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オムロン リアルなAIとIoTの活用で現場を革新

AIやIoT、ロボティクスの発達により、日本の産業界は大きな変革を迫られている。モノづくり現場を革新するコンセプト「i-Automation!」を提唱するオムロンは、こうした変化を飛躍のチャンスと捉える注目企業の1つだ。ここでは、今年9月に東京で開催された日経BP社主催セミナー「AI 生産性革命の波に乗れ」の冒頭、「世界で最も“現実的”なAI/IoT 活用i-Automation!で実現するモノづくり」と題して行われたオムロン執行役員副社長 宮永裕氏の講演から紹介する。

 モノづくり企業に抜本的改革を迫る様々な状況が顕在化しつつある。日本では少子高齢化によって熟練工不足が深刻化、新興国では人件費が高騰し、工場で働く人材の採用が困難になった。その一方で、スマートフォンなど、小型筐体に高度な機能を詰め込む加工における精度の引き上げ要求はとどまるところを知らない。また、新興国市場が急成長し、現地生産体制を垂直立ち上げすることが求められている。しかも、ニーズの多様化が進み、多品種少量生産への対応も欠かせない。

革新の尖兵役となるオムロン

 オムロンも、モノづくり環境の変化への適応を迫られてきた。同社は全世界に48カ所の工場を有し、地政学リスクや地産地消の要求、生産性や品質管理の均一化など、工場ごとに固有の課題を抱えている。いち早く超多品種少量生産に取り組んできたが、熟練工不足や海外の人件費高騰は、喫緊の課題となっている。

オムロン株式会社
執行役員副社長
インダストリアルオートメーションビジネスカンパニー社長
宮永裕氏

 オムロン執行役員副社長でインダストリアルオートメーションビジネスカンパニー社長を務める宮永裕氏は、「当社は、新しいモノづくりの仕組みを生み出すことができるFA 企業として、こうした課題に取り組んできました。現在、「i-Automation!」と呼ぶコンセプトを軸に、AI 、IoT、ロボティクスを活用し、時代の要請に応える新たな工場自動化のあり方を模索しています」と述べる。

 i-Automation!の“i”は「innovation(イノベーション)」を意味する。同社は世界9カ国に設置したオートメーションセンターを通じて、顧客企業の現場に提供している。そのカギを握るのが、複数台の機械の制御を“摺り合わせ”て生産性を向上する「integrated(制御進化)」、人と機械が強調しながら柔軟な生産に対応する「interactive(協調)」、データを活用して人と機械が学習・進化する「intelligent(知能化)」という3 つのオートメーションの進化だ。

現場のモノづくり革新がカギ

 同社では、i-Automation! 実現のカギを握る、これら3 つの進化に関わる技術を、自社工場や先進的な顧客企業の工場で実践し、磨いている(図1)。「現場におけるモノづくりの改善こそカギだと考えており、当社ではこれを『高度1メートルから10メートルのモノづくり革新』と呼んでいます」(宮永氏)。高度は実際の高さではなく現場との距離感を意味する。AIやロボティクス、IoTを活用して現場革新を実現するオムロンの取り組みだ。

 「integrated(制御進化)」の実践例としては、ガラスの高精度な貼り合わせ加工が必要なスマートフォンの生産、シート状材料の高精度かつ高速な巻き取りが求められる電気自動車用リチウムイオン2 次電池の生産、キメ細かな箱詰めを行う必要がある化粧品の包装工程などがある。

 これらの生産ラインを正確かつ高速に動かすには、様々な機器の一糸乱れぬ連携を実現する必要がある。同社はセンサー、コントローラー、サーボモーター、ロボットなど幅広いFA 機器を有しており、アプリケーションに応じたソフトウエアでシームレスな連携動作ができる制御の実現に力を入れている。

 また、「interactive(協調)」の実践例としては、生産工程の変更に柔軟に対応できる自動搬送用モバイルロボットがある。従来、産業用ロボットは、柵で囲い、作業者に危険が及ばない状態で活用されてきた。しかし、生産工程を迅速に変えながら多品種を生産するには、人と機械が同じ現場で作業を分担するのが理想的だ。その最初の取り組みが、工程間の搬送を行うAI 制御によるロボットの提供だ。

図1 オムロンのモノづくり革新コンセプト
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改革の成果を顧客工場にも展開

 「intelligent(知能化)」について宮永氏は、3つの取り組みを紹介した。

 1つめは、機械の動きの見える化である。オムロン草津工場では、プリント基板実装ラインで製品の動きを常時監視し、不調などが発生した部分とその原因を明示できるようにした。これにより、見逃されていた改善点が洗い出され、生産性が30%向上したという。

 2つめは、人の動きを改善する試みである。オムロン上海工場ではセンサーなどを使って作業者の動きを見える化し、遅れや品質低下の原因として、段取り変更や作業者の習熟度の影響が大きいことが分かり、データを基にした改善によって生産性が30%向上した。

 3つめは、データを基にした制御条件の最適化である。光結合素子の生産ラインでは、LEDとレンズの位置決め精度が製品の品質を左右する。そこで、組み立て前後のLEDとレンズの位置を計測、差分を基にした補正値をロボットアームにフィードバックしたところ、位置精度が大幅に向上、不良品発生を100万個当たり数個にまで極小化した。

 オムロンはAI技術を活用することで、こうしたモノづくり革新につながる手段を顧客にも提供しようとしている。2017年10月から提供を開始する「i-BELT」(図2)がそれだ。「iBELTは既に、飲料・薬品の工場での充填ノズルの個別制御、自動車・デジタル部品の工場の部品実装工程での不良予兆検知など、先進的なお客様との取り組みを始めています」(宮永氏)。

 同社は今年4月、ドイツで開催された世界最大の産業見本市ハノーバーメッセ2017に出展し、i-Automation!のコンセプトを紹介した。その結果、「インダストリー4.0」を最もリアルに実現している企業という評価が得られたという。

 宮永氏は、「オムロンは、これからも制御機器を中心に高度10メートル以下、すなわち現場に近いところでモノづくりの革新を進めていきます」と結んで講演を終えた。

図2 モノづくりの現場でのAI やIoT の活用を後押しするIoT サービス基盤「i-BELT」
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製造業のモノづくり現場を革新するi-Automation!
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お問い合わせ
  • オムロン株式会社

    〒600-8530 京都市下京区塩小路通堀川東入

    URL:http://www.omron.co.jp