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第4回・「複合現実」で建設業を変える旗振り役

小柳建設の小柳卓蔵社長に聞く

小柳社長の熱意で協業がスタート

髙橋:具体的には、どんなことに使えそうですか。

小柳:初めて見たとき、衝撃を受けました。これは建設業のためにあるのではないかと思ったくらいです。操作は簡単で、デザインや構造を直感的に確認できます。例えば、2D(2次元)の図面に基づいて話を進めると、完成形のイメージを十分に共有しきれず、手戻りが生じることがあります。その点、ホロレンズを活用すれば、いつでもどこでもどの段階でも3D化して見ることができます。手戻りが減って仕事の生産性は高まり、社員の負担を大幅に軽減できると直感しました。

 その時点では、ホロレンズは日本ではまだ発売されていませんでしたが、米国マイクロソフトの担当者をつかまえて「これを使わせてほしい」と直談判しました。そして17年4月、日本法人である日本マイクロソフトとの共同プロジェクトがスタートしています。

ホロレンズを着用したときに見られる映像のイメージ
写真:小柳建設と日本マイクロソフトのニュースリリースより

髙橋:簡単に言っていますが、すごいことですよね。

小柳:そうですね。ホロレンズでマイクロソフトとタッグを組んでいる日本企業は日本航空に続いて、2社目です。実は最初「日本の建設業とは付き合いたくない」と言われました。「3、4年前から日本国内の建設会社に営業をかけているが、いまだに回答がもらえない。御社もどうせ同じだろう」ということでした。

最終的に、私が本気であることが伝わって今に至ります。

髙橋:今はどんな段階なのですか。

小柳:現在はホロレンズを使い、設計データを3D映像で見られる建築業界向けのシステム「Holostruction(ホロストラクション)」を開発中です。これにより施工検査の効率化と作業の進捗の可視化が可能になり、またネットワークでつなげば、社員同士が同じ複合現実の世界を共有しながらコミュニケーションも取れます。

 これは日本に限りません。その場所に行かなくても現場の指導ができます。実際、ある東南アジアの国からも問い合わせをいただきました。ホロストラクションがあれば、日本の高い建設技術をそのまま海外に持っていけるというわけです。

髙橋明希(たかはし・あき)
1976年東京都生まれ。獨協大学卒業後、竹の塚モータースクールを経て、2001年武蔵境自動車教習所に入社。09年に社長就任。早稲田大学大学院修了。米スタンフォード大学留学を経て、2017年、米シリコンバレーに日本と米国の事業の橋渡しを手掛けるコンサルティング会社、ブリリアントホープを設立。
写真:増井友和