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大幅なコスト削減も:有力企業が導入するGISとは

カーナビなどの形で我々の生活にも浸透してきたGIS(Geographic Information System=地理情報システム)。最近では業務効率化やコミュニケーション向上を狙い、海外では、スターバックスやUPS、ウォルマート、ナイキ、BPなどの有力企業が相次ぎ導入し、企業価値の向上を実現している。中にはGISにより、劇的なコスト削減に成功した企業もあるという。そこで、GISテクノロジーのグローバルリーダーを40年以上続ける米Esriの創業者で「デジタルマッピングの父」との異名を持つジャック・デンジャモンド社長にビジネスにおけるGISの可能性について聞いた。( 聞き手は日経BP社ビジネスメディア発行人補佐=酒井 耕一)

科学的・合理的な意思決定を支援

── 昨今、ビジネスシーンにおいてGIS(Geographic Information System=地理情報システム)を積極的に活用しようという機運が高まりつつあります。まず、GISの概要と活用のメリットについてお話しください。

デンジャモンド:多くの人はGISを単なる“コンピューター上の地図”と考えていますが、実際には、地図上の異なる階層に置かれた情報の関連性を解析できるようにする情報システムです。地形、地質、植生、気象、人口動態、住民所得、施設、インフラ網などの空間的な関連性を解析することで、隠れた関係性や傾向を迅速に把握し、将来の予測や課題の解決策を引き出すことができます。

米Esri社長
ジャック・デンジャモンド 氏
様々な情報をコンピューター上の地図に重ね合わせ、解析し、可視化するGIS(地理情報システム)。デンジャモンド氏はGIS活用で合理的な判断が可能となり、ビジネス上のアドバンテージが得られると語る。

 企業や団体、自治体などは、常に適切な意思決定を行うことが求められます。その中で、物流や店舗の配置、あるいは生活しやすい都市を設計するといった、位置や空間に関連した意思決定を行う機会は多く、こうした判断をより合理的に行うには科学的アプローチが有効です。GISはそれを可能にします。

── デンジャモンドさんがGISに興味を持ち、Esriを創業したのはなぜですか。また、どのようにGIS事業を拡大してきましたか。

デンジャモンド:米ハーバード大学で都市計画、景観建築、環境科学を学んだ私は、地図とデータを融合し、空間情報を解析するGISによって、環境保護のような複雑な問題の理解と解決が可能になり、より良い未来を築けると考え、1969年にEsri を創業しました。GISという言葉や概念がまだほとんど知られていなかった時代のことです。

 Esriは小規模なコンサルティング事務所としてスタートしました。この時期には、都市計画や環境保護といった分野で日本とも深く関わっています。その後、81年になって、「ArcGIS 」というソフトウエアを発売、事業は一気に拡大しました。現在ではこのソフトを基幹製品として、公共安全、天然資源、行政、交通、軍事、小売り、製造、流通、保健・医療、教育など様々な分野でGISソリューションを提供しています。

 GISの概念の浸透とともにEsriは着実に成長を遂げ、現在の売上高は全世界で約15億ドルに達しています。全世界の主要都市や各国の政府機関、3万社を超える一流企業、7000余の大学、約5000団体のNGO(非政府組織)をはじめとする世界35万以上に上る企業・団体を顧客としており、世界の地理情報関連ソフトウエア市場でトップシェアを得ています。ソフトウエア工学やGISに関連した高度な専門性を持つ優秀な社員を数多く擁しているのも大きな特長です。

 ただし、大きな成果を上げているにもかかわらず、当社の知名度は十分ではありません。そこで、より多くの人にGISとEsriの取り組みを理解していただくため、「THE SCIENCE OF WHERE」を新たなブランドとして掲げ、キャンペーンを推進しています。