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第2回・WiLの梶原奈美子さんに聞く

日経BP総研 中堅・中小企業ラボ

2018年4月10日(火)

東京・武蔵境自動車教習所の髙橋明希社長が、経営者としての腕をさらに磨くため、キーパーソンから「人材採用・育成」「働きがい」などについて学んでいくシリーズ。第2回目は日米に拠点を置くベンチャー投資・育成会社のWiL(ウィル)で、ベンチャーパートナーを務める梶原奈美子さんがゲスト。

梶原さんはキリンビールで「キリンフリー」の企画・開発などを手掛けた後、13年に米スタンフォード大学ビジネススクールに留学。15年からWiLに参画している。現在、シリコンバレーのオフィスで働く梶原さんに、外から日本人の働き方はどう見えるのか、今後どんな働き方が求められるのかなど話を聞いた。

「ワーク」と「ライフ」は分けられない

髙橋:梶原さんはキリンビールを経て、スタンフォード大学に留学。そして2015 年からWiLに参画されているのですね。

梶原奈美子氏(以下:梶原):そうです。WiLは、東京と米シリコンバレーに拠点を置くベンチャー投資・育成会社です。ベンチャー企業の成長と大企業のイノベーション創出を狙い、投資をはじめ、経営支援、事業立ち上げ、成長戦略、国内外の企業との事業開発支援など幅広いサポートをしています。

髙橋:梶原さん自身はどんな仕事をされているのですか。

梶原:私は主に事業開発と教育・研修を担当しています。最近だと、ある日本企業の若手社員3人が進める極秘プロジェクトをサポートしていました。マインドセットを整え、デザインシンキング(優秀なデザイナーやクリエーティブな経営者の思考法をまねることで、新しい発想を生み出そうとする手法)のツールを与えたほか、シェアハウスを用意して自由に働いてもらいました。

 最初に彼らが「何時に行って、何時に仕事を終わらせばいいですか」と聞いてきたので、「そんな決まりはありません。自分たちがやりたいようにやってください」と答えました。

 取り組んでいくうち、自発的にお客さん150人にインタビューをするなど、彼らは変わっていきました。それだけの人に話を聞くと、さまざまな商品のアイデアが生まれます。3人はそのプロトタイプをまず段ボールで作り始めたのですが、意外に時間がかかった。

 そこで段ボールでの制作はあきらめ、100枚以上のスケッチを描いてお客さんに見せたところ、評判は上々でした。実は、3人の中の1人が漫画家になりたかったぐらい絵を描くことが得意だったので、そのスキルが生きました。

 彼はその時点まで、自分が絵を描けるということを忘れていた。仕事とパーソナルな自分を切り離して考えているからじゃないかと思います。

 ターゲットの話をしていても、それを感じます。対象者と日々接しているのに、仕事のときは仕事のときで別の誰かと話さなければいけないと思ってしまう。例えば、高齢者がターゲットの場合、ふと「そういえば、うちのおばあちゃんも言っていたな」と思い出すわけです。

髙橋:今盛んに言われている「働き方改革」でも、ワークとライフを無理に分けようとしている気がします。

梶原:私もそう思います。こちらに来て思うのはワークとライフがミックスされているということです。それはイノベーションを起こすときに個人が問われるから。「あなたは何者ですか」「世の中をどんなふうに見ていますか」「誰に共感して、どんな問題を解決したいのですか」というように、です。すると、否が応でも仕事に個人が入ってきます。

 実際、起業家はみんなそこから始まります。例えば、身近にアレルギーを持つ子供のいるお母さんがいて、そこに共感して、商品をつくろうと思う。そんなイメージです。大企業で働いていると無意識にワークとライフを分離させていることが多いですが、イノベーションを起こすときには、どこか仕事の中で個人が問われる瞬間が必ず来ると思います。

髙橋:本人が「これをやりたい」と強く思う仕事であれば、自然とワークとライフが一緒になるかもしれませんね。

梶原奈美子(かじわら・なみこ)氏
1982年兵庫県生まれ。神戸大学卒業後、2004年ユニリーバに入社。アジア市場の代表としてダヴのヘアケア製品のブランド開発およびマーケティングを担当。06年、キリンビール入社。世界初、アルコール0.00%のビールテイスト飲料「キリンフリー」を含む10商品以上の新商品の企画・開発、消費者調査、広告・販売戦略、市場参入戦略を立案・実行。国内ブランドの海外展開なども担当した後、13年に米スタンフォード大学ビジネススクールへ留学。14年、ブルーボトルコーヒーの日本進出を手掛ける。15年から日米に拠点を置くベンチャー投資・育成会社WiLに参画。
写真:Rodney Searcey