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世界が協調して社会を守るサイバーセキュリティ最前線

ネットワークはビジネスやインフラとの融合が進み、いまや社会の屋台骨を支える存在だ。その重要性とともに、サイバー犯罪などによる脅威も増大し続けている。10月に慶應義塾大学 三田キャンパスで行われた国際シンポジウム「Cyber3 Conference Tokyo 2017」では、サイバーセキュリティ分野の海外の有識者をはじめ、政府・公共機関や大学、民間企業などの関係者が結集。真のマルチステークホルダーによる議論を深め、国家や世界的な規模も視野に入れたサイバーセキュリティの課題とその解決についての提言が発信された。その示唆に富んだ内容の一部を紹介する。

 先進技術が実装されるIoT(モノのインターネット)やAI(人工知能)、仮想通貨、自動運転、ロボットなどが輝かしい未来の象徴とされる一方で、ネットワークとつながるそれらをも対象としたサイバー攻撃・犯罪の脅威が増大している。

 こうしたデジタル技術を取り入れた事業変革「デジタルトランスフォーメーション(DX)」を推進していく企業は、サイバーセキュリティの確保が喫緊の課題であると認識する必要がある。Cyber3 Conference Tokyo 2017の本会議座長を務めた齋藤 ウィリアム 浩幸氏(内閣府参与、経済産業省参与)は、「技術的な観点ではなく、経営の問題として意見を交わし、なぜこのような状況になっているかを、まず知ることが大切」だと訴えた。

 また、個人情報保護法や銀行法などの改正により、匿名加工された個人情報や口座情報といったデータのやりとりが広がっていく見通しとなり、サイバー攻撃を防ぐための規制とその利活用の推進とのバランスが求められている。ビジネスやインフラ、生活との融合が加速していくサイバー空間が破綻してしまうと、実社会にも直結する危うさをはらんでいるともいえる。サイバー世界とリアルな世界は切り離せなくなっている。

 今回で3回目となる、Cyber3 Conference Tokyo 2017は「2020 and Beyond」をテーマとして、世界から注目が集まるラグビーワールドカップや五輪などの国際的なイベントを控えた現状から、その後の社会形成までを見据え、今何をすべきか議論された。特に、国際的なイベントの開催時にはサイバー攻撃が集中する傾向にあるため、緊張感のある議論がなされ、日本全体でサイバーセキュリティの強化に向け取り組む必要性や、国際社会と協調して安全・安心をさらに広めていくことなどを確認した。

 Cyber3とは、「Cyber connection」「Cyber crime」「Cybersecurity」の3つの分野を立体的に議論する場を意味する。ネットワークの接続先の多様化と深化、それに伴い増加するサイバー攻撃・犯罪、その対処にどう立ち向かえばよいのか、サイバーセキュリティの課題として捉え、講演やパネルディスカッションなどの、さまざまなセッションが持たれた。

 そこは国内外の政府・公共機関や大学、民間企業の関係者が登壇者となり、産官学のマルチステークホルダーが一堂に会して意見が交わされるだけでなく、人的なネットワークが形成される場でもある。「業界連携」や「官民連携」「国際連携」「人材育成」などが課題として話題に上り、企業での現場レベルの取り組みをはじめ、業界の動向や、国家・国際的な枠組みにいたるまで多方面からの視点による議論が形作られた。

 ネットワークは国境や組織の枠を超え、あらゆるところにつながっている。浮き彫りとなった課題は、個別に対応していくだけではなく、社会全体が協調して解決していくものとし、社会の変革につながる機会と捉え、サイバーセキュリティを起点にして、新しい世界に向かっていくという方向性が示された。