2年次に全寮制で学ぶ白山キャンパス(石川県)の新設など大胆な改革を行い、理系グローバル教育を加速させる。金沢高専のルイス・バークスデール校長に「2018年改革」の狙いやグローバル人材像などを聞いた。

――30年以上前から国立シンガポール・ポリテクニクと交流するなどグローバル教育に積極的ですが、「なぜグローバルリーダーを育成するのか」をお聞かせください。

「全国から学生を集め、海外留学生や帰国子女も迎えいれたい」
金沢工業高等専門学校 校長/教授のルイス・バークスデール氏

 これまでの高専の主な役割は5年間の教育で即戦力のある人材を育成することでした。しかし、最近はグローバルイノベーションが進み、5年前の技術はもう通用しませんし、10年後に今ある職はないかもしれません。技術分野で活躍する人にとっては、イノベーションは毎日の問題、一生の問題になるでしょう。ですから、グローバルイノベーションのリーダーになれるようなスキル、知識を養わなければいけません。

 最近読んだ人工知能(AI)に関する本の中にこんなことが書かれていました。「人間にしかできないのは、疑問を持つこと、質問をすること、いい課題を見つけること」だというのです。これこそが本物のイノベーターが持つべきスキルなのではないか。私はここに一つのヒントがあると考えています。

――高専に入ったばかりの15歳の子供たちにグローバルリーダー教育は少し難しくありませんか。

 いいえ。私は逆に若い人たちの方が頭が柔らかく、自然に抱く疑問をさえぎらずに教育ができると思います。

 科学というものは好奇心を持つ人が取り組む学問です。人間が持っている好奇心を壊さない教育こそが大切です。日本語の「勉強」というと緊張を強いられるイメージがありますが、英語の「ラーニング」にはわからないものを自然に理解していくというニュアンスがあります。これを大切にしたい。

2018年4月、カリキュラムは一新され、国際高専から大学、大学院まで9年間一貫教育プログラムが実施される
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現在の5年間教育では足りない

――なるほど。さて、2018年4月に「国際高等専門学校」に生まれ変わります。

 私たちは、イノベーションリーダーの育成は5年間では足りないと考えています。そこで、高専から3年次編入で金沢工業大学に入り、さらに大学院で学ぶという9年間一貫プログラムを2018年4月から行います。

 いくつか特徴があります。金沢高専が国際高等専門学校(国際高専)に生まれ変わり、5 年間に3つの異なる環境で学びます。1・2年次は全寮制の白山キャンパス(白山市)。3年次は全員ニュージーランドの国立オタゴポリテクニクへ留学し、4・5年次は扇が丘キャンパスで金沢工業大学の学生と交流しながら研究することになります。

――なぜ山里の白山キャンパスで、全寮制の勉強・生活をするのですか。

 狙いはいくつかあります。まず24時間体制の教育を行いたい。教員・職員・学生の全員で一つのコミュニティーをつくり、そこで一緒に学んでもらいたいのです。アメリカで主流になりつつあるSTEM教育を導入し、数学・理科、初期レベルの工学の授業もすべて英語で行います。

 また、なるべくチーム型のプロジェクトに取り組んでもらいたいと考えています。学生のモチベーションのためにも、学生自身が見つけたテーマを含め、いろいろなプロジェクトを立ち上げたい。

 さらに、21世紀型の自然との付き合い方を探っていきたいですし、学生たちが地域社会と交流できる仕組みをつくりたいと思います。学生たちが地域社会に出て、そこで現実に何が起きているかを自分の目で確かめてほしいのです。

国際高専の1・2年次は石川県の白山キャンパス(上は完成予想図)で全寮制の生活を送る
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――キャンパスで英語が「標準語」というのはハードルが高そうですね。

 ええ。でも私たちには一つの確信があります。10年以上前から先ほど申し上げたオタゴポリテクニクへ毎年15~20人の学生が留学しています。私たちの学生のためにつくってくれたプログラムに沿って、数学・物理・工学などの授業を英語でたっぷりと受けてきます。

 すると1年後、学生たちは目を見張るほど成長し、英語力が高くなり、数理工の内容もちゃんと身に付けて帰国するのです。なかには、「(金沢高専の)先生の教え方がもの足りない」なんて言う学生もいるんですよ(笑)。

「疑問を抱き、自分から動く学生」

――9年間一貫教育ということで、大学との連携はどう深化しますか。

 国際高専の4・5年次は金沢工業大学の研究所で大学生と一緒に研究レベルの学習を英語で行えるようにするなど、カリキュラムを再構築します。

 また、金沢工業大学は2016年11月、日本IBMと「IBM Watson」を活用した学生の自己成長支援システムの構築で協力しました。私たち高専も「IBM Watson」を各種のデータ分析、AIやビッグデータの学習に活用できないかと期待しています。

――ルイス校長はどんな若者たちを迎え入れたいと期待していますか。

 自分で疑問を抱き、自分でおもしろいものを見つけるタイプの学生ですね。もしかしたら、教室で先生の話をあまり聞かないかもしれないし、ちょっと扱いが難しいかもしれない(笑)。でも、自分から動くタイプの、志のある学生に来てもらいたいと思います。

 全国から学生を集め、海外留学生や日本人帰国子女も迎え入れたい。現在教員の1/3が外国人ですが、キャンパス内のダイバーシティをより実現したいと考えています。

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