• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版
日経ビジネスONLINE Special 週刊日経ビジネスオンライン SPECIAL日経ビジネスオンライン

「決定的瞬間」をビジネスに転換せよ

 真の見込み顧客をつかまえるためには、顧客の満足度を超えて一歩先をいく施策と膨大な顧客データを管理してシームレスに経営戦略に生かすことが重要だ。ところが、IT化してもなかなか成果が上がらないといった悩みを抱える企業は少なくない。
 そうした問題意識のもと、日経ビジネスオンラインが今年3月に東京・虎ノ門で主催した経営課題解決シンポジウム「売り上げ拡大のための顧客データ活用」から主な内容をご紹介する。


■基調講演
お客様を理解することに限界はない
データを積極的に取りに行く気持ちと行動が必要

 基調講演では、花王DMCコミュニケーション技術室マネジャーの中根志功氏が登壇し、「店頭連携アプリ導入で取得できるデータによるお客さま理解からオリジナルサービス提供を模索する」をテーマに講演した。

CRMアプリ「スマイルコネクト」でデータを収集

花王
DMCコミュニケーション技術室 マネジャー
カネボウ化粧品「スマイルコネクト」担当
中根 志功氏

 中根氏は、総売顧客全数を見ることの重要性を強調する。顧客データについてはどうしてもEC(電子商取引)上で蓄積されるものが多くなるので、顧客理解もECに偏重しがちだ。しかし、国内大手メーカーのEC比率は5%程度に過ぎず、95%が店頭などオフラインでの販売である。

 そこで花王グループのカネボウ化粧品では、店頭で肌水分センサーを無償提供することにより、CRM(顧客関係管理)アプリ「スマイルコネクト」を通したデータ収集、顧客理解を進めている。

 センサーとアプリを使うことで、顧客は自身で肌水分計測ができるほか、さまざまな美容情報や購入履歴、従来店頭でしか見ることができなかった肌測定データなどを入手することができる。接点が増えることで新規/既存顧客ともに売り上げの向上が期待される。

 一方、DM(ダイレクトメール)の代わりにアプリによるメッセージ配信をすることにより、販売員(ビューティーカウンセラー)の負荷が軽減され、接客の向上ならびに新規顧客フォローが可能となった。こちらはROI(投資利益率)向上につながる。

 顧客理解について中根氏は次のように語る。

 「お客様を理解することに限界はありません。データが存在しないのであれば、積極的にこちらから取りに行くという強い気持ちと行動が必要と考えます」

■特別講演
顧客の利便性向上に着目して
「決定的瞬間」をビジネスに転換せよ

 特別講演では、ガートナージャパン 顧客関係管理(CRM) アプリケーション担当 リサーチディレクターの川辺謙介氏が登壇し、「デジタル時代に求められる顧客対応力の強化〜決定的瞬間をビジネスに転換せよ」をテーマに講演した。

「業務効率だけでなく、あくまで顧客目線が大切です」

ガートナージャパン
顧客関係管理(CRM)アプリケーション担当
リサーチディレクター
川辺 謙介氏

 川辺氏は、「顧客対応力強化に必要なデジタルテクノロジーの中でも、マーケティング業務を通じた『決定的瞬間』へのアプローチの仕方が大きな影響を持つ」と指摘する。情報過多の現代においては、顧客が商品を調べて買おうと決める「決定的瞬間」に至るまでのプロセスが前倒しされている。また、そのような「決定的瞬間」はめったに起きないが、意義深く、増幅効果を持つ。

 デジタル時代で重要なことは、顧客の「決定的瞬間」を捉え、マッピングし、適切なタイミングでコミュニケーションを取っていくことだ。デジタル・マーケティングと顧客アナリティクスを連携させながら、カスタマー・エクスペリエンスの中で「決定的瞬間」を特定し、評価することが求められる。

 ただし、「決定的瞬間」を集めたら、それをマーケティング・オートメーションに投入して終わりではない。顧客の思っていることをリアルタイムかつ先行的に収集し、顧客起点でのアクションを起こしていくことが必要である。

 最後に「業務効率だけでなく、顧客の利便性向上や競争力をもたらすことに着目すべき。あくまで顧客目線が大切です」と川辺氏は語り、講演を締めくくった。