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蓄積データを経営資源としてどう生かす?

AIやIoTなどの新たなデジタル技術により、既存のビジネスモデルに変革を迫る「デジタルトランスフォーメーション」の動きが加速している。蓄積された顧客情報やセンサーデータなどを経営資源と捉え、生産性向上や新事業創出につなげることが大きな経営課題となる。9月15日に東京で開催された経営課題解決シンポジウム「生産性向上と新事業創出を実現するデータ活用」の講演内容を紹介する。

■ 基調講演 IDOM
データ分析を基に商品を開発・改善する

株式会社IDOM
人事・広報・新規事業担当
執行役員
北島 昇

 中古車売買大手のガリバーインターナショナルが社名をIDOMに変更したのは2016年7月。直後の2016年8月に「NOREL」という月額定額クルマ乗り換え放題サービスをスタートさせた。ポイントは、毎月定額払いで一定期間以上乗れば自由に乗り換えできること。季節やライフスタイルの変化に合わせ、多様な車種の中から選べる。

 こうした新規事業を開発する際に同社が使っているのが、プロダクト投下⇒ユーザー顕在化⇒ターゲティング顕在化/ニーズ顕在化⇒プロダクト改善というプロセスだ。当初は、ライフスタイル仮説に基づいて「アクティブドライバー」と「家族思いパパ」の2種類のターゲットを設定して、車種や価格を決めていった。

 しかし、「我々はその後、このようなデモグラフィック分析とペルソナを放棄しました」とIDOMで新規事業を担当する北島昇氏は述べる。「自動車を使う人のニーズは様々なのでターゲティングでの“決め打ち”に適さないから」(同氏)だという。

 その代わりに現在行われているのが、実際の利用客のニーズをデータから拾い上げ、多種多様なラインアップを作り出すニーズ仮説である。切り口をライフスタイル仮説からニーズ仮説に変えて検証することにより、CPC(クリック単価)は50%改善されたという。北島氏は、「プロダクトマーケットフィット(PMF)の段階では、多種多様な顧客ニーズをデータできちんと確かめ、それを商品改善に反映させていくことがとても大切です」と強調した。



■ 特別講演 博報堂
UX起点で生活者との新しい関係性を築く

株式会社博報堂
マーケティングシステム
コンサルティング局
プロセスコンサルティング
部長
荒井 友久

 デジタル化によって、多くの企業はサービス業への転換を迫られている。「ブランドと生活者の間で中長期的な関係性を築くためには、単なる既存業務のデジタルシフトではなく、製品を中心としたサービス提供を通じて得られる体験価値、すなわちUX(ユーザーエクスペリエンス)視点でサービス業としての事業構造に転換すべきです」と博報堂の荒井友久氏は訴える。

 転換の第一歩は、事業のKSF(成功要因)とKPI(重要業績評価指標)を業績指標から価値指標に変えることだ。生活者にモノを提供するのではなく、サービスによってソリューションを提供できるかに重きを置く。それが生活者の心に響けば、中長期的なビジネスの成長と関係構築につながる。

 大切なことは、独自性のある経営資源と生活者の価値を融合させて生活者の価値としてのKSF、KPIを作ることだ。「単に便利なものだけでなく、生活者が思わず使い続けたくなる習慣化されるサービスの構造を作らないといけない。これは極めてクリエーティブな作業です」と荒井氏は語る。モノからコトへと言われて久しいが、多くの企業はその対応ができないでいる。

 そのような背景から、幅広い領域でUXに取り組む同社はコンサルティングサービス「Business UX Engineering」の提供を開始した。「戦略やサービスデザインの立案、仮説検証、情報システム開発、オペレーションモデル構築などの業務実装までUX起点の事業変革をトータルにサポートします」と話す荒井氏。同社が長年培ったクリエーティブ力とテクノロジーを組み合わせ、多くの企業の中核事業の再創造を強力に支援していく構えだ。